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ペル方程式

1985年(昭和60年)東京工業大学-数学[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
1988年(昭和63年)京都大学-数学(理系)[3] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
1998年お茶の水女子大学数学[x] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

D は平方数でない自然数とするとき,

(1) x^2-Dy^2=1自然数解は,必ず存在し,全ての自然数解は最小の自然数(x_1,y_1) から (x_1+y_1\sqrt{D})^n によって生成される.

(2) x^2-Dy^2=-1自然数解は,もし存在するならば,全ての自然数解は最小の自然数(x_1,y_1) から (x_1+y_1\sqrt{D})^{2n-1} によって生成される.なお,(x_1+y_1\sqrt{D})^{2n} によって x^2-Dy^2=1自然数解が生成される.

が成立する.では最小の自然数解を見つけるにはどうするか,ということだがこれは簡単ではない.例えば ペル方程式 - Wikipedia を見ればわかるように D=61 のときの最小の自然数解は (x,y)=(1766319049,226153980) である.このような大きな値を簡単に求める方法は無さそうである.もちろん(それなりに)簡単に求めるアルゴリズムは存在し,\sqrt{D} の連分数展開が循環することを利用する方法などが知られている.詳細は「ペル方程式 最小解」で検索するとすぐに見つかる.

なお,話は逸れるが,D=89 のときの最小の自然数解が (x,y)=(500001,53000) というのも面白い.実際に計算してみると89\times 53000^2=(90-1)\times 2809\times 10^6=(252810-2809)\times 10^6=250001\times 10^6500001^2=25\times 10^{10}+10^6+1=250001000001 であるから,確かに 500001^2-89\cdot 53000^2=250001000001-250001000000=1 となっている.

さて,(1)のような自然数解の存在を示しておこう.最小の自然数解から全ての解が生成されることについては
1985年(昭和60年)東京工業大学-数学[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
と同様に考えれば良い.

さて,
ディリクレのディオファントス近似定理 - 球面倶楽部 零八式 mark II
の証明から,平方数でない自然数 D\geqq 2 が与えられたときに,任意の自然数 N について \Bigl|y\sqrt{D}-x\Bigr|\lt\dfrac{1}{N} を満たす分母が N 以下の自然数 y自然数 x が存在する(y\sqrt{D}\geqq 1 の整数部分 x だから x自然数となる).

このとき,\Bigl|y\sqrt{D}-x\Bigr|\lt\dfrac{1}{N}\leqq\dfrac{1}{y} であり,
\Bigl| x+y\sqrt{D}\Bigr|=\Bigl|2y\sqrt{D}+(x-y\sqrt{D})\Bigr| \lt 2y\sqrt{D} +\dfrac{1}{y}
であるから,
0\lt \Bigl|x^2-Dy^2\Bigr|\lt \dfrac{2y\sqrt{D}}{y}+\dfrac{1}{y^2}\leqq 2\sqrt{D}+1
が成立する.ここで N=2,3,… に対する (x,y) の組を考えると特定の N に対して得られた (x,y) に対して求められた \dfrac{1}{|y\sqrt{D}-x|} よりも大きな N' に対する (x,y) は新しい組となることから,これを続けていくことにより,このような (x,y) の組は無数に得られることと,
0\lt \Bigl|x^2-Dy^2\Bigr| \leqq \lfloor 2\sqrt{D}\rfloor +1\lfloor 2\sqrt{D}\rfloor +1 通りの整数値のいずれか)
から,ある整数 M0\lt |M|\leqq \lfloor 2\sqrt{D}\rfloor +1) が存在して

x^2-Dy^2=MM\neq 0) を満たす組 (x,y) が無数に存在する」

が成立する.そしてディリクレの部屋割り論法によりこの無数の組の中に異なる組 (x_1,y_1)(x_2,y_2) が存在して
x_1\equiv x_2(\mbox{mod}\,M)y_1\equiv y_2(\mbox{mod}\,M)
を満たすものが存在する.このとき
ブラーマグプタの恒等式 - 球面倶楽部 零八式 mark II
により(x=x_1y=-y_1z=x_2t=y_2 とおく),
(x_1x_2-Dy_1y_2)^2-D(x_1y_2-x_2y_1)^2=(x_1^2-D(-y_1)^2)(x_2^2-D(-y_2)^2)=M^2
が成立する.
ここで
x_1x_2-Dy_1y_2\equiv x_1x_1-Dy_1y_1 = M\equiv 0(\mbox{mod}\,M)
x_1y_2-x_2y_1\equiv x_1y_1-x_1y_1 = 0(\mbox{mod}\,M)
であるから,
x_1x_2-Dy_1y_2\neq 0x_1y_2-x_2y_1\neq 0 であれば
x_1x_2-Dy_1y_2=MXx_1y_2-x_2y_1=MY となる X\neq0Y\neq0 が存在し,
(x_1x_2-Dy_1y_2)^2-D(x_1y_2-x_2y_1)^2=M^2
に代入することにより M^2X^2-M^2DY^2=M^2 となり,M\neq 0 から
|X|^2-D|Y|^2=1 を満たす自然数の組 (|X|,|Y|) が存在することが言える.

まず,x_1y_2-x_2y_1=0 と仮定すると,これら文字は自然数であるから x_2=kx_1y_2=ky_1 を満たす(2つの解は異なる解であるから)1とは異なる正の有理数 k が存在し,M=x_1^2-Dy_1^2=x_2^2-Dy_2^2=k^2(x_1^2-Dy_1^2)=k^2 M から k=1 となり矛盾する.よって x_1y_2\neq x_2y_1=0 である.

次に x_1x_2-Dy_1y_2=0 と仮定すると,-D(x_1y_2-x_2y_1)^2=M^2 となり左辺が負,右辺が正となり矛盾する.

以上から x_1x_2-Dy_1y_2\neq 0x_1y_2-x_2y_1\neq 0 が言えるので,|X|^2-D|Y|^2=1 を満たす自然数の組 (|X|,|Y|) が存在することが言えることとなり, D は平方数でない自然数とするとき,x^2-Dy^2=1自然数解は,必ず存在することが示された.




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