以下の内容はhttps://spherical-harmonics.hateblo.jp/entry/Kyodai/2009/Rikei_B_6より取得しました。


2009年(平成21年)京都大学-数学(理系乙)[6]

2025.10.29記

[6] ab を互いに素,すなわち1以外の公約数を持たない正の整数とし,さらに a は奇数とする.正の整数 n に対して整数 a_nb_n{(a+b\sqrt{2})}^n=a_n+b_n\sqrt{2} をみたすように定めるとき,次の(1),(2)を示せ.ただし \sqrt{2}無理数であることは証明なしに用いてよい.

(1) a_2 は奇数であり,a_2b_2 は互いに素である.

(2) すべての n に対して,a_n は奇数であり,a_nb_n は互いに素である.

2025.11.14記

[解答]
a_{n+1}+b_{n+1}\sqrt{2}=(a+b\sqrt{2})(a_{n}+b_{n}\sqrt{2})=(aa_n+2bb_n)+(ba_n+ab_n)\sqrt{2} であり,a,b,a_n,b_n,a_{n+1},b_{n+1} が整数であることと \sqrt{2}無理数であることから
a_{n+1}=aa_n+2bb_nb_{n+1}=ba_n+ab_n…(★)
が成立する.ここで
a_{n+1}\equiv aa_n \equiv a_n\mbox{mod}\, 2
であるから,帰納的にすべての n に対して,a_n は奇数である.

(1) a_2=a^2+2b^2b_2=2ab であるから aba^2+2b^2 が互いに素であることを示せば良い.もし互いに素でないと仮定すると共通の奇数の素因数 p が存在するが,ab は互いに素であるから,pab の片方だけの素因数となるので,a^2b^2 の片方だけが p の倍数となる.このとき a^2+2b^2p の倍数となることに矛盾する.よって a_2b_2 は互いに素である.

(2) (1)より帰納的に n=2^mm=0,1,2,…)のときに a_{2^m}b_{2^m} は互いに素であることが言える…(♪).

ここである n について a_nb_n が互いに素ではなく,a_n が奇数であることから共通の奇数の素因数 p を持ったとすると(★)により,a_{n+1}b_{n+1} が互いに素ではなく,共通の奇数の素因数 p を持つこととなり,帰納的に k\geqq n なる任意の正の整数 k に対して a_{k}b_{k} が互いに素ではなく,共通の奇数の素因数 p を持つこととなるが,これは(♪)に反することとなり矛盾する.よって a_nb_n が互いに素ではないような正の整数 n は存在せず,すべての n に対して,a_nb_n は互いに素である.

誘導なしでは難しいので解法が限定されてしまいますが,

(1) a_2 は奇数であり,a_2b_2 は互いに素である.

(2) a_4 は奇数であり,a_4b_4 は互いに素である.

(3) すべての n に対して,a_n は奇数であり,a_nb_n は互いに素である.

のような出題の方が良かったように思います.

なお,この誘導に乗らない別解として次のものがあります.線形連立漸化式を行列で捉えることを知っていればその解法を思いつくことができるのではないかと思います.

行列で書くと
\begin{pmatrix} a_{n+1} \\ b_{n+1}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} a & 2b \\ b & a \end{pmatrix}\begin{pmatrix} a_{n} \\ b_{n}\end{pmatrix}
が成立するので
\begin{pmatrix} a_{n} \\ b_{n}\end{pmatrix}=\dfrac{1}{a^2-2b^2}\begin{pmatrix} a & -2b \\ -b & a \end{pmatrix}\begin{pmatrix} a_{n+1} \\ b_{n+1}\end{pmatrix}
が成立します.一方,ケーリー=ハミルトンの定理から
\begin{pmatrix} a_{n+2} \\ b_{n+2}\end{pmatrix}-2a\begin{pmatrix} a_{n+1} \\ b_{n+1}\end{pmatrix}+(a^2-2b^2)\begin{pmatrix} a_{n} \\ b_{n}\end{pmatrix}=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \end{pmatrix}
も成立します.おそらく,ケーリー=ハミルトンの定理から3項間漸化式を導く捉え方は知らない人も多いかと思います(言われてみれば当然なのですが).

[別解]
(2) (★)から
(a^2-2b^2)a_n=aa_{n+1}-2bb_{n+1}(a^2-2b^2)b_n=-ba_{n+1}+ab_{n+1}
が成立する.

ここで a_n,b_n が互いに素であり,a_{n+1},b_{n+1} が互いに素でないと仮定すると a_{n+1},b_{n+1} は共通の奇数の素因数 p を持つ.そして (a^2-2b^2)a_n(a^2-2b^2)b_n が共に奇素数 p の倍数で a_n,b_n が互いに素であることから,a^2-2b^2 は奇素数 p の倍数である.

(★)から n\geqq 2 なる整数のときに
a_{n+1}=aa_{n}+2bb_{n}
-aa_{n}=-a^2a_{n-1}-2abb_{n-1}
2bb_{n}=2b^2a_{n-1}+2abb_{n-1}
が成立するので辺々足して
a_{n+1}=2aa_{n}-(a^2-2b^2)a_{n-1}
が成立し,よって aa_{n} は奇素数 p の倍数となる.同様に
b_{n+1}=ba_{n}+ab_{n}
-ab_{n}=-aba_{n-1}-a^2b_{n-1}
ba_{n}=aba_{n-1}+2b^2b_{n-1}
が成立するので辺々足して
b_{n+1}=2ab_{n}-(a^2-2b^2)b_{n-1}
も成立し,よって ab_{n} は奇素数 p の倍数となる.

ここで aa_{n}ab_{n} が奇素数 p の倍数であり,a_n,b_n が互いに素であることから,a は奇素数 p の倍数である.

すると a^2-2b^2 が奇素数 p の倍数であることから 2b^2 は奇素数 p の倍数となり,よって bp となり,a,b が互いに素であることに矛盾する.よって a_n,b_n が互いに素ならば,a_{n+1},b_{n+1} も互いに素となり,帰納的に2以上のすべての n に対して,a_nb_n は互いに素である.これと a=a_1,b=b_1 が互いに素であることからすべての正の整数 n に対して,a_nb_n は互いに素である.

a_{n-1},b_{n-1} が登場するので少し変な答案になりましたが,それを避けるには a_0=1,b_0=0 と定義すると(★)は任意の非負整数について成立することになり,「(★)から n\geqq 2 なる整数のときに」の部分は「(★)から正の整数 n に対して」と置き換えることができます.




以上の内容はhttps://spherical-harmonics.hateblo.jp/entry/Kyodai/2009/Rikei_B_6より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14