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2011年(平成23年)東京大学前期-数学(文科)[1]


問題:2011年(平成23年)東京大学前期-数学(文科) - [別館]球面倶楽部零八式markIISR

本問のテーマ
ケプラーの樽公式(シンプソンの公式)
ニュートンの補間公式
スプライン補間

2020.10.16記
まず,\displaystyle\int_{-1}^{1} (bx^2+cx+d)dx =\displaystyle\int_{-1}^{1} f(x) dx=1 である.このようにf(x)積分を避けた出題になっているのは,当時の文系には3次関数の積分はさせないようになっていたという背景がある.

[解答]
f(1)=1f(-1)=-1 により,f(x)=a(x^2-1)(x-p)+x=ax^3-apx^2+(1-a)x+ap
と表すことができる.\displaystyle\int_{-1}^1 (-apx^2+(1-a)x+ap)\,dx=-\dfrac{2}{3}ap+2ap=1 により b=-ap=-\dfrac{3}{4} となり,
I=\displaystyle\int_{-1}^{1/2} \left(6ax-\dfrac{3}{2}\right)^2\,dx=\dfrac{27}{2}\left\{\left(a^2+\dfrac{1}{4}\right)^2+\dfrac{3}{16}\right\}
だから,a=-\dfrac{1}{4}b=-\dfrac{3}{4}c=\dfrac{5}{4}d=\dfrac{3}{4})のとき,つまり f(x)=-\dfrac{1}{4}(x^3+3x^2-5x-3) のとき I は最小値 \dfrac{81}{32} をとる.

ケプラーの樽公式(シンプソンの公式)
ケプラーの樽公式 - 球面倶楽部 零八式 mark II
を用いると  \displaystyle\int_{-1}^{1} f(x) dx=\dfrac{2}{6}(f(-1)+4f(0)+f(1))=1 となり,f(0)=\dfrac{3}{4} が得られる.

[別解]
f(1)=1f(-1)=-1 により,
\displaystyle\int_{-1}^1 (bx^2+cx+d)\,dx =\displaystyle\int_{-1}^{1} f(x) dx=\dfrac{2}{6}(f(-1)+4f(0)+f(1))=1 となり,d=f(0)=\dfrac{3}{4} である.

2点 (-1,-1),(1,1) を通る直線 y=x を利用すると,3点 (-1,-1),(0,3/4),(1,1) を通る2次関数 y=g(x) における g(x)
g(x)=a(x^2-1)+x を経由して g(x)=-\dfrac{3}{4}(x^2-1)+x であるから,
f(x)=a(x^3-x)-\dfrac{3}{4}(x^2-1)+x と表すことができる(この流れがニュートンの補間公式).
このとき f''(x)=6ax-\dfrac{3}{2} であるから
I=\displaystyle\int_{-1}^{1/2} \left(6ax-\dfrac{3}{2}\right)^2\,dx=\dfrac{27}{2}\left\{\left(a^2+\dfrac{1}{4}\right)^2+\dfrac{3}{16}\right\}
となり,a=-\dfrac{1}{4},つまり f(x)=-\dfrac{1}{4}(x^3+3x^2-5x-3) のとき I は最小値 \dfrac{81}{32} をとる.

2024.11.13記

スプライン補間
(スプラインの定義とか考え方を沢山書いていたけど食事のため放置していたら古い下書きを再読み込みして上書きされてしまったので心が折れた)

スプラインに関する出題は 2002年(平成14年)東京大学前期-数学(文科)[3] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR 参照.

3次スプライン補間は2階微分が連続であるように点列を3次関数で繋ぐ補間である.ここで曲線の歪みを「曲率の2乗」の曲線の長さによる積分で定義すると,y=f(x) に対して
\displaystyle\int \left[\dfrac{f''(x)}{[1+\{f'(x)\}^2]^{3/2}}\right]^2\cdot \sqrt{1+\{f'(x)\}^2}\, dx=\displaystyle\int \dfrac{\{f''(x)\}^2}{[1+\{f'(x)\}^2]^{5/2}}\, dx
を最小化すれば良いことになる.しかしこの最小化は難しいので解き易い \displaystyle\int \{f''(x)\}^2 \, dx
を最小化するように3次関数を繋ぐ手法である.この積分は非負であり,0となるのは f(x) が1次以下の多項式を繋げたものとなる場合に限るので,「2階微分が連続という条件でなるべくまっすぐになるように x 座標が小さい順番に点を繋ぐ」ために与えられた x 座標以外では折れ曲らない折れ線を2回積分することによって与えられた点を通るように3次関数を繋げて与えられた全ての点を通るような曲線を求めるというイメージが3次スプライン補間である.

ともかく,3次スプライン補間は N 個の点 (x_0,y_0),…,(x_{N-1},y_{N-1})x_k は昇順)としたとき \displaystyle\int_{x_0}^{x_{N-1}} f''(x)\,dx を最小化するように3次関数を繋ぐ手法である.

