2026年(令和8年)早稲田大学理工学部-数学[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR を考えていたとき,
ことが言えるか少し考えた.もちろん のときは反例となる.しかし十分大きな
については言えそうである.そこで
以下のすべての自然数が
の約数となる
について調べてみた.
高校生向きの証明があるかも知れないが,とりあえず正しい話をしたいということで,ベルトラン・チェビシェフの定理を用いる.この定理自体は高校の範囲で証明できるが面倒なので丸投げしておく.
tobetakoyaki.hatenablog.com
これを用いてまず十分大きな では成立しないことを示し,成立しない
の下限を更新し,最後は具体的に確かめる.
まず, 以上のある自然数
について,
以下のすべての自然数が
の約数になると仮定すると,ベルトラン・チェビシェフの定理により,
なる素数
,
なる素数
,
なる素数
,
が存在する.ここで のとき
であるから,
は互いに素な素数
を約数に持つので,
が成立する.
一方, であるから,
…①
が成立する(素数 については結局どうでも良く,
以上のある自然数
でも良かった).
とおき,
を
で定義された連続関数と考えると,
により,これは上に凸となり,ある値より大きければ負の値をとる.
例えば とおくと
であるから,
は
で負となり(
で
となり,それより大きな
で
は負となる).
このことから, では①は成立せず矛盾する.つまり
以上の自然数
について,(★)が成立する.
さて, から
までの
個の自然数の最小公倍数は単純な計算により
となる.よって
のときに(★)が成立しないと仮定するとそれは
の倍数でなければならない.しかし
以上の自然数
について,(★)が成立することから
のときに(★)が成立する.
次に から
までの
個の自然数の最小公倍数は単純な計算により
となる.よって
のときに(★)が成立しないと仮定するとそれは
の倍数でなければならない.しかし
以上の自然数
について,(★)が成立することから
のときに(★)が成立する.
さらに から
までの
個の自然数の最小公倍数は単純な計算により
となる.よって
のときに(★)が成立しないと仮定するとそれは
の倍数でなければならない.しかし
以上の自然数
について,(★)が成立することから
のときに(★)が成立する.
そして から
までの
個の自然数の最小公倍数は単純な計算により
となる.よって
のときに(★)が成立しないと仮定するとそれは
の倍数でなければならない.いま
以上の自然数
について,(★)が成立することから
について確認すれば良い.
のとき
で割り切れ適する.
のとき
で割り切れず不適.
のとき
で割り切れ適する.よって
では
が適する.
では
が適するので,
以下のすべての自然数が
の約数となる自然数は
に限る.
十分大きな で成立しないことを言うには
以下の自然数の最小公倍数が必ず
を超えてしまうことを言えば良いが,
以下の自然数の最小公倍数を陽に与えるのは難しいので,
以下の素数をいくつか選んだ時点でその積が
を超えてしまうことを言えば良いことになる.そこで
のオーダーの素数を
つ与えればその積のオーダーが
となり,十分大きな
では
を超えてしまうことを利用した.その
のオーダーの素数の存在をベルトラン・チェビシェフの定理で与えたという訳で,
,
,
と
つの区間を作るために
となるように区間を分割した訳である.
このことは簡単に一般化でき,十分大きな では
(
を自然数とする) 以下のすべての自然数が
の約数になることはないことがわかる.もちろん
(
を自然数とする) 以下のすべての自然数が
の約数になるような最大の
を探すのは
が大きくなるほど難しい(途中から総当たりとなるので).
ちなみに
次に
さらに
そして
そのうえ
から
までの
個の自然数の最小公倍数は
となる.よって
において(★)が成立しない可能性があるのは
であり,これらは全て適する.
から
までの
個の自然数の最小公倍数は
となる.よって
において(★)が成立しない可能性があるのは
であり,これらは全て適する.
から
までの
個の自然数の最小公倍数は
となる.よって
において(★)が成立しない可能性があるのは
なる
の倍数であり,これらは全て適する.
から
までの
個の自然数の最小公倍数は
となる.よって
において(★)が成立しない可能性があるのは
なる
の倍数であり,,これらは全て適する.
については
だから適する.
よって求める は
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
に限る.
を
(
を自然数とする) 以下のすべての自然数が
の約数になるような最大の
と定義すると,
,
,
,…となるが.OEIS にこの数列はあるのだろうか,と思ったらあった.
「A003102 Largest number divisible by all numbers < its n-th root.」
2, 24, 420, 27720, 720720, 36756720, 5354228880, 481880599200, 25619985190800, 10685862914126400, 876240758958364800, 113035057905629059200, 24792356033967973651200, 9690712164777231700912800, 2364533768205644535022723200, 396059406174445459616306136000
ここでは論文 On the Problem 1, 2, 3, ..., [n^1/k] | n (1962) が引用されており,この論文によると,[√(N)の以下の自然数がすべてNの約数になるような最大の N は 24 である」ことはポリアによって示されたそうだ.またこの論文ではベルトラン・チェビシェフの定理ではなく,チェビシェフの定理「 番目の素数を
とすると
が成り立つ」を用いているが基本的な考え方は同じようだ(斜め読みしかしていない).
を満たす
ということが言えるようである.前述の証明も論文の証明も を満たせば
が条件を満たすことが本質的となっている.
ちなみに
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である(最後の列は OEIS からわかるが). の値が更新されるのは素数羃(1乗も含む)が登場したときであり,素数の規則性は良くわかっていないので具体的な
から即座に
を計算することは難しい.
OEIS には Mathematica のコマンドが書いてあるが, while 文で「 K++, lc=LCM[lc,K] として K=Floor[ lc^{1/m} ]」によって を満たす
を探している.
2026.03.04追記
自然数がすべて
の約数になるような
の個数を
とすると,
,
,
となっている.果して
となるだろうか??