2024.02.07記


例えば,図1のグラフは頂点が 個,辺が
個あり,辺
(
,…,
)の頂点は
と
である.
,
は白頂点であり,
,
,
は黒頂点である.
出発点とするグラフ (図2)は,
,
であり,ただ1つの頂点は白頂点であるとする.
与えられたグラフ から 新しいグラフ
を作る.
種類の操作を以下で定義する.これらの操作では頂点と辺の数がそれぞれ1だけ増加する.
(操作1)この操作は の頂点
を
つ選ぶと定まる.
は
に新しい頂点
を加えたものとする.
は
に新しい辺
を加えたものとする.
の頂点は
と
とし,
のそれ以外の辺の頂点は
での対応する辺の頂点と同じとする.
において頂点
の色が白又は黒ならば,
における色はそれぞれ黒又は白に変化させる.それ以外の頂点の色は変化させない.また
は白頂点にする(図3).


(操作2)この操作はの辺
を1つ選ぶと定まる.
は
に新しい頂点
を加えたものとする.
は
から
を取り去り,新しい辺
,
を加えたものとする.
の頂点が
と
であるとき,
の頂点は
と
であり,
の頂点は
と
であるとする.
のそれ以外の辺の頂点は
での対応する辺の頂点と同じとする.
において頂点
の色が白又は黒ならば,
における色はそれぞれ黒又は白に変化させる.
についても同様に変化させる.それ以外の頂点の色は変化させない.また
は白頂点にする(図4).



出発点のグラフ にこれら
種類の操作を有限回繰り返し施して得られるグラフを可能グラフと呼ぶことにする.次の問いに答えよ.


(1) 図5の つのグラフはすべて可能グラフであることを示せ.ここで,すべての頂点の色は白である.
(2) を自然数とするとき,
個の頂点を持つ図6のような棒状グラフが可能グラフになるために
の満たすべき必要十分条件を求めよ.ここで,すべての頂点の色は白である.
2019.04.03記
大学入試史上最難問と名高いこの問題の元ネタは、首都大学東京の小林正典先生の研究
https://www.mathsoc.jp/publication/tushin/2202/2202kobayashi.pdf
です。この pdf は日本数学会2017年度年会における市民講演会(2017年3月26日)の資料です。私も聞きに行きました。当時の予備校の速報の話については2003年に刊行された
2020.03.26追記
2020.10.22追記
小林先生が、大学への数学2018年1月号に、本問に関する記事
「史上最悪の難問」の背景
を執筆されています。
2025.04.29追記
最近のXで流行っているらしい.
東大出身のスコア上位勢から直々に「東大後期1998年第3問」の簡潔な解法が送られてきたんだけどエレガントすぎて震えた
— ナマリカルテ/NamariKarte (@NamariKarte) 2025年4月27日
やばい点
・色そのものでなく色の変化に数字を対応させる発想
・1と2の数字列にすればmod3が使えるという発想
・ネット上どこにも転がってない完全にオリジナルな解法 https://t.co/N80B7pAiCJ
時代を経るにつれてより優れた解法が登場する訳で,世の中ちゃんと進歩しているのがうれしい.
この解法を検討はしていないけど mod 3 での不変量というのは結局は正三角形の置換の回転量 の何倍かに対応していると思う.もちろん同じことをより初等的に説明できることは非常にすばらしく,世の中でもっと評価されるべきことである.
なお,本問が当時難問であったのは「 を3で割った余りが2のときに不可能である」ことの証明であって,
を3で割った余りが2でないときに可能であることは,やって見せるだけなのでそれほど難しくなく,正答率0%というよりかは完答率0%の方がイメージに合う.