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2000年(平成12年)東京大学後期-数学[1]

2024.02.12記

[1] kを正整数とし,xを変数とするk多項式P_k(x)について次の条件
(C) \left\{\begin{array}{l}P_k(x)-P_k(x-1)=x^{k-1} \\
P_k(0)=0\end{array}\right.
を考える.ただし,x^0=1と定める.このとき,次の問に答えよ.

(1) k=12 に対し,P_k(x) を求めよ.

(2) すべての k\geqq 3 に対し,条件(C)を満たす P_k(x) が存在し,しかもただ一つであることを示せ.

(3) 正整数 k に対し,k 次の多項式 Q_k(x)
を次の条件が成立するように定める.

\left\{\begin{array}{l}
Q_k(0)=Q_k(1)=…=Q_k(k-1)=0 \\ 
Q_k(k)=1 \end{array} \right.

このとき,k 個の整数c_1c_2,…,c_kがそれぞれただ一つ存在して P_k(x)=\displaystyle\sum_{j=1}^{k} c_jQ_j(x) と表されることを示せ.

本問のテーマ
第二種スターリング数による累乗和の公式

2025.08.07記
階乗冪 - Wikipedia
スターリング数 - Wikipedia

自然数 N に対して条件(C)で x=1,2,…,N と加えると
P_k(N)=\displaystyle\sum_{i=1}^N i^{k-1}
が成立する.つまり本問は累乗和の式に関する問題となる.すると
P_1(x)=xP_2(x)=\dfrac{x(x+1)}{2}P_3(x)=\dfrac{x(x+1)(2x+1)}{6}P_4(x)=\dfrac{x^2(x+1)^2}{4},…
となることがわかる.この累乗和の公式を機械的に導く方法として次のものが知られている.それは ピックの公式と累乗和の公式 - 球面倶楽部 零八式 mark II の後半の

累乗和の公式を機械的に導くには,有名な関係式
S_{k+1}(n)=(k+1)\displaystyle\int_0^n S_k(x)dx +cn
cS_{k+1}(1)=1をみたすように決める)
を使えば良い.ちなみにこの関係式を使うと
S_0(n)=n として
S_1(n)=\dfrac{n^2}{2}+\dfrac{n}{2}
S_2(n)=\dfrac{n^3}{3}+\dfrac{n^2}{2}+\dfrac{n}{6}
S_3(n)=\dfrac{n^4}{4}+\dfrac{n^3}{2}+\dfrac{n^2}{4}
S_4(n)=\dfrac{n^5}{5}+\dfrac{n^4}{2}+\dfrac{n^3}{3}-\dfrac{n}{30}
S_5(n)=\dfrac{n^6}{6}+\dfrac{n^5}{2}+\dfrac{5n^4}{12}-\dfrac{n^2}{12}
S_6(n)=\dfrac{n^7}{6}+\dfrac{n^6}{2}+\dfrac{n^5}{2}-\dfrac{n^3}{6}+\dfrac{n}{42}
のように導くことができる.

というものである.この累乗和の公式 S_{k-1}(n)nx に置き換えた P_k(x)=S_{k-1}(x)
が成立することが予想される.もちろん,多項式一致の定理により P_k(x)=S_{k-1}(x) でなければならないが,ここまでで用いているのは任意の自然数 N に対して P_k(N)-P_k(N-1)=N^{k-1} が成立することだけであり,そもそも任意の実数 x について P_k(x)-P_k(x)=x^{k-1} が成立するような k多項式 P_k(x) が存在するかどうかはわからない.だから(2)で存在を示せとあるのである.

とりあえず,P_k(x) の存在と一意性が言えれば,P_k(x)=S_{k-1}(x) となることが言えることになる.そして例えば

mathlog.info

などを参照すると,第二種スターリング数 \displaystyle{k\brace i}(区別できる k 個のものを空なしの i 個の区別できないグループに分割する場合の数)及び下降階乗羃 x^{\underline{i}}=x(x-1)\cdots (x-i+1) を用いて
P_{k}(n)=S_{k-1}(n)=(n+1)\displaystyle\sum_{i=1}^{k-1}\dfrac{\displaystyle{k-1\brace i}}{i+1} n^{\underline{i}}
と表せることがわかる.そしてx多項式として
P_k(x)=(x+1)\displaystyle\sum_{i=1}^{k-1}\dfrac{\displaystyle{k-1 \brace i}}{i+1} x^{\underline{i}}
が成立する.これを本問の Q_i(x)=\dfrac{n^{\underline{i}}}{i!} を用いて変形すると
P_k(x)=\displaystyle\sum_{i=1}^{k-1}\dfrac{\displaystyle{k-1 \brace i}}{i+1} x^{\underline{i}}\cdot (x-i+i+1)=\displaystyle\sum_{i=1}^{k-1} {k-1 \brace i} \left(\dfrac{x^{\underline{i+1}}}{i+1}+x^{\underline{i}}\right)=\displaystyle\sum_{i=2}^{k} {k-1 \brace i-1} \dfrac{x^{\underline{i}}}{i}+\displaystyle\sum_{i=1}^{k-1} {k-1 \brace i} x^{\underline{i}}=\displaystyle\sum_{i=1}^{k} \dfrac{1}{i} \left({k-1 \brace i-1} +i\cdot {k-1 \brace i} \right) x^{\underline{i}}=\displaystyle\sum_{i=1}^{k} \dfrac{1}{i} {k \brace i} x^{\underline{i}}=\displaystyle\sum_{i=1}^{k} (i-1)! {k \brace i} Q_{i}(x)
となり,c_i=(i-1)!\displaystyle {k \brace i} と具体的に求めることができる.ここで第二種スターリング数は整数であるから c_i も整数である.

