日本の国技、大相撲。
神事でもあり、スポーツでもある大相撲は、日本を体現する文化の一つとして世界的にも広く知られています。
しかし、日本人は意外と相撲のことをよく知らないのです。
そこで、大相撲についてご紹介していきたいと思います。
前回はこちら。
今回は相撲の舞台であり土台、土俵を学んでいきます。
1.土俵の構成物

まずは、土俵がどういった構成物から成り立っているのか見ていきましょう。
・屋根
土俵の上には屋内にもかかわらず吊り屋根があります。
以前は四本柱でしたが、1952年から吊り屋根に変わりました。これにより四方の観客から見えやすくなるという効果が得られました。
形状は伊勢神宮と同じ神明造で伊勢神宮の御神木が使われており、大変由緒正しいつくりをしています。
また屋根には紫色の水引幕と赤青白黒の四色の大きな房が付いていて、この四色はそれぞれ朱雀、青龍、白虎、玄武を表しています。
・土
土俵の基礎である土。本場所の土俵は「荒木田土」という土です。
荒木田土で検索すると簡単に手に入るようで、珍しいものではなさそうです。
元々は国技館近くの荒川で採取していましたが、現在は埼玉県川越市の土を使用しています。
滑りにくい、崩れにくい、砂利やごみの混入が少ないといった理由があります。重量は45トン。
かつて地方場所ではそれぞれ地方の土を使っていましたが力士に不評だったため、現在は国技館と同じ土を使っています。
また土俵には塩がまかれるため、場所後は産業廃棄物として処理されます。
土俵の最後はなかなか現実的なんですね…。
・水桶
水桶は清めの力水を入れるための桶です。
力水を付ける力士は直前の取り組みで勝った力士であり、すなわち勝った力士は次の取り組みが終わるまで待機します。
ちなみに使用する水はただの水ではなく、米菓製造会社もち吉が自社製品「力水」を無償提供しています。
水のスポンサーってなかなか目立たないから大変ですね。
・塩箱
清めの塩を入れる箱で、わざわざ塩をふるいにかけ水分を足して調整しています。
使用される塩は誰もが知ってる「伯方の塩」です。
・竹籠
約5キロの塩が入るかごで、塩箱から塩を取り東西の土俵隅に置かれた竹籠に入れます。
力士が豪快にまく塩はこの竹籠から取り出した塩ということです。
・土俵の作り方
土俵は業者が作るのではなく、呼び出しが毎場所手作業で数日間かけて作っています。
地方場所では1から手づくり、場所が終わったらすべて取り壊してしまいます。
国技館では土台を地下に収納し再利用、表面だけ作り直します。
下記の動画でもわかる通り大変な重労働です。
だからこそ力士の取り組みにも魂が込められるのかもしれません。
2.土俵の歴史

初期の相撲、鎌倉時代頃は土俵というものはありませんでした。
つまり相手を投げたら勝ちなわけですから、小学生の取っ組み合いとそんなに変わらなかったのでしょう。
今の円形の土俵が確立したのは江戸時代と言われています。
ちなみに黎明期には四角い土俵もあったそうな。
そして屋根が今の神明造になったのは1930年の天覧相撲より。
更に1931年の天覧相撲では二重土俵が一重土俵になりました。
つまり土俵が広くとられるようになったのです。
これは大型力士が増えたことにより、勝負が早くつきすぎないよう相撲をより面白く見せるための工夫だったと言われています。
そして先述の通り1952年四本柱が吊り屋根になり今の土俵となりました。
つまり土俵が今の形になったのは、相撲の歴史に比べてずっと最近の話だということです。
3.土俵と神道

そんな土俵は、神事の舞台でもあります。
本場所前々日には相撲協会の幹部が集まり、都内の神社にて出雲大社教による神事が行われます。
そして本場所前日には土俵祭が行われます。
この土俵祭によって、その場所の新序出世力士によって行司を胴上げする「神送りの儀式」で神を送るまでの間土俵に神が宿るとされているそうです。
このように土俵と神道は強い結びつきがある、というより一体となっているのです。
土俵と神道の結びつきを象徴する最も有名なしきたりと言えば「女人禁制」でしょう。
なぜこのような取り決めになったのでしょうか?
実は江戸時代まで、相撲は女人禁制と決められているわけではありませんでした。
厳格に女人禁制となったのは、明治期に行われた相撲改革の一環だったと言われています。
明治期における改革の大きな目的は、「相撲は宮中行事を起源とする由緒正しい国技であること」をアピールすることでした。
その中で神事との結びつきが強調され、神聖さをより印象づけるために「土俵は女人禁制」とされたのでした。
ただ、時代の流れに合わなくなってきていることも事実です。
果たして相撲はどこまで神事と結びつくべきか、土俵の女人禁制から改めて考えるべきなのかもしれません。
参考文献
4.まとめ
以上相撲の土台、土俵について学んできました。
これまでの5回の連載で相撲の歴史、番付、相撲部屋、行司、そして土俵について詳しくなることができました。
あと一つ足りないものがあります。
それは…現地での観戦です!ということでレッツ国技館!
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