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2014年(平成26年)京都大学-数学(文系)[4]

2025.05.10記

[4] 次の式

a_1=2a_{n+1}=2a_n-1 ,( n=1,2,3,\cdots

で定められる数列 \{a_n\} を考える.

(1) 数列 \{a_n\} の一般項を求めよ.

(2) 次の不等式

a_n^2-2a_n\gt 10^{15}

を満たす最小の自然数 n を求めよ.ただし,0.3010\lt \log_{10}2\lt 0.3011 であることは用いてよい.

本問のテーマ
商による誤差の伝播を利用した評価(対数)
マクローリン展開による誤差評価

2025.06.09記
何か京大文系では
2011年(平成23年)京都大学-数学(文系)[5] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2017年(平成29年)京都大学-数学(文系)[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
のように対数の値を不等式で与えて,対数の逆数の値を不等式で評価させる問題を良く見かける(桁数に関する問題は大抵そうなのだが,京大では近似値ではなく不等式で与えるのが最近の状況なので).特に 3.32\lt \dfrac{1}{\log_{10} 2}\lt 3.33 で評価するために 0.3010\times 3.33\gt 1 0.3011\times 3.32\lt 1 を覚えておいた方が良いのでは?という気がしてきた.

なお,「商による誤差の伝播を利用した評価(対数)」の話は
2017年(平成29年)京都大学-数学(文系)[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
に書いてある.

[解答]
(1) a_{n+1}-1=2(a_n-1)=2^n(a_1-1)=2^n であるから a_n=2^{n-1}+1 となる.

(2) a_n^2-2a_n=2^{2n-2}-1\gt 10^{15} において n=10\gt 10^{15} となって不適であるから n\geqq 2 として良く,このとき偶数である 2^{2n-2}10 で割り切れないので n\geqq 2 なる自然数において
2^{2n-2}-1\gt 10^{15}2^{2n-2}\gt 10^{15} は同値となる.

このとき (2n-2)\log_{10} 2\gt 15 から
n-1\gt \dfrac{15}{2\log_{10} 2}
を満たす最小の n を求めれば良い.

ここで 0.3010\times 3.33=1.002330.3011\times 3.32=0.999652 から
24.9=\dfrac{3.32\times 15}{2} \lt\dfrac{15}{2\log_{10}2}\lt \dfrac{3.32\times 15}{2}=24.975(ギリギリ)
であるから,n-1\gt \dfrac{15}{2\log_{10} 2} を満たす最小の n26 である.

2^{2n-2}-1\gt 10^{15} に対して,2^{2n-2}-1≒2^{2n-2}10^{15}≒2^{50} となる感覚があれば,n=26 あたりが怪しいことがわかる.

[うまい解答]
(2) (途中から)2^{2n-2}-1\gt 10^{15} を満たす最小の自然数 n を求めれば良い.
ここで 2^{10}=1024 であるから 2^{2n-2}-1\gt (2^{10}-24)^5=2^{50}\left(1-\dfrac{3}{128}\right)^5,つまり両辺を 2^{50} で割って整理すると
2^{2n-52}\gt \left(1-\dfrac{3}{128}\right)^5+\dfrac{1}{2^{50}}=\dfrac{125^5+2^{-20}}{128^5}
を満たす最小の自然数 n を求めれば良い.ここで \dfrac{125^5+2^{-20}}{128^5}\lt \dfrac{125^5+1}{128^5}\lt 1 であり,\dfrac{125^5+2^{-20}}{128^5}\gt\dfrac{112^5}{128^5}=\dfrac{7^5}{8^5}=\dfrac{16807}{2\times 16384}\gt\dfrac{1}{2}=2^{-1} であるから, 2n-52\geqq 0 を満たす最小の自然数 n を求めれば良く,そのような最小の n26 である.

\dfrac{1}{2}\lt \left(\dfrac{125}{128}\right)^5+\dfrac{1}{2^{50}}\lt 1 の評価は少し難しいが,0\lt e が小さいとき (1-e)^5≒1-5e と見積る(マクローリン展開による誤差評価)と,\dfrac{24}{1024}2.4\%弱であることから \left(\dfrac{125}{128}\right)^51 より 12\% 程度小さいぐらいで 0.88 程度の値(正しくは 0.888…)であり,\dfrac{1}{2} よりもかなり大きいだろうと考えることができ,そこそこ大雑把,つまり相対誤差が5乗により5倍程度拡大されるので分子が分母に比べて10%程度小さい分数で評価しようと考えることができる.そして
(1-e)^5≒1-5e+10e^2 と考えると10%を少し超えても大丈夫そうだということもわかる(正確には 0.5^{\frac{1}{5}}=0.870550… となるので 13%弱まで大丈夫).

そこで \dfrac{128-16}{128}=\dfrac{7}{8}(12.5%)で評価すれば何とかなりそうだという訳で \dfrac{7^5}{8^5} で評価したという訳だ.

もちろん,分母大きくすることも考えて

[うまい解答]
(前略)
\dfrac{125^5+2^{-20}}{128^5}\gt\dfrac{117^5}{130^5}=\dfrac{9^5}{10^5}\gt \dfrac{80\times 80\times 9}{10^5}=0.576\gt\dfrac{1}{2}=2^{-1} であるから, (後略)
と10%で評価するのが(分母の計算が不要で)絶妙な評価となる.

もう,0.9^5≒0.8\times 0.8\times 0.9=0.576 の近似は忘れないだろう.この近似では 0.81^20.8^2 で近似しているので 2\times\dfrac{1}{80}=2.5\% 程度の近似誤差となっている(\dfrac{0.9^5}{0.576}=1.02515…)ことも理解できるだろう.

そして 0.9^6≒0.8\times 0.8\times 0.8=0.512 の近似は 3\times\dfrac{1}{80}=3.75\% 程度の近似誤差となっている(\dfrac{0.9^6}{0.8^3}=1.03797…)ことも理解できるだろう.

このような数値計算による評価について系統的に書かれている大学受験用の参考書はあるのだろうか?(聞いたことがない)

まぁ,入試で多くの大学が数値計算による評価を出すようになると誰かが書くのだろうけど.




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