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2026年(令和8年)東京大学-数学(理科)[5]

2026.03.02.15:52記

[5] 複素数平面上の原点を中心とする半径 1 の円を C とする.複素数 \alphaC 上の点 \mbox{P}(z) に対し,w = (z - \alpha)^3 とおく.\mbox{P}C 上を動くときの点 \mbox{Q}(w) の軌跡を D とする.

(1) \alpha = -3 とし,w の偏角を \theta とおく.\mbox{P}C 上を動くとき,\sin\theta がとりうる値の範囲を求めよ.

(2) \alpha が次の条件を満たすように動く.

条件: D は実軸の正の部分および負の部分の両方と共有点を持つ.

複素数平面上の点 \mbox{R}(\alpha) が動きうる範囲の面積を求めよ.

2026.03.02.15:52記
複素平面での 3 次関数で面喰らった人も多いでしょう.ですが「(z-\alpha)^3 の偏角が z-\alpha の偏角の 3 倍」であることと「正の数倍しても偏角は同じ」であることに気付きさえすれば(これが東大の言う「基本的なことを理解していれば解けるという基本的なこと」だと思います),偏角のもつ \mbox{mod}\, 2\pi の不定性への注意が疎かになり満点は難しい,という点では難問ですが,ある程度は点数が取れるという点ではそこまで難問ではないでしょう. 偏角への注意とは「z-\alpha の偏角が \dfrac{2}{3}\pi の定数倍ずれても w の偏角は変わらない」ということで,そのせいで非常に答案が書きにくい問題です.ここではこの注意を避けるために \mbox{R} の動きうる範囲の対称性をうまく利用して \alpha の偏角を 0 以上 \dfrac{\pi}{6} に制限して考えるようにしました.

(2026.03.03記
2026.03.02.15:52記の[解答](2)は v=z-\alpha の軌跡が \alpha 中心半径 1 の円とした解答になっていましたが,正しくは
v=z-\alpha の軌跡は -\alpha 中心半径 1 の円」
でしたので修正しました.基本的には文字の置き換えだけです.言い訳になりますが,複素数をベクトルと見る考え方からすると w=(z+\alpha)^3 とする方が素直に思えます.もちろん「逆になってることに気付くかな?」という出題かも知れません.)

[解答]
(1) v=z+3 とおくと \mbox{P}C 上を動くときの点 \mbox{S}(v) の軌跡は 3 中心半径 1 の円周であるから \dfrac{v}{|v|} の軌跡は単位円上の -\dfrac{2\sqrt{2}+i}{3}\dfrac{2\sqrt{2}+i}{3} を結ぶ劣弧である.ここで \dfrac{2\sqrt{2}+i}{3} の偏角の正弦 \dfrac{1}{3}\sin\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{1}{2} より小さいので,この劣弧の偏角は -\dfrac{\pi}{6}\dfrac{\pi}{6} の間にある.

ここで \dfrac{w}{|w|} の偏角は \dfrac{v}{|v|} の偏角の 3 倍であるから,\dfrac{w}{|w|} の軌跡は -\dfrac{\pi}{2}\dfrac{\pi}{2} の間にある劣弧となる.

ここで \dfrac{2\sqrt{2}+i}{3}3 乗は -\dfrac{10\sqrt{2}+23i}{27} であるから,\dfrac{v}{|v|} の軌跡は単位円上の -\dfrac{10\sqrt{2}+23i}{27}\dfrac{10\sqrt{2}+23i}{27} を結ぶ劣弧である.よって \sin\theta のとりうる値の範囲は -\dfrac{23}{27}\leqq\sin\theta\leqq\dfrac{23}{27} である.

(2) \alpha=0 のとき,w=z^3 により D は単位円なので条件を満たす.以下 \alpha\neq 0 とする.

このとき \alpha=x+yi=r(\cos t+i\sin t)r\gt 0),v=z-\alpha とおく.このとき

(A) \alpha\overline{\alpha} に置き換えると偏角は実軸(x 軸)に対称となり条件を満たすかどうかは変わらないので,結果も x 軸対称になる.

(B) \alpha-\alpha に置き変えると v の偏角は \pi ずれるので,w の偏角は 3\pi ずれるが,これは \pi ずれるのと同じことであるから条件を満たすかどうかは変わらないので,結果も原点対称(180^{\circ} 回転しても変わらない)になる.

(C) \alpha の偏角を t から t+\dfrac{2\pi}{3} に置き換えると w の偏角は 2\pi ずれるが,これはずれないのと同じことであるから条件を満たすかどうかは変わらないので,結果を \dfrac{2\pi}{3} 回転しても同じ領域になる.

が成り立つので,(A)(B)(C)から,\alpha の偏角が 0 以上 \dfrac{\pi}{6} 以下の場合について考えれば,他の場合はそれを(A)(B)(C)の操作で移すことによってわかり,よってこの場合の \mbox{R} の動きうる範囲の面積の 12 倍が求める面積となる.

ここで(B)により,w = (z - \alpha)^3 に対する軌跡 D が条件を満たすような \alpha の集合を v=z-\alpha の偏角で考える代わりに,
w’ = (z+\alpha)^3 に対する軌跡 D' が条件を満たすような \alpha の集合を v'=z+\alpha の偏角で考えても同じ領域となる.

よって v'=z+\alpha の偏角に基づいて w’ = (z+\alpha)^3 の偏角について考えることにする.

さて,\alpha の偏角が 0 以上 \dfrac{\pi}{6}\lt\dfrac{\pi}{3}) 以下であり,偏角の動きうる範囲は \alpha の偏角
この 0 以上 \dfrac{\pi}{6}\lt\dfrac{\pi}{3}) 以下の値を含むので,条件を満たす必要十分条件は v’=z+\alpha の偏角の「最小値が 0 以下…①」,「最大値が \dfrac{\pi}{3} 以上…②」となれば良い(これを 3 倍すれば w' の偏角の条件となるので).

①は \alpha の虚部が 1 以下,つまり y\leqq 1 である.

②は①の条件を偏角が \dfrac{\pi}{6} である直線 y=\dfrac{1}{\sqrt{3}}x に関して線対称したものだから y\geqq \sqrt{3}(x-\sqrt{3})+1=\sqrt{3}-2 である.

つまり \alpha=x+yi の偏角 t0\leqq t\leqq\dfrac{\pi}{6} の場合に点 \mbox{R} が動きうる範囲は
y\leqq 1 かつ y\geqq\sqrt{3}x-2」である.これを図示すると次図.

この面積は \dfrac{1}{2}\cdot\left(\dfrac{2}{3}\sqrt{3}\right)\cdot 1=\dfrac{\sqrt{3}}{3} であるから,求める面積はこの 12 倍の 4\sqrt{3} である.

2026.03.03記
代ゼミの「原点を始点として偏角が \dfrac{k\pi}{3} である点の集まりの半直線 \ell_kk=0,1,2,3,4,5)」を考えるのはエレガントですが,必要十分条件がわかりにくいです.偏角は連続に変化するのですから,はじめから「結局隣り合う二つの半直線と共有点を持つ」とした方が良いように思いました.[解答]では12分割しましたが,代ゼミのように6 分割でも良かったですね(表現は異なりますがどちらも点と直線の距離を利用しています.[解答]では①は点と直線の距離を使うまでもなく明らかで,②で点と直線の距離を使わずに領域を線対称移動しているところが異なりますが).




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