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2026年(令和8年)京都大学-数学(文系)[3]

2026.03.05.00:23:15記

[3] p3 より大きい素数とする.

(1) 2p 以上の整数 N は,0 以上の整数 m0 以上の整数 k を用いて
N = 3 m + pk
と表すことができることを示せ.

(2) 0 以上の整数 m0 以上の整数を用いて
N = 3 m + pk
と表すことができないような 0 以上の整数 N の個数を求めよ.

本問のテーマ
フロベニウスの硬貨問題(シルベスターの(閉形式)定理)

2026.03.15.15:02:52記
p3 が互いに素であることが重要であり,p が素数かどうかは重要ではありません.

[大人の解答]
3p は互いに素な正の整数であるから,フロベニウスの硬貨問題の一般論により,
「非負整数 m,k を用いて 3m+pk の形で表せない最大の整数は 3p-p-3=2p-3 であり,表すことのできない整数は \dfrac{(3-1)(p-1)}{2}p-1 個(シルベスターの定理)である.

(1) 2p\geqq 2p-3 により 2p 以上の整数 N は,0 以上の整数 m0 以上の整数 k を用いて N = 3 m + pk と表すことができる.

(2) シルベスターの定理により \dfrac{(3-1)(p-1)}{2}=p-1 個である.

結局,本問はフロベニウスの硬貨問題の一般論とシルベスターの定理の証明に近いものを具体的な 3,p について行うことになりますが,(1)の誘導の与え方を考えると,(2)は k=0,1 で場合分けをすることを期待していると考えられます.

[解答]
(1) p3 で割った余りを r とし,p=3a+r とおく.このとき p3 より大きな素数であるから 3 は互いに素となり,r=1 または r=2 である.

(i) r=1 のとき:
2p 以上の整数 N3 で割った余りが 1 ならば N-p(\geqq p\geqq 0)3 で割り切れるので,その商を m とすれば m\geqq 0N=3m+p と表すことができる.また 2p 以上の整数 N3 で割った余りが 2 ならば N-2p(\geqq 0)3 で割り切れるので,その商を m とすれば m\geqq 0N=3m+2p と表すことができる.

(ii) r=2 のとき:
2p 以上の整数 N3 で割った余りが 2 ならば N-p(\geqq p\geqq 0)3 で割り切れるので,その商を m とすれば m\geqq 0N=3m+p と表すことができる.また 2p 以上の整数 N3 で割った余りが 1 ならば N-2p(\geqq 0)3 で割り切れるので,その商を m とすれば m\geqq 0N=3m+2p と表すことができる.

よって全ての場合が尽くされたので,2p 以上の整数 N は,0 以上の整数 m0 以上の整数 k を用いて N=3m+pk と表すことができる.

(2)(i) r=1 のとき:
0\leqq N\leqq p-1 で表せるものは 3 の倍数で 0,3,…,p-1=3aa+1 個だから表せないものは p-a-1 個である.また p\leqq N\leqq 2p-1 で表せないものは 3 で割って 2 余るもので p+1=3a+2,3a+5,…,2p-3=6a-1a 個である.よって合計 p-1 個である.

(2)(i) r=2 のとき:
0\leqq N\leqq p-1 で表せるものは 3 の倍数で 0,3,…,p-1=3aa+1 個だから表せないものは p-a-1 個である.また p\leqq N\leqq 2p-1 で表せないものは 3 で割って 1 余るもので p+2=3a+4,3a+7,…,2p-3=6a+1a 個である.よって合計 p-1 個である.

以上から求める個数は p-1 個である.

表すことのできない最大の整数は(2)(i)(ii)から 2p-3 であることがわかります.

一般化すると,正の整数 p,q が互いに素なとき,p,2p,…,(q-1)pq で割った余りは全て異なり,その集合は \{1,2,…,q-1\} と一致することから,N\geqq (q-1)p であれば N-ip\geqq 0q の倍数となるような i を選ぶことができることがわかるので,N=pk+qmk,m は非負整数)と表せることがわかります.

また,pq で割った余りが r のとき,(q-1)pq で割った余りは q-r となるので((q-1)p\equiv -r(\mbox{mod}\, q)),(q-2)p\leqq N\leqq (q-1)p-1 で表せないものは q で割って q-r 余るものとなり,その最大のものは (q-1)p-q=pq-p-q となります.

シルベスターの(閉形式)定理の証明は母関数による証明が楽です.
f(x)=(1+x^p+x^{2p}+x^{3p}+\cdots)(1+x^q+x^{2q}+x^{3q}+\cdots)
x^{N} の係数が 0 でなければ N=pk+qmk,m は非負整数)と表すことができます.

例えば p=5,q=3 のとき
f(x)=(1+x^5+x^{10}+x^{15}+\cdots+)(1+x^3+x^{6}+x^{9}+x^{12}+x^{15}+\cdots)
=1+x^3+x^5+x^6+x^8+x^9+x^{10}+x^{11}+x^{12}+x^{13}+x^{14}+2x^{15}+\cdots
となり,連続する 3 つの係数が 0 でなければ帰納的にその続きの係数も 0 でなくなるので,
N=5k+3mk,m は非負整数)と表すことができない最大の整数は 7 であることがわかります.

(シルベスターの(閉形式)定理の証明)
0\leqq N\lt pq において N=pk+qmk,m は非負整数)と表すことができない整数の個数を数えれば十分で,それは
g(x)=(1+x^p+x^{2p}+\cdots+x^{pq})(1+x^q+x^{2q}+\cdots +x^{pq})
に登場しない x^N0\leqq N\lt pq)の個数に等しい.

2pq 次式 g(x) は,p,q が互いに素であるから,展開係数は 2x^{pq} を除いて全て 1 となるので,(p+1)(q+1)-1 個の項の和となる.また,x^tx^{2pq-t} の係数は等しいので,
x^NN=0,1,…,pq-1)で係数が 0 でないものは \dfrac{(p+1)(q+1)-1-1}{2} 個となる.

よって求める個数は pq-\dfrac{(p+1)(q+1)-1-1}{2}=\dfrac{2pq-(p+1)(q+1)+2}{2}=\dfrac{(p-1)(q-1)}{2} 個となる.




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