と定める.
(1) を対角化する
の基底が存在するための
に対する必要十分条件を求めよ.
(2) ,
を同時に対角化する
の基底が存在するための
に対する必要十分条件を求めよ.
とすると
だから
である.
(1) のとき,
の固有値は
で3重解であり,3次正方行列で固有値が3重解のときに対角化できるのは単位行列の定数倍に限るので,対角化できない.
のとき,
の固有値は全て異なるので対角化できる.
よって求める必要十分条件は である.
(2) (1) より であり,このとき
の固有値は全て異なるので,
が同時対角化できる必要十分条件は
が成立することであり,
とおくと と同値.
であるから, が求める必要十分条件となる.
が成立するので,
から, が求める必要十分条件となる,としても良い.
[証明] の固有値が全て異なるので,
(全ての
は異なる)と表現できる.ここで
とおくと,
,
であるから, と
は同値である.
よって と
が対角行列であることが同値であることを示せば良いが,
であるから, と
for all
,つまり
が対角行列であることは同値.
この証明では, の固有値が全て異なることが効いている.
高校数学の美しい物語では
とあるが,これは
「 を対角化する行列が少なくとも1つ存在し,
を対角化する行列も少なくとも1つ存在するとき,その両方に共通する行列が存在することと
は同値である」
ということであり,
「 を対角化する行列が少なくとも1つ存在するとき,
を同時に対角化する行列が存在することと
は同値である(これは一般には成立しない,例えば
を単位行列としてみよ)」
ではないことに注意.本問では「 を対角化する行列の存在」は(1)の段階では示していないので直ちに
は言えないのである.
もちろん,(1) と同様に を対角化する行列が存在する必要十分条件は
であるから,これを断わっておけば
(2) の必要十分条件は が
をみたすことである,として話を進めることができる.