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1946年(昭和21年)東京帝國大學第二工學部-數學[4]

2022.06.02記

[4] 方程式 x^4+ax^2+bx+c=0 の實根の数を調べよ.但し abc は實數にして,且つ c\leqq 0a(b^2 -4ca)\geqq 0 なるものとする.

2025.01.08記
これは出題ミスである.一応の解答を書くことはできるが勘違いに基づく設問なので a(b^2 -4ca)\geqq 0 という条件が機能していない.

4次方程式の解の様子を知るには

四次方程式 - Wikipedia

にもあるように,判別式
\Delta=256c^3-128a^2c^2+144ab^2c-27b^4+16a^4c-4a^3b^2
及び
P=8aR=8b\Delta_0=a^2+12cD=16(4c-a^2)
a\sim cWikipedia ではなく本問の記号)
の符号によって解の状態は場合分けされる.そしてその場合分けには b^2-4ac の符号は登場しない.これらの量を知っていたり,その場で導ける受験生は皆無であろうから,大学入試問題としては不適切である.

本問は a\geqq 0 なら実数解の個数は決定できるが,a\lt 0 の場合,実数解は2個以上となることはわかるが,2個,3個,4個のいずれとなるかをきちんと求めるのは難しい.

先程の Wikipedia の判別方法を用いると,例えば実数解が4個となる条件は
\Delta=256c^3-128a^2c^2+144ab^2c-27b^4+16a^4c-4a^3b^2\gt 0
P=8a\lt 0D=16(4c-a^2)\lt 0
となり,a\lt 0 であれば条件 c\leqq 0 から P\lt 0D\lt 0 は満たされるが,\Delta の符号は b^2-4ac\leqq 0 からは決まらず,正,0,負のいずれもありうるのである.

本問のミスはおそらく,上に凸な y=-x^4 と上に凸で x 軸と異なる2点で交わらない放物線が3点以上では交わらないだろうという思い込みから生じたものだと思われ,実際に実数解が4個となる例を探すのには苦労をするぐらい「ほとんどの場合」(という言い方は良くないが),a\lt 0 の場合の実数解の個数は2つとなる.

例は汚いが(今からすればもっと簡単な例が作れるが面倒)
x^4-1000x^2+4465x-5000=0
c=-5000\leqq 0
a(b^2-4ac)=-1000(4465^2-20000000)=63775000\geqq 0
により条件を満たしており,
x≒-33.7168305235282.1569835596722.35400095906229.205846004794
と4つの実数解を持つ.

x^4-1000x^2+4460x-5000=0
c=-5000\leqq 0
a(b^2-4ac)=-1000(4460^2-20000000)=108400000\geqq 0
により条件を満たしており,2つの実数解
x≒-33.71475984121929.209040718648
と2つの虚数
x≒2.2528595612855 \pm 0.043836402986i
を持つ.

x^4-1000x^2+bx-5000=0
が重解をもつとき,
x^4-1000x^2+bx-5000=0

4x^3-2000x+b=0
を連立させて,b を消去した
3x^4-1000x^2+5000=0
から
x^2=\dfrac{100(10\pm \sqrt{94})}{6}
となるが,重解が 2 の近辺にあると考えて
x^2=\dfrac{100(10-\sqrt{94})}{6}
を採用して
x=\dfrac{10}{6}\sqrt{6(10-\sqrt{94})}=2.25329493989…
が重解であり,このとき
b=(2000-4x^2)x=\dfrac{8000+400\sqrt{94}}{6}\cdot\dfrac{10}{6}\sqrt{6(10-\sqrt{94})}
\dfrac{2000}{9} \sqrt{3(590-47\sqrt{94})}=4460.8269189…
となる.よって
x^4-1000x^2+\dfrac{2000}{9} \sqrt{3(590-47\sqrt{94})}x-5000=0
は条件を満たし,3つの実数解を持つことがわかる.

なお,x^4-1000x^2+bx-5000=0 の判別式は b の複二次方程式となるので,これから b を求めることができる.

2025.01.08記

[解答]
ここで重解は1つと数えることにする.

(i) a\gt 0 のとき:
y=-x^4y=ax^2+bx+c の交点の個数を数えれば良い.

上に凸な y=-x^4 と下に凸な y=ax^2+bx+c の共有点は高々2つである.

(a) b=c=0 のとき:x^4=ax^2 から x=0,\pm\sqrt{a}i となるので共有点は1つである.

(b) b\neq 0,c=0 のとき:x^4+ax^2+bx=(x^3+ax+b)x=0 から x=0x^3+ax+b=0 の実数解について考えれば良いが b\neq 0 よりこの3次方程式は0でない実数解を少なくとも1個持つ.よって共有点は2つである.

(c) c\lt 0 のとき:(0,c/2) は上に凸な y=-x^4 と下に凸な y=ax^2+bx+c で囲まれた部分の境界ではなく内部の点となる.よって共有点は2つである.

(ii) a=0 のとき:
y=-x^4y=bx+c の交点の個数を数えれば良い.

上に凸な y=-x^4 と直線 y=bx+c の共有点は高々2つである.

(a) b=c=0 のとき:x^4=0 から x=0 となるので共有点は1つである.

(b) b\neq 0,c=0 のとき:x^4+bx=(x^3+b)x=0 から x=0x^3+b=0 の実数解について考えれば良いが b\neq 0 よりこの3次方程式は0でない実数解を少なくとも1個持つ.よって共有点は2つである.

