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向井智之氏『ENT 精神保健福祉士と精神科病院の長期入院』(摩周CCS出版)を読んで

昨日私が以前病院でお世話になっていた方から、旦那さんの著作『ENT 精神保健福祉士精神科病院の長期入院』を買わせて頂いた。そして、昨日が休みだったこともあり、260ページにも関わらず今日読み終えてしまった。

 

一言で言えば圧巻である。それは一つには昭和以降の精神科病院で行われていた事の深刻さや患者達の苦悩や援助者や家族側の行き場のないモヤモヤを真正面から丁寧にわかりやすい文章で描いている点である。死亡退院や電気ショック療法などのかなり深刻な事も描いているのに一気に読ませるのは普通はできない事だろう。

 

そして、もう一つは主人公の向井氏の誠実さだ。今は大学で精神保健福祉士の養成の為の教員をなさっている向井氏の病院勤務時代の苦労や苦悩、葛藤は誠実そのものであり、時に自虐的なユーモアを交えつつ、常に等身大で好感が持てる。患者第一の姿勢は口で言うのは簡単だけれど、普通はできない。人間どうしても自分の利益や保身に走ってしまうからだ。じゃあ、向井氏も聖人君子で完璧かというと、もちろんそんなことはなく、うろたえるし、誘惑されるし、自分をごまかしたくもなるが、どこかで彼は臆病で気が小さいようで、いつも果敢で、なにより自分に正直だ。そして、患者のこころに丁寧に寄り添いつつ、なによりも職業人としての自分を厳しく見つめている。

 

それはすごく難しいことだ。いろんな制約やしがらみがある病院社会でどれだけ患者の人生に寄り添えるか、自分の行為が嘘にならないか、人として誠実であり続けられるか、を問い続ける彼の姿勢は誰もができるものではないと思うけれど、これからそういった道を志す人には是非読んでほしい。変な自負とかこだわりとか信念とか経歴とか受賞歴とかばかり振りかざして、目の前の相手や仕事に一生懸命真剣に誠実に向き合おうとしないお医者様とかお偉方なんかじゃなく、本当の『先生』はいつも相手の目線に立って、自分の在り方や見方が間違ってないか疑い続けられたり、最適なものを探してどうアプローチするかを考え続けられる人だと思う。

 

向井氏を見習って、自分も作家をやっているんだから、権力や風潮や常識にも忖度せず、殺されてもいいから、自分の奥底にある本当の言葉を紡いでいきたい。自分の作品に完璧を求めてベストを尽くすのは言わずもがなである。

 

また、向井氏の息子さんの向井春弥氏の表紙の家のイラストと裏表紙の白い翼のイラストも良かった。古い暗い精神医療の向こう側に広がる新しい希望が感じられた。

 

精神保健に興味のある人や人間として精神障害というものを少しでも理解したいと思う人にはとても良い本だと思います。オススメします!

 




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