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2014年(平成26年)京都大学-数学(理系)[1](旧版)

2025.05.10記

[1] 座標空間における次の3つの直線 lmn を考える:

l は点 \mbox{A}(1,0,-2) を通り,ベクトル \vec{u}=(2,1,-1) に平行な直線である.

m は点 \mbox{B}(1,2,-3) を通り,ベクトル \vec{v}=(1,-1,1) に平行な直線である.

n は点 \mbox{C}(1,-1,0) を通り,ベクトル \vec{w}=(1,2,1) に平行な直線である.

\mbox{P}l 上の点として,\mbox{P} から mn へ下ろした垂線の足をそれぞれ \mbox{Q}\mbox{R} とする.このとき,\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 を最小にするような \mbox{P} と,そのときの \mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 を求めよ.

2025.05.27記
動くものが3つもあるので幾何的に考えるのは難しいので素直の計算で解く.

[解答]
\overrightarrow{\mbox{OP}}=\overrightarrow{\mbox{OA}}+p\vec{u}\overrightarrow{\mbox{OQ}}=\overrightarrow{\mbox{OB}}+q\vec{v}\overrightarrow{\mbox{OR}}=\overrightarrow{\mbox{OC}}+r\vec{w} とおくと
\overrightarrow{\mbox{PQ}}=\overrightarrow{\mbox{AB}}+q\vec{v}-p\vec{u}\overrightarrow{\mbox{PR}}=\overrightarrow{\mbox{AC}}+r\vec{w}-p\vec{u}
であり,
\overrightarrow{\mbox{PQ}}\bullet\vec{v}=0\overrightarrow{\mbox{PR}}\bullet\vec{w}=0
から
\overrightarrow{\mbox{AB}}\bullet\vec{v}+q\vec{v}\bullet\vec{v}=p\vec{u}\bullet\vec{v}\overrightarrow{\mbox{AC}}\bullet\vec{w}+r\vec{w}\bullet\vec{w}=p\vec{u}\bullet\vec{w}
が成立する.よって -3+3q=0p0+6r=3p,つまり p=2rq=1 が成立する.

このとき
\overrightarrow{\mbox{PQ}}=\overrightarrow{\mbox{AB}}+\vec{v}-2r\vec{u}=(-4r+1,-2r+1,2r)\overrightarrow{\mbox{PR}}=\overrightarrow{\mbox{AC}}+r\vec{w}-2r\vec{u}=(-3r,-1,3r+2)
となり,
\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2=42r^2+7
となる.よって r=0 のとき最小となり,このとき p=0 だから
\mbox{P}(1,0,-2)\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2=7
となる.

真面目にやると
p=\dfrac{(\overrightarrow{\mbox{AB}}+\overrightarrow{\mbox{AC})}\bullet\vec{u}-\dfrac{(\overrightarrow{\mbox{AB}}\bullet\vec{v})(\vec{u}\bullet\vec{v})}{|\vec{v}|^2}-\dfrac{(\overrightarrow{\mbox{AC}}\bullet\vec{w})(\vec{u}\bullet\vec{w})}{|\vec{w}|^2}}{2|\vec{u}|^2-\dfrac{(\vec{u}\bullet\vec{v})^2}{|\vec{v}|^2}-\dfrac{(\vec{u}\bullet\vec{w})^2}{|\vec{w}|^2}}
のときに \mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 が最小となる.

