2026.03.01.18:46:39記
(2) (1)で定めた に対し,次の不等式を示せ.
対称な区間での積分
Wallis 積分
2026.03.01.18:46:39記
今年の東大は難化して今世紀で一番難しいという意見が沢山でており,とりあえず解けるか心配です.本問はマクローリン展開が登場しており高校では範囲外かも知れませんが, は微積分基礎の極意などでも登場しており難関校対策では一度は体験しているように思います.特に関数近似としてマクローリン展開に触れた人は
のグラフが
のグラフからだんだん離れていく様子を見ているはずで,その経験があれば
は
で単調増加となるので,
となることが予想できるでしょう.マクローリン展開の補正項を知っていれば
で
を満たす
が存在するので
で評価できますが,マクローリン展開を
のようにもう1次だけ高次で近似することにより,
を満たす
が存在するので
で評価できます.実際
となっています.
さて,本問は基本的なことだけで解決しますが,幾重にも積み重なった基本的なことを読み解かなければなりません.(1)は奇関数であることさえ気づけば ,
(
)ならば
を複数回使用する,多くの人が経験済みの問題で問題はないでしょうが,(2)は大変です.まず
と置いて(1)を適用するのかと考えますが,積分区間が
までで
よりも大きいので,それは見当違いであることがわかります.では(1)は何処に適用するのでしょうか?それを考えるために,まず
が小さいということです.マクローリン展開が関数近似であることからも予想できるでしょう.実際
しかありません.しかし
は
で
の範囲を動きます.というのも
のとき
となるので
で
,
で
となるからです.関数の変動幅が大きいのに積分が小さくなることのの処理は難しく,
をそのままの形で扱うのは大変であると予想ができます.その際にできることは加法定理しかありません.加法定理を用いると
と
が登場します.このとき
■ は偶関数で
は奇関数である
ことに気づくことが大事です.本問が難しいのは積分区間が であるから偶関数や奇関数に着目することに気づきにくいことです.
は少なくとも
となるので,積分区間を
に変更しても積分の値は変わりません.そしてこのとき奇関数の積分が消え,偶関数
の積分だけを考えれば良くなります.そして
■ は
について線対称である
ことに気づければ,この積分が の
倍となり,その積分の上下の評価の差が
となっていることから,なるほどと思えるでしょう.つまり
■ の
における積分の上下の評価の差が
となる
という訳です.すると か
で置換すれば積分区間が
になり(1)と組み合わせることができる可能性が見えてきます(実際には置換積分を用いないのですが).
(1)
,
,
である.
で
,
より
で
である.
で
,
より
で
である.
よって で
は単調増加 となり,
は
で最大値
をとる.
よって ,
となる.
(2) とおくと
であるから,
とおくと,
が成立する.ここで は奇関数であるからその積分は
となるので
となる.,
について点対称であるから,
は
について対称である.また
は偶関数であるから
となる.ここで により
となるので(1)により
が成立するので,
となる.よって
とおくと
が成立する.よって であることを確認すれば良い.
ここで
であるから与えられた不等式が成り立つ.
Wallis 積分を用いると と導くことができます.