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2026年(令和8年)京都大学理学部特色入試・数理科学入試-数学[4]

2025.11.15記

[4] a,b を正の実数とし,a\gt 1 とする.定義域を x\geqq 0 とする連続関数 f(x)g(x)h(x) が次の3つの等式を満たしているとする.

f(x)=a\exp(-h(x))
g(x)=b\exp\left(\displaystyle\int_0^x (f(y)-1)\,dy\right)
h(x)=\displaystyle\int_0^x g(y)\,dy

ただし,\exp(x)=e^x とする.このとき g(x) の最大値を求めよ.

本問のテーマ
連続型 Kermack-McKendrick SIR(Susceptible-Infectious-recovered)モデル

2025.11.15記

f(x)=a\exp(-h(x))…①
g(x)=b\exp\left(\displaystyle\int_0^x (f(y)-1)\,dy\right)…②
h(x)=\displaystyle\int_0^x g(y)\,dy…③

において②と b\gt 0 から g(x)\gt 0 であり,よって③から h(x)h(0)=0 で単調増加である.よって①から f(x) は単調減少となる.ここで f(0)=a\exp(-h(0))=a\exp 0=a\gt 1 である.

②より
g'(x)=b\exp\left(\displaystyle\int_0^x (f(y)-1)\,dy\right)\times (f(x)-1)
となる.ここで f(x)=1 となる実数 x が存在しないと仮定すると
g'(0)=b(a-1)\gt 0g'(x) が連続であることから x\gt 0g'(x)\gt 0 となるので g(x) は単調増加であり,③より h(x)\gt g(0)x となるので \displaystyle\lim_{x\to+\infty} h(x)=+\infty となる.よって①から \displaystyle\lim_{x\to+\infty} f(x)=0 となり矛盾する.

よって f(x)=1 となる x\gt 0 が存在し,g(x)f(x)=1 となる x において最大値をとる.

と途中で保留.

2025.11.16記
f'(x)=-f(x)h'(x)=-f(x)g(x)g'(x)=g(x)\{f(x)-1\}h'(x)=g(x) は求めていたのだけど合計すれば消えることになかなか気付きませんでした.

[解答]
f(x)=a\exp(-h(x))…①
g(x)=b\exp\left(\displaystyle\int_0^x (f(y)-1)\,dy\right)…②
h(x)=\displaystyle\int_0^x g(y)\,dy…③

において②と b\gt 0 から g(x)\gt 0 であり,よって③から h(x)h(0)=0 で単調増加である.よって①から f(x) は単調減少となる.ここで f(0)=a\exp(-h(0))=a\exp 0=a\gt 1 である.

②より
g'(x)=b\exp\left(\displaystyle\int_0^x (f(y)-1)\,dy\right)\times (f(x)-1)
となる.ここで f(x)=1 となる実数 x が存在しないと仮定すると
g'(0)=b(a-1)\gt 0g'(x) が連続であることから x\gt 0g'(x)\gt 0 となるので g(x) は単調増加であり,③より h(x)\gt g(0)x となるので \displaystyle\lim_{x\to+\infty} h(x)=+\infty となる.よって①から \displaystyle\lim_{x\to+\infty} f(x)=0 となり矛盾する.

よって f(x)=1 となる x\gt 0 が存在し,g(x)f(x)=1 となる x において最大値をとる.

さて,①②③を微分して
f'(x)=-f(x)h'(x)g'(x)=g(x)\{f(x)-1\}h'(x)=g(x)
が成立する.よって f'(x)=-f(x)g(x) となり,
f'(x)+g'(x)+h'(x)=0
が成立するので,f(x)+g(x)+h(x) は定数関数である.

ここで h(0)=\displaystyle\int_0^0 g(y)\,dy=0f(0)=a\exp 0=ag(0)=b であるから f(x)+g(x)+h(x)=f(0)+g(0)+h(0)=a+b である.
f(x)=1 となる xC とおくと 1=f(C)=a\exp(-h(C)) であるから h(C)=\log a となるので
f(C)+g(C)+h(C)=a+b であるから g(C)=a+b-1-\log a となり,g(x) の最大値は a+b-1-\log a である.

いや,難問というよりか f'(x)+g'(x)+h'(x)=0 に気付くかどうかという問題で大変でした.それにしても良くこんな問題を作ったものです.

2025.11.18記
コメントに,背景が SIR モデルではないかというご指摘をいただきました.

ご指摘ありがとうございます。まさにその通りだと思います.そのコメントツリーにある青山学院大学の問題は 2021年(令和3年)青山学院大学経済学部B方式-数学[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR にて取り上げていました(なのに気付かなかったのは情けない).本問の背景は SSS Education 様の解説に任せるとして,青山学院大学の問題は離散版で本問は連続版で「f'(x)+g'(x)+h'(x)=0 に気付くかどうかという問題で大変でした」というのが S_{n+1} - S_n = -\beta S_nI_n I_{n+1} - I_n =\beta S_nI_n -\gamma I_nR_{n+1} = R_n=\gamma I_n の3式の合計が 0 になることに対応します.これを連続で表現すると
\left\{\begin{array}{ll}\dfrac{dS(t)}{dt}= -\beta S(t)I(t) & \cdots\cdots① \\ \dfrac{dI(t)}{dt}=\beta S(t)I(t) -\gamma I(t) & \cdots\cdots② \\ \dfrac{dR(t)}{dt}=\gamma I(t) & \cdots\cdots③ \end{array} \right.
となります.f'(x)=-f(x)h'(x)g'(x)=g(x)\{f(x)-1\}h'(x)=g(x) と比べると
S(t)f(x)I(t)g(x)R(t)h(x)\beta=\gamma=1)に対応しているので,関数の順番も SIR モデルと同じになっていて背景が SIR モデルというのは間違いなさそうです.よくぞ短期間で気付いたものです(通常の SIR モデルは連立微分方程式として与えられているので当方はまったく気付きませんでした).

2021年(令和3年)青山学院大学経済学部B方式-数学[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR にも書きましたが,\displaystyle\lim_{x\to+\infty} f(x)=F\gt 0 とすると \dfrac{e^F}{F}=\dfrac{e^{a+b}}{a} が成立し,ランベルトの W 関数を用いると F=-W(-ae^{-(a+b)}) で与えられます.

2025.11.19記
f,g,h は連続としか書かれてなくて微分可能性を示さなくては?という意見を見かけました.確かにその通りだとは思いますが,本問の場合,g,h微分可能であることはその形から明らか(教科書では不定積分微分の逆として定義している)で,fh微分可能により微分可能ですから,もちろん書くと丁寧ではあるものの,(教科書では不定積分微分の逆として定義している前提のもとでは)ほぼ自明であるように思います.個人的には受験生にそこまで要求するのであれば,微分可能性を示すように問題文で要求して欲しいと思います(特色入試なのだからそこまで気が回るかまでチェックしていると言われたら仕方がありません).

2025.11.23記

の pp.112-121 を参照のこと.




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