本問の場合は答えが綺麗になるように色々設定している(\vec{u}\perp\vec{v} など)が,数学的には \vec{u},\vec{v},\vec{w} を単位ベクトルとして考える方が良いだろう.このとき \mbox{BC} の中点を \mbox{M} とおくと
p=\dfrac{2\overrightarrow{\mbox{AM}}\bullet\vec{u}-(\overrightarrow{\mbox{AB}}\bullet\vec{v})(\vec{u}\bullet\vec{v})-(\overrightarrow{\mbox{AC}}\bullet\vec{w})(\vec{u}\bullet\vec{w})}{2-(\vec{u}\bullet\vec{v})^2-(\vec{u}\bullet\vec{w})^2}
のときに \mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 が最小となる.このときベクトル \vec{u}\vec{v}\vec{w} へ正射影する行列を U=\vec{u}\vec{u}^{\top}V=\vec{v}\vec{v}^{\top}W=\vec{w}\vec{w}^{\top} とおくと
\overrightarrow{\mbox{AP}}=p\vec{u}=\dfrac{1}{2-(\vec{u}\bullet\vec{v})^2-(\vec{u}\bullet\vec{w})^2}U\left(2\overrightarrow{\mbox{AM}}-V\overrightarrow{\mbox{AB}}-W\overrightarrow{\mbox{AC}}\right)
のようになる.なお,\vec{u}\bullet\vec{v}=\cos\alpha\vec{u}\bullet\vec{w}=\cos\beta とおくと
\overrightarrow{\mbox{AP}}=\dfrac{2\overrightarrow{\mbox{AM}}\bullet\vec{u}-(\cos\alpha)(\overrightarrow{\mbox{AB}}\bullet\vec{v})-(\cos\beta)(\overrightarrow{\mbox{AC}}\bullet\vec{w})}{\sin^2\alpha+\sin^2\beta}\vec{u}
となることにも言及しておく.

この結果を幾何学的に説明するのは難しそうだ.

ここで特に m,n が捩れの位置にある2直線の場合,\mbox{B},\mbox{C}m,n の共通垂線との交点である場合について考えても一般性を失わず,このとき \overrightarrow{\mbox{MB}}\perp\vec{v}\overrightarrow{\mbox{MC}}\perp\vec{w} により
p=\dfrac{2\overrightarrow{\mbox{AM}}\bullet\vec{u}-(\overrightarrow{\mbox{AM}}\bullet\vec{v})(\vec{u}\bullet\vec{v})-(\overrightarrow{\mbox{AM}}\bullet\vec{w})(\vec{u}\bullet\vec{w})}{2-(\vec{u}\bullet\vec{v})^2-(\vec{u}\bullet\vec{w})^2}=\dfrac{\overrightarrow{\mbox{AM}}\bullet
(2\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}-(\vec{u}\bullet\vec{w})\vec{w})}{2-(\vec{u}\bullet\vec{v})^2-(\vec{u}\bullet\vec{w})^2}
が成立しており,幾何学的な解釈は難しいが公式化はかなり良い感じにできた.本問の場合,共通垂線は m 上の点 (3,0,-1)n 上の点 \left(\dfrac{3}{2},0,\dfrac{1}{2}\right) を通る直線で,\mbox{M}\left(\dfrac{9}{4},0,-\dfrac{1}{4}\right) と考えており,このとき \overrightarrow{\mbox{AM}}=\left(\dfrac{5}{4},0,\dfrac{7}{4}\right) となっている.そして単位ベクトル化した \vec{u},\vec{v},\vec{w} から 2\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}-(\vec{u}\bullet\vec{w})\vec{w}=\dfrac{1}{2\sqrt{6}}(7,2,-5) となるので p=0 と求まることになる.

このことを逆に考え,p=0 を満たすように l 上に原点を \mbox{A} をとるにはどうすれば良いかと考えれば
\dfrac{\overrightarrow{\mbox{MA}}\bullet
(2\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}-(\vec{u}\bullet\vec{w})\vec{w})}{2-(\vec{u}\bullet\vec{v})^2-(\vec{u}\bullet\vec{w})^2}=0
を満たす l 上の点 \mbox{A} となるので

「共通垂線の中点 \mbox{M} を通り法線ベクトルが 2\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}-(\vec{u}\bullet\vec{w})\vec{w} である平面と l の交点が求める \mbox{P} となる」

ということになる.本問の場合,この平面は 7(x-9/4)+2y-5(z+1/4)=0 となり,この平面と l の交点 (1,0,-2) が求める \mbox{P} となることになる.

ということで,本問を幾何学的に解釈するためには「共通垂線の中点を通り法線ベクトルが \{\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}\}+\{\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{w})\vec{w}\} である平面」の役割を知る必要があることになる.とりあえず,(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}\vec{u}\vec{v} に正射影したベクトルだから \vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v}\vec{u} から \vec{v} 方向の成分を除いた成分となるというようなことを利用するのだと思う.ただ一筋縄でいかないのは,この平面が m,n だけから決まるのではなく,l の方向ベクトルに依存して決まるというのが難しい.

なお,関連して,

直線 l に対して定点 \mbox{Q}\mbox{R} が反対側にある.\mbox{P}l 上の点として,\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 を最小にするような \mbox{P} の位置を求めよ.