本問の場合,3(-1,-1)(0,3/4)(1,1) を単一の3次関数で繋ぎ,さらに -1\leqq x\leqq \dfrac{1}{2}区間の途中までしか曲がり具合について考えないという特殊な状況になっているので,スプラインとしてうまく解釈ができないまま49ヶ月(4年と少し)放置していたのだが,新制大学になってからの入試で一次試験,後期,総合科目II を除いた最後の1問になってしまったので,そろそろ諦めて公開停止にしていたものを補足して再公開することにした.

ただ,結論としては -\infty\lt x\leqq -1 の部分を直線と考えた自然スプライン
f(x)=\left\{ \begin{array}{ll} p(x+1)-1 & (x\leqq -1) \\ a(x+1)^3+p(x+1)-1 & (-1\leqq x) \end{array}\right.
f(1)=1f(0)=\dfrac{3}{4}(後者は積分の条件と同じ)を通るように a,p を定めると
a+p-1=\dfrac{3}{4}8a+2p-1=1 から a=-\dfrac{1}{4}p=2 が得られ,

f(x)=-\dfrac{1}{4}(x+1)^3+2x+1=-\dfrac{1}{4}x^3-\dfrac{3}{4}x^2+\dfrac{5}{4}x+\dfrac{3}{4}
となり,本問の f(x) に一致する.

なお,このとき
 \displaystyle\int_{-1}^{\frac{1}{2}} \{f''(x)\}^2\, dx =\displaystyle \dfrac{9}{4}\int_{-1}^{\frac{1}{2}} (x+1)^2 dx=\dfrac{9}{4}\cdot \dfrac{1}{3}\cdot\Bigl(\dfrac{3}{2}\Bigr)^3=\dfrac{81}{32}
が成立する.

ここまでの議論を整理しておくと,自然スプラインで両端を通る条件以外に制御点 (0,3/4) を加えたときに自然スプラインが区分的な3次関数とならない条件として積分区間-1 から 1/2 としたときの曲り具合の最小化を行えば良いという理由である.

おそらく,制御点 (0,\alpha) を自然スプラインが区分的な3次関数とならない条件として積分区間-1 から \beta とすれば良いというような条件が出るのだろうと思ったのだが,ちょっと面倒そうなので機会があれば考えてみたい.
(2024.11.14追記 これは否定的に解決された)

ということで3次スプライン補間が元ネタであることは間違いなさそうなのだが,明快にその意味を与えることができないまま諦めて公開することになってしまった.

2020.11.13記
f(-1)=-1f(1)=1f(0)=d としたときに自然スプラインは
f(x)=\left\{ \begin{array}{ll} p(x+1)-1 & (x\leqq -1) \\ p(x+1)-1+a(x+1)^3 & (-1\leqq x\leqq 0) \\ p(x+1)-1+a(x+1)^3+bx^3 & (0\leqq x)  \end{array}\right.
となり,f(0)=df(1)=1 から p-1+a=d2p-1+8a+b=1 となり,b=-2(3a+d) が成り立つので
f(x)=\left\{ \begin{array}{ll} (d-a+1)(x+1)-1 & (x\leqq -1) \\ (d-a+1)(x+1)-1+a(x+1)^3 & (-1\leqq x\leqq 0) \\ (d-a+1)(x+1)-1+a(x+1)^3-2(3a+d)x^3 & (0\leqq x)  \end{array}\right.
となる.このとき
f''(x)=\left\{ \begin{array}{ll} 0 & (x\leqq -1) \\ 6a(x+1) & (-1\leqq x\leqq 0) \\ -6(5a+2d)x+6a & (0\leqq x)  \end{array}\right.
となるので,
\displaystyle\int_{-1}^{1/2} \{f''(x)\}\,dx=\displaystyle\int_{-1}^{0} 36a^2(x+1)^2\,dx+\displaystyle\int_{0}^{1/2} 36\{(5a+2d)^2x^2-2a(5a+2d)x+a^2\}\, dx
=12a^2+\dfrac{3}{2}(5a+2d)^2-9a(5a+2d)+18a^2=\dfrac{45a^2+24ad+12d^2}{2}=\dfrac{45}{2}\left(a+\dfrac{4}{15}d\right)^2+\dfrac{28}{15}d^2
となるので,d=\dfrac{3}{4} のとき,a=-\dfrac{1}{5} のときに最小値 \dfrac{21}{20} をとる.

このとき,p=\dfrac{39}{20}b=-\dfrac{3}{10} となり b\neq 0 である.

図において点線が本問の答.色は 3(-1,-1)(0,3/4)(1,1) を通る自然スプラインの曲がり具合を -1\leqq x\leqq \dfrac{1}{2} の範囲で最小化したものとなっており,確かに自然スプラインの方が この範囲ではより真っ直ぐになっていることがわかる.

ということで目論見も外れてしまった.




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