例えば k=4 のとき
P_4(x)=\displaystyle\sum_{i=1}^{4} (i-1)! {4 \brace i} Q_{i}(x)=Q_{1}(x)+7Q_{2}(x)+12Q_{3}(x)+6Q_{4}(x)(昇羃の順)
=6\dfrac{x(x-1)(x-2)(x-3)}{24}+12\cdot \dfrac{x(x-1)(x-2)}{6}+7\cdot\dfrac{x(x-1)}{2}+x(降羃の順)
となっている.

さて,条件(C)の第一式であるが,これを \displaystyle\int_{x-1}^x P'_k(t)\, dt=x^{k-1} と見て微分すると P'_k(x)-P'_k(x-1)=(k-1)x^{k-2} が成立することが必要である.このとき条件(C)の第一式から
(k-1)P_{k-1}(x)-(k-1)P_{k-1}(x-1)=(k-1)x^{k-2} も成立するので
P'_k(x)-(k-1)P_{k-1}(x)=P'_k(x-1)-(k-1)P_{k-1}(x-1) が任意の x に対して成立することが必要であり,
よって P'_k(x)=(k-1)P_{k-1}(x)+C の形をしていることがわかる.

[大人の解答]
(2) P_1(x)=xP_{k+1}(x)=\displaystyle\int_0^x k P_{k}(t)\, dt+\left(\displaystyle\int_{-1}^0 k P_{k}(t)\, dt\right) xk=1,2,…)によって定められた P_k(x) は条件(C)を満たすことを示す.

まず,P_k(0)=0+\left(\displaystyle\int_{-1}^0 k P_{k}(t)\, dt\right)\cdot 0=0
であるから条件(C)の第二式は任意の自然数 k に対して満たしている.

次に k=i において任意の実数 x に対して条件(C)の第一式が満たされていると仮定すると,任意の実数 x に対して
P_{i+1}(x)-P_{i+1}(x-1)=\displaystyle\int_0^x i P_{i}(t)\, dt-\displaystyle\int_1^{x} i P_{i}(t-1)\, dt+\displaystyle\int_{-1}^0 i P_{k}(t)\, dt
=\displaystyle\int_0^x i P_{i}(t)\, dt-\displaystyle\int_1^{x} i P_{i}(t-1)\, dt+\displaystyle\int_{0}^1 i P_{i}(t-1)\, dt
=\displaystyle\int_0^x i\{P_{i}(t)-P_{i}(t-1)\}\, dt=\displaystyle\int_0^x i t^{i-1}\, dt=x^{i}
が成立する.これと k=1 のときに任意の実数 x に対して P_1(x)-P_1(x-1)=1=x^0 が成立することから,帰納的に任意の自然数 k について任意の実数 x に対して条件(C)の第一式が成立する.

以上から条件(C)を満たす P_k(x) の存在が言えた.また,条件(C)で x=1,2,…,N と加えることにより,任意の自然数 N に対して
P_k(N)=\displaystyle\sum_{i=1}^N i^{k-1}
が成立することが必要であるから,多項式一致の定理から,このようにな P_k(x) が存在すれば一意に定まる.

以上により,P_k(x) の存在と一意性が言えた.

(1) (2)より P_1(x)=x であり,
P_{2}(x)=\displaystyle\int_0^x t\, dt+\left(\displaystyle\int_{-1}^0 t\, dt\right) x=\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x}{2}x
である.

(3) 多項式累乗和 \displaystyle\sum_{i=1}^N i^{k-1} は第二種スターリング数 \displaystyle{k\brace i} を用いて
\displaystyle\sum_{i=1}^N i^{k-1}=\displaystyle\sum_{i=1}^{k} \dfrac{1}{i} {k \brace i} N^{\underline{i}}=\displaystyle\sum_{i=1}^{k} (i-1)! {k \brace i} Q_{i}(N)
と表すことができる(任意の N について成立する)ので,多項式一致の定理から多項式として
P_k(x)=\displaystyle\sum_{i=1}^{k} (i-1)! {k \brace i} Q_{i}(x)
が成立し,c_i=(i-1)!\displaystyle {k \brace i} が成立する.ここで第二種スターリング数は整数であるから c_i は整数である.なお,Q_i(x)i 次の多項式であるから,Q_1(x),…,Q_k(x) は線形独立であり,k 次以下の x で割り切れる多項式のなす線形空間の基底となるので,これらの線形結合による表現は一意である.