という問題を考えてみる.\mbox{PQ}+\mbox{PR} を最小にするような \mbox{P} の位置は良く知られているように線分 \mbox{QR}l の交点が求める点となる訳だが,\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 を最小にするような \mbox{P} の位置はどうだろうか.これは実は簡単で中線定理を利用すると,\mbox{P}\mbox{QR} の中点から l に下した垂線の足のときに \mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2 が最小となる.このように \mbox{Q}\mbox{R} が定点であれば幾何学的に簡単に示せるのだが,動点であるため幾何学的に簡単に示すのが難しい.

結局,l を軸として m を回転させても状況は変わらないということを
\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{v})\vec{v} の部分が担っていて,
l を軸として n を回転させても状況は変わらないということを
\vec{u}-(\vec{u}\bullet\vec{w})\vec{w} の部分が担っているので,うまく座標をとり直すことによって平面上の問題に帰着させることになっている,というストーリーになりそうである.

2025.06.01記
上記の解釈もそれなりに意味があるが,l を含み m に平行な平面 \pi_mm を正射影した直線 m'm の距離(結局 lm の共通垂線の長さ)を d_m とおき,\mbox{P} から m' に下した垂線の足を \mbox{Q}' とすると \mbox{PQ}^2=(\mbox{PQ}')^2+d_m^2 となることを利用すると幾何学的に解くことができる.が,実質的に[解答]と同じことを遠まわりで行っている.

[うまい解答](細かい計算は省略する)
\overrightarrow{\mbox{OP}}=\overrightarrow{\mbox{OA}}+p\vec{u}\overrightarrow{\mbox{OQ}}=\overrightarrow{\mbox{OB}}+q\vec{v}\overrightarrow{\mbox{OR}}=\overrightarrow{\mbox{OC}}+r\vec{w} とおく.

lm の共通垂線は p=p_m=\dfrac{1}{2}q=1 のときで,共通垂線の長さは d_m=\dfrac{1}{\sqrt{2}} であり,lm のなす角度は \theta_m=\dfrac{\pi}{2} である.

ln の共通垂線は p=p_n=-\dfrac{2}{3}r=-\dfrac{1}{3} のときで,共通垂線の長さは d_n=\sqrt{3} であり,ln のなす角度は \theta_n=\dfrac{\pi}{3} である.

よって
\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2=(|\vec{u}|^2\sin^2\theta_m)\cdot(p-p_m)^2+(|\vec{u}|^2\sin^2\theta_n)\cdot (p-p_n)^2+d_m^2+d_n^2
=\dfrac{9}{2}\left(p+\dfrac{2}{3}\right)^2+6\left(p-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{1}{2}+3=\dfrac{21}{2}p^2+7
となる.よって p=0 のとき最小となり,\mbox{P}(1,0,-2)\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2=7 となる.

普通に平方完成すれば
\mbox{PQ}^2+\mbox{PR}^2=(|\vec{u}|^2\sin^2\theta_m)\cdot(p-p_m)^2+(|\vec{u}|^2\sin^2\theta_n)\cdot (p-p_n)^2+d_m^2+d_n^2
p=\dfrac{p_m\sin^2\theta_m+p_n\sin^2\theta_n}{\sin^2\theta_m+\sin^2\theta_n}(内分点の公式を想像せよ) のときに最小となる.

ねじれの位置にある2直線の共通垂線を与える2直線上の点を求めることが簡単にできれば,意味がわかる解答ということで[うまい解答]としたけど計算に手間がかかるので決してうまくはないが,より単純な問題に帰着できるという点で[うまい解答]とした.答案には書いていないが,実質的に
\mbox{TU}=\dfrac{7}{\sqrt{6}}\angle U=\dfrac{\pi}{2}\angle T=\dfrac{\pi}{3} なる三角形 \mbox{STU} に対して直線 \mbox{TU} 上に点 \mbox{P} をとり,\mbox{P} から 直線 \mbox{US}\mbox{ST} に下した垂線の足を \mbox{Q}',\mbox{R}' とするとき (\mbox{PQ}')^2+(\mbox{PR}')^2 を最小にするような \mbox{P} を求める問題に帰着されている(答は \mbox{TU}2^2:(\sqrt{3})^2=4:3 に内分する点).




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