以下の内容はhttps://studyhacker.net/amane-sawatari-interview202より取得しました。


正論なのに、人が離れていく。相手を動かすコミュニケーションとは?

説得ではなく、納得が大事と唱える沢渡あまねさんのアイキャッチ画像

「正しいことを言っているのに、人が動いてくれない」——そんな違和感を覚えた経験は、多くの人にあるはずです。理由はさまざまですが、多様な価値観が交錯する現代の組織では、正論が関係性を分断することがあるのも、その要因に挙げられます。では、人が自ら動き出す瞬間はどこから生まれるのでしょうか。『チームプレーの天才』(ダイヤモンド社)の著者であり共創型組織づくりを提唱する沢渡あまねさんに、現在のビジネスシーンにおけるコミュニケーションの前提を問い直してもらいました。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

【プロフィール】
沢渡あまね(さわたり・あまね)
1975年生まれ、神奈川県出身。作家・企業顧問/組織開発&ワークスタイル専門家。あまねキャリア株式会社 代表取締役/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表、『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰。磐田市“学び×共創”アンバサダー。大手企業 人事部門・開発部門、食品製造業ほか顧問。労働法大改正戦略コンソーシアム総合顧問、プロティアン・キャリア協会アンバサダー、DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTT データなど(情報システム・広報・ネットワークソリューション事業部門などを経験)を経て現職。500以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書に『新時代を生き抜く越境思考』(技術評論社)、『EXジャーニー』(技術評論社)、『組織の体質を現場から変える100の方法』(ダイヤモンド社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)、『バリューサイクル・マネジメント』(技術評論社)がある。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。

正論が通用しない要因は「多様性」にある

仕事上のコミュニケーションにおいては、「きちんと説明すれば、相手は理解して動いてくれるだろう」と考えがちです。論理を整えて正しいことを伝えれば合意が得られるはずだというわけです。しかし現実には、いくら理屈を尽くしても思うように動いてもらえない場面も多いはずです。正論がそのまま通用しないというギャップに悩む人は少なくありません。

その背景には、組織の「多様化」があります。いまの会社組織には、年齢も経歴も価値観もばらばらな人が集まっています。つまり、同じ景色を見ているという前提がそもそも成り立ちにくく、自分の常識が相手の常識とは限らないため、「べき論」や一方的な要求は空まわりしやすいのです。

コミュニケーションの話から少しそれますが、多様性をきちんと扱うことができなければ、相手に動いてもらえないこととは別の問題を生むことにもつながります。かつてのように同質性の高い集団であれば、いわゆる阿吽の呼吸で仕事を進められたでしょうし、短期的な成果なら出しやすかったでしょう。

ただ、同じような人間が集まっている環境では発想が固定化し、新しい挑戦が生まれにくくなるのです。中長期的に見れば、組織の成長は頭打ちになってしまうでしょう。多様性は、いまのビジネスシーンにおいて課題を生むものである一方、進化の源泉でもあるのです。

さらに注意すべきは、内向きの集団が暴走するリスクです。同質性が高く外部の視点が入らなくなると、「社内では正しい」が絶対基準となり、倫理やガバナンスがないがしろにされることもあります。「目標達成のためなら、世間的には問題だとみなされることも許される」といった空気が生まれかねません。多様な視点は、イノベーションだけでなく組織の健全性を守る役割も果たしています

内発的に「やりたい」と思わせる

話をコミュニケーションに戻しましょう。正論が通用しない場面でやりがちなのが、「なぜわかってくれないのか」と熱量で説得しようとするアプローチです。拒否されるほど、説明を増やし、プレゼンテーションを強めます。けれども、それをやればやるほど相手は身構え、力関係がゆがんでいきます。結果として、どちらかが無理を飲み込む不健全な合意になりがちです。

これは、価格交渉と同じ構造です。こちらの「どうしても売りたい」という焦りが見えた瞬間、主導権は相手に渡ります。そして、同じことがコミュニケーションにおいても起こるのです。だからこそ私は、説得という発想そのものを手放し、相手に「納得」してもらうことを重視しています。

説得は、自分の論理を押しつける、あるいは相手に頼み込む行為です。対して納得は、相手がこちらに共感して自ら動きたくなる状態をつくることです。内発的に「やりたい」と思ってもらえれば、人は自然に動いてくれます。

そのために私が意識しているのが、「複数の大義名分を用意する」ことです。たとえば、なんらかのサービスを売り込むのなら、「斬新性がある」「売上が向上する」「社員のモチベーションが上がる」「社会的意義がある」など、価値の切り口をいくつも示すのです。相手がどこに共感するかは予測できません。だからこそ、さまざまな入り口を用意しておくことが重要だと考えます。

納得してもらうために不可欠な「ストーリー」

また、その大義名分にも通じますが、相手に納得してもらうためには「ストーリー」を示すことも重要なポイントです。なぜその仕事をやりたいのか、どのような未来を実現したいのか、その先にどんな可能性が広がっているのか——。そうした背景や文脈に共感し、「そこに関わりたい」「直接的には関われないけれど支援したい」など自分の物語として認識してくれたとき、初めて相手は主体的に動こうと考えます。

ただ、それでも共感してくれない相手もいるのが実情です。そういった場合、私は「だめだこりゃ、次いってみよう戦略」をとることにしています。どうしても合わない相手に固執するのではなく、見切りをつけて他の理解してくれそうな相手を探し、そこを起点に輪を広げるほうがはるかに効率的であり、なおかつ精神衛生上もよい(ヘルシーである)からです。

また、相手を動かすための実践的なヒントとして、私がよく伝えているのがまず「ふたり目の仲間を見つける」ことです。ひとりで悩んでいるだけでは、ものごとは前に進みません。しかし、特に理解されにくいことや新しいことを始めるというとき、味方がひとり増えるだけで状況は大きく変わります。

たとえば直接の上司が理解してくれなくても、他部署の管理職の人が「おもしろそうだね」といって味方になってくれることもあるでしょう。小さな共感が起点となり、第2、第3の協力者が自然と現れます。

特に、社外の人とつながることには大きな価値があります。この効果は、人を動かしものごとを前に進めることだけに留まりません。外部の視点に触れることで、自分たちの強みや独自性にあらためて気づくこともあるはずです。「そんなところを評価してくれるの?」というような意外なポジティブな意見が自己効力感を高め、挑戦する勇気を得られます。閉じた組織のなかでは得られない学びがあるのです。

【沢渡あまねさん ほかのインタビュー記事はこちら】

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)

1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。




以上の内容はhttps://studyhacker.net/amane-sawatari-interview202より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14