会社に新しい人も入ってきたので歓迎会をやることになり、どこでやりましょかということで、新人さんに「好きな食べ物とかありますか」などとみんなで聞いてみたところ、「肉」とのことでした。が、ここで安直に焼肉屋さんあたりにすると面倒なのは、過去の自分が知っている。焼いたりなんだりする切り盛りがね。ヘタすりゃ普段の仕事より忙しくなっちゃうぞ🥺
それはいいとして、肉や魚、あるいは唐揚げやラーメンなどと、好きな食べ物が具体的にすっと出てくることに若さを感じます。私はもうだめだ。松屋の券売機の前で何も決められず立ち尽くす人のようになる。食べられる物の範疇が広がってしまい、その中からピンポイントで選ぶなんてのは難しくなりました。なので、他人から好みを聞かれた際には、だいたい寿司か蕎麦と、決まりきった答えにしてます。
いつのまにか嫌いな食べ物もすっかりなくなってしまいましたね。基本的になんでも食べれるようになりました。かつてイクラを受け付けなかった自分からすれば、イクラ丼なんてのは地獄がそのまんま現れたみたいなもんでしたが、それも遠い過去の話。食べ物のことですらまるっきり変わってしまうのですから、昔の自分なんてだいぶ他人だよな〜と思うわけです。

ダラダラと食べ物の話を続けますが、仙台にしばらく住んでいたことがあり、飲み屋に行くとお通しなんかで「ホヤ」がしょっちゅう出ました。海のパイナップルとか呼ばれてるやつ。これが大嫌いだった。海産物のくせにマンゴーっぽい果実味がありつつ、旨みと生臭さが悪魔合体したみたいなとんでもないシロモノで、これを友人は涼しい顔してパクパク食うのですよ。私の食べ残しをあげたら「やった」とか言ってそれも残さず食った。同じ人間とは思えなかった。この時点では一生好きになることはないかなぁとかたぶん考えていたはずです。
が、ある時に花村萬月のエッセイを読んだのですね。
確かこの本にホヤの風味について書かれていて、ホヤの味とは人の体液じみていて、相当にエロいのだと。だからエロいことをそれなりに経験しなければ、ホヤの生々しい味はしっくりこないはずだ、みたいなことが書いてあった。たぶん。エロい小説ばっか書いてる花村萬月がそう書いているのだからホヤの味はエロいんだなぁと理解しました。それからだいぶ年月が経過しましたが、今の私はホヤが好きです。すっかりエロくなった。
嫌いな食べ物が「好き」に変わるその合間には、他人に生まれ変わるくらいの経験が挟まっているのではないだろうか。なんて書くとカッコよすぎでしょうかね。私としてはそんな劇的なことはなかったはずです。昔も今も相変わらず、基本、会社と自宅の往復。たまに酒屋と温泉と図書館とホームセンターに行くみたいな人生を送ってますが、そんな日々の中でも、自分の魂すら少しずつ書き換えられているのだな、などとと考えながら、今から夕飯を作ろうかと思います。もやしがあるんだよなぁ🤔
音楽の好みも変わっていく。ラナ・レル・レイの新曲に癒されている。
