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1985年(昭和60年)東京工業大学-数学[1]

2025.04.05記

[1] 2つの条件

(i) a^2-2b^2=1 または a^2-2b^2=-1

(ii) a+\sqrt{2}b\gt 0

を満たす任意の整数 ab から得られる実数 g=a+\sqrt{2} b 全体の集合を G とする.1 より大きい G の元のうち最小のものを u とする.

(1) u を求めよ.

(2) 整数 nG の元 g に対し, gu^nG の元であることを示せ.

(3) G の任意の元 g は適当な整数 m によって, g=u^m と書かれることを示せ.

本問のテーマ
ペル方程式

ペル方程式 - 球面倶楽部 零八式 mark II

2025.04.05記

[解答]
(1) u_1=p+\sqrt{2}q\in G に対して u_2=p-\sqrt{2}q とおくと u_1|u_2|=|u_1u_2|=|p^2-2q^2|=1 であるから |u_2|\lt -1 が成立する.よって
p+\sqrt{2}q\gt 1…①,p-\sqrt{2}q\gt -1…②,\sqrt{2}q-p \gt -1…③
が成立する.①+②から p\gt 0,①+③から q\gt 0 となるので「p+\sqrt{2}q\in G かつp+\sqrt{2}q\gt 1」であることと「p\gt0 かつ q\gt 0」は同値となる.よって 1 より大きい G の元のうち最小のものは p=q=1 とした u=1+\sqrt{2} である.

(2) g=a+\sqrt{2}b\in G に対して
gu=(a+\sqrt{2}b)(1+\sqrt{2})=(a+2b)+\sqrt{2}(a+b)gu^{-1}=(a+\sqrt{2}b)(-1+\sqrt{2})=(-a+2b)+\sqrt{2}(a-b) であり,
|(a+2b)^2-2(a+b)^2|=|-a^2+2b^2|=|a^2-2b^2|=1
|(-a+2b)^2-2(a-b)^2|=|-a^2+2b^2|=|a^2-2b^2|=1
を満たすので gu,gu^{-1}\in G である.このとき同様にして gu^2=(gu)u,gu^{-2}=(gu^{-1})u^{-1}\in G が成立し,以下,帰納的に任意の自然数 n に対して gu^n,gu^{-n}\in G が成立する.これと gu^0=g\in G により,任意の整数 nG の任意の元 g に対して gu^nG の元である.

(3) u\gt 1 により u^m は整数 m について単調増加で m\to-\inftyu^m\to 0m\to+\inftyu^m\to +\infty が成立するので,任意の実数 x に対して適当な整数 m が存在して u^m\leqq x\lt u^{m+1} が存在する…(★).

さて,どの整数 m を用いても g=u^m と書けない g\in G が存在すると仮定すると(★)から
u^m\lt g\lt m^{k+1}(左の等号が成立しない)を満たす整数 m が存在し,このとき(2)により 1\lt \dfrac{g}{u^m}\lt u かつ \dfrac{g}{u^m}\in G が成立することになるが,これは 1 より大きな G の元のうち最小のものが u であることに反する.よってどの整数 m を用いても g=u^m と書けない g\in G は存在せず,任意の G の元はある整数 m を用いて u^m と書かれる.

G の元のうち a^2-2b^2=1 を満たすものの集合を G_{+}a^2-2b^2=-1 を満たすものの集合を G_{-} とすると,(2)の計算から
g\in G_{+} ならば gu\in G_{-}」,「g\in G_{-} ならば gu\in G_{+}
であることがわかり,u\in G_{-} であるから,(3) とあわせて「g\in G_{+} ならばある整数 k を用いて g=(u^{2})^k」,「g\in G_{-} ならばある整数 k を用いて g=u^{2k-1}」と書けることがわかる(ペル方程式 - 球面倶楽部 零八式 mark II 参照).

1988年(昭和63年)京都大学-数学(理系)[3] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR の行列の方法と比較すると

g\in G_{+}u^2 を掛けてより大きな x^2-2y^2=1 の解 gu^2 を得ることと \begin{pmatrix} x \\ y\end{pmatrix}A^{-1} を掛けてより大きな x^2-3y^2=1 の解 A^{-1}\begin{pmatrix} x \\ y\end{pmatrix} を得ることが対応しており,全ての解が (u^2)^m と書かれることが (A^{-1})^m\begin{pmatrix} x \\ y\end{pmatrix} と書かれることに対応している.そしてその証明も逆を辿ると最小のものに行きつくことを利用したものとなっている.




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