[解答]
(1) P_1(0)=0 なる1次式 P_1(x)P_1(x)=ax と置くことができ,P_1(x)-P_1(x-1)=a=x^0=1 により P_1(x)=x となる.また,P_2(0)=0 なる2次式 P_2(x)P_2(x)=bx^2+cx と置くことができ,P_2(x)-P_2(x-1)=2bx+c-b=x により P_1(x)=\dfrac{1}{2}x^2+\dfrac{1}{2}x となる.

(2)(3) 条件(C)を満たす P_k(x) は任意の自然数 N に対して P_k(N)=\displaystyle\sum_{i=1}^N i^{k-1} が成立するので,存在すれば一意である.以下,Q_k(x) の整数倍の和によって具体的に P_k(x) を構成できることを示すことにより,P_k(x) の存在を証明及び(3)を証明する.

Q_k(x)=\dfrac{1}{k!}x(x-1)\cdots (x-k+1)k=1,2,…)である.また Q_0(x)=1(定数関数)と定めるものとする.

このとき P_k(x)Q_k(x) で割った商を c_k,余りを r_{k-1}(x) とし,r_{k-1}(x)
Q_{k-1}(x) で割った商を c_{k-1},余りを r_{k-2}(x) とし,r_{k-2}(x)
Q_{k-2}(x) で割った商を c_{k-2},余りを r_{k-3}(x) とし,と繰り返すことにより,与えられた定数項が0である k多項式 P_k(x) に対して
P_k(x)=c_1Q_1(x)+c_2Q_2(x)+\cdots+c_kQ_k(x)
を満たす c_1,c_2,…,c_k が唯一存在する.

このとき Q_i(x)-Q_i(x-1)=Q_{i-1}(x-1) に注意すると
P_k(x)-P_k(x-1)=c_1Q_0(x-1)+c_2Q_1(x-1)+\cdots+c_kQ_{k-1}(x-1)=x^{k-1}
が成立する.

ここで Q_i(x-1)=\dfrac{x^i+q(i,i-1)x^{i-1}+…+q(i,1)x+q(i,0)}{i!}
q(i,j)0\leqq j\leqq i-1)は整数)と表すことができるので,
x^{k-1}=c_1Q_0(x-1)+c_2Q_1(x-1)+\cdots+c_kQ_{k-1}(x-1)
の係数を比較すると,高次の項から
c_k\cdot\dfrac{1}{(k-1)!}=1
c_k\cdot \dfrac{q(k-1,k-2)}{(k-1)!}+c_{k-1}\cdot\dfrac{1}{(k-2)!}=0
c_k\cdot \dfrac{q(k-1,k-3)}{(k-1)!}+c_{k-1}\cdot \dfrac{q(k-2,k-3)}{(k-2)!}+c_{k-2}\cdot\dfrac{1}{(k-3)!}=0
…,
c_k\cdot \dfrac{q(k-1,1)}{(k-1)!}+c_{k-1}\cdot \dfrac{q(k-2,1)}{(k-2)!}+…+c_{3}\cdot \dfrac{q(2,1)}{2!}+c_{2}\cdot\dfrac{1}{1!}=0
c_k\cdot \dfrac{q(k-1,0)}{(k-1)!}+c_{k-1}\cdot \dfrac{q(k-2,0)}{(k-2)!}+…+c_{2}\cdot \dfrac{q(2,0)}{1!}+c_{1}=0
が成立する.整理して
c_k=(k-1)!
c_{k-1}=-c_k\cdot \dfrac{q(k-1,k-2)}{k-1}
c_{k-2}=-c_k\cdot \dfrac{q(k-1,k-3)}{(k-1)(k-2)}-c_{k-1}\cdot \dfrac{q(k-2,k-3)}{k-2}
…,
c_2=-c_k\cdot \dfrac{q(k-1,1)}{{}_{k-1}\mbox{P}_{k-2}}-c_{k-1}\cdot \dfrac{q(k-2,1)}{{}_{k-2}\mbox{P}_{k-3}}-…-c_{3}\cdot \dfrac{q(2,1)}{2}
c_1=-c_k\cdot \dfrac{q(k-1,0)}{(k-1)!}-c_{k-1}\cdot \dfrac{q(k-2,0)}{(k-2)!}-…-c_{2}\cdot \dfrac{q(2,0)}{1!}
となる.よって上から順番に c_i(i-1)! の倍数であることが帰納的に言え,よって c_i は整数となる.

以上から具体的に Q_k(x) の整数係数の線形結合で P_k(x) を構成することができたので(2)(3)は示された.

ここで q(i,j)1 から i のうち異なる i-j 個を得らんだ積の総和に (-1)^j を乗じたものとなる.また[解答]の流れではわかりにくいが c_1=1 も成立する.




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