(c) c\lt 0 のとき:(0,c/2) は上に凸な y=-x^4 と直線 y=+bx+c で囲まれた部分の境界ではなく内部の点となる.よって共有点は2つである.

(iii) a\lt 0 のとき:

a=-p^2p\gt 0)とおき,X=\dfrac{x}{p}q=\dfrac{b}{p^3}r=\dfrac{c}{p^4}
と変数変換することにより,
X^4-X^2+qX+r=0r\leqq 0q^2+4r\leqq 0
の実数解の個数を調べれば良い
(そして Y=-X^4+X^2Y=qX+r の位置関係で結論付けたかったが,そうは問屋が卸さなかった).

ここで係数の条件は
r\leqq -\dfrac{q^2}{4}
のみとなる.この4次方程式の解の状態は判別式
\Delta=256r^3-128r^2-144q^2r-27q^4+16r+4q^2
及び
P=-8\lt 0R=8q\Delta_0=1+12rD=16(4r-1)\lt 0
の符号で決定される.

P\lt 0D\lt 0 であるから,
(a) \Delta\lt 0 のとき実数解2つ(単解、単解、共役複素数解)
(b) \Delta\gt 0 のとき実数解4つ
(c) \Delta=0 かつ \Delta_0\neq 0r\neq -\dfrac{1}{12})ならば実数解3つ(二重解、単解、単解)
(d) \Delta=0 かつ \Delta_0=0r=-\dfrac{1}{12})ならば実数解2つ(三重解、単解)

と分類される.よって
\Delta=256c^3-128a^2c^2+144ab^2c-27b^4+16a^4c-4a^3b^2\gt 0
として

(I) \Delta\lt 0 または「 \Delta=0 かつ a^2+12c\neq 0」 ならば実数解2つ

(II) \Delta=0 かつ a^2+12c=0 ならば実数解3つ

(III) \Delta\gt 0 のとき実数解4つ

となる.

以上から,\Delta=256c^3-128a^2c^2+144ab^2c-27b^4+16a^4c-4a^3b^2 として,

(A) 実数解が1つとなるのは a\geqq 0,b=c=0

(B) 実数解が2つとなるのは「 a\geqq 0,b^2+c^2\neq 0」または
a\lt 0 かつ \Delta\lt 0」または「a\lt 0 かつ \Delta=0 かつ a^2+12c\neq 0

(C) 実数解が3つとなるのは「a\lt 0 かつ \Delta=0 かつ a^2+12c=0

(D) 実数解が4つとなるのは「a\lt 0 かつ \Delta\gt 0

となる.

結局,a\geqq 0(かつ c\leqq 0) のとき \Delta\leqq 0 が成立することになるが,それを示すのは面倒そうである.

なお,Wikipedia
「4. D=0 のとき、2. P\lt 0 かつ R=0 ならば、1組の共役複素数である、異なる 2個の虚数二重解を持つ。」

「4. D=0 のとき、2. P\gt 0 かつ R=0 ならば、1組の共役複素数である、異なる 2個の虚数二重解を持つ。」
の間違い.実際 (x^2+1)^2=x^4+2x^2+1=0D=R=0P\gt 0 を満たしている.

2025.01.09記
当時の出版物の間違った解答

[間違った解答]
-x^4=ax^2+bx+c=0
として y=-x^4y=ax^2+bx+c なる二つの曲線を xy 平面で追跡してその交点の数を読めば與えられた方程式の根の数を求められる.
y=-x^4 は原点を通る上に凸な y 軸に主軸を持つ抛物線に類似した曲線を表わす.
次に y=ax^2+bx+c を考えるこの曲線は y 軸を (0,c) で切る.
a(b^2-4ca)\geqq 0 より a\gt 0 のとき b^2-4ac\geqq 0 となる.
このとき y=ax^2+bx+c二次方程式 y=ax^2+bx+c=0 は二つの実根をみつから x 軸を二ヶ所で切る y 軸に平行な主軸をもつ下に凸である抛物線を與える.よって y=-x^4 の二ヶ所で交わる.
a\lt 0 のとき b^2-4ac\geqq 0 このとき y=ax^2+bx+c=0 は実根をもたないから,x 軸と交わらない主軸が y 軸に平行な主軸を持つ抛物線を與え,この場合絶対値が相当大なる x に対しては y=-x^4y の値の方が y=ax^2+bx+cy の値より絶対値に於て大きくなるから抛物線の位置如何にかかわらず,四次曲線の方が下に來るからこの場合も交点は必ず二つある.よつて與えられた方程式は二つの実根を持つ.
次に a=0 となるときは y=ax^2+bx+cy=bx+c は点 (0,c) を通る直線を與えこの場合も交点は必ず二つあるからやはり二つの実根を持つ.

なお,以上をもって次の結論を導くのは間違いとは言えない.

ここで重解は重複度で数えることにすると,方程式は必ず二つ以上の実根を持つ.

つまり

[4] 方程式 f(x)=x^4+ax^2+bx+c=0 は少なくとも2つの実数解を持つことを示せ.但し abc は実数にして,かつ c\leqq 0 なるものとする.なお,ここで重解は重複度をもって数えるものとする.

という問題は正しく,これを解くのであれば
f(0)\leqq 0\displaystyle\lim_{x\to\pm\infty} f(x)=+\infty
から明らかで,やはり a(b^2-4ac)\geqq 0 という条件は不要となる.




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