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2008年(平成20年)京都大学-数学(文系)[1]

2025.10.29記

[1] 実数 abc に対して f(x)=ax^2+bx+c とする.このとき \displaystyle\int_{-1}^1(1-x^2) \{ f'(x) \}^2\, dx\leqq6\int_{-1}^1 \{ f(x) \}^2\, dx であることを示せ.

本問のテーマ
ルジャンドル多項式

2025.11.02記
普通に展開して,奇関数の積分0 となることを利用します.

[解答]
奇関数の積分が消えるので,
6\displaystyle\int_{-1}^1{ \{ f(x) \} }^2\,dx-\displaystyle\int_{-1}^1(1-x^2){ \{ f'(x) \} }^2\,dx
=\displaystyle\int_{-1}^1\{6a^2x^4+(6b^2+12ac)x^2+6c^2-(1-x^2)(4a^2x^2+b^2)\}\,dx
=\displaystyle\int_{-1}^1\{10a^2x^4+(7b^2+12ac-4a^2)x^2+6c^2-b^2\}\,dx
=\dfrac{4}{3}(a^2+2b^2+6ac+9c^2)=\dfrac{4}{3}\{(a+3c)^2+2b^2\}\geqq 0
となり示された.

一般化する前に感じを掴むための[大人の解答](中途半端)です.2次のルジャンドル多項式 P_2(x)=\dfrac{1}{2}(3x^2-1) について
\displaystyle\int_{-1}^1 \{P_2(x)\}^2\, dx=\dfrac{2}{5}\displaystyle\int_{-1}^1 P_2(x)\times (xの1次式)\, dx=0
となることを利用して積分計算を簡略化します.

[大人の解答](中途半端)
2次のルジャンドル多項式 P_2(x)=\dfrac{1}{2}(3x^2-1) を用いて
f(x)=pP_2(x)+qx+r
と表すことができ,このとき
f'(x)=3px+q
が成立するので
6\displaystyle\int_{-1}^1{ \{ f(x) \} }^2\,dx-\displaystyle\int_{-1}^1(1-x^2){ \{ f'(x) \} }^2\,dx
=6\left(\dfrac{2p^2}{5}+\dfrac{2q^2}{3}+2r^2\right)-\displaystyle\int_{-1}^1(1-x^2)(9p^2x^2+q^2)\, dx
=\dfrac{12}{5}p^2+4q^2+2r^2-6p^2-2q^2 + \dfrac{18}{5}p^2+\dfrac{2}{3}q^2
=\dfrac{8}{3}q^2+2r^2\geqq 0
となり示された.

ちなみに,等号成立は q=r=0 のときであるから,f(x) が2次のルジャンドル多項式 P_2(x) の定数倍のときである.

本問を一般化すると

実数係数の n 次関数 f(x) に対して,\displaystyle\int_{-1}^1(1-x^2) \{ f'(x) \}^2\, dx\leqq n(n+1) \int_{-1}^1 \{ f(x) \}^2\, dx が成立し,等号成立は f(x)n 次のルジャンドル多項式の定数倍のときである.
となります.これを証明します.

[大人の解答]
k 次のルジャンドル多項式P_k(x) とおくと
\displaystyle\int_{-1}^1 P_m(x)P_n(x)\, dx=\dfrac{2}{2n+1}\delta_{mn}…①,
\{(1-x^2)P_k'(x)\}'=-k(k+1)P_k(x)…②
が成立する.

さて,f(x)=\displaystyle\sum_{k=0}^n p_k P_k(x) とおくと①から
\displaystyle\int_{-1}^1\{ f(x) \}^2\, dx=\displaystyle\sum_{k=0}^n \dfrac{2}{2k+1} p_k^2
である.また部分積分と②を用いると
\displaystyle\int_{-1}^1(1-x^2) \{ f'(x) \}^2\, dx
=\Bigl[ (1-x^2)f'(x)f(x) \Bigr]_{-1}^{1}+\displaystyle\int_{-1}^1 \left(\displaystyle\sum_{k=0}^n k(k+1) p_k P_k(x)\right) f(x)\, dx
=\dfrac{2n(n+1)p_n^2}{2n+1}(∵①)
となる.

よって
\displaystyle n(n+1) \int_{-1}^1 \{ f(x) \}^2\, dx-\int_{-1}^1(1-x^2) \{ f'(x) \}^2\, dx
=n(n+1)\displaystyle\sum_{k=0}^n \dfrac{2}{2k+1} p_k^2-\dfrac{2n(n+1)p_n^2}{2n+1}
=n(n+1)\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1} \dfrac{2}{2k+1} p_k^2\geqq 0
となる.等号成立は p_0=p_1=\cdots=p_{n-1}=0 のときであるから,f(x)=p_nP_n(x),つまり f(x)n 次のルジャンドル多項式の定数倍のときである.

①の直交関数系については有名だと思いますが②はそれほどでもないかも知れません.以下を参照してください.

eman-physics.net

注)結局ルジャンドル多項式の定義をどうするかによって①②の導き方に違いが生じてしまうので②を示す際にどれを定義とするかで流れがかわってしまいます.

ルジャンドル多項式 - Wikipedia

にあるように,ルジャンドル微分方程式\lambda を非負整数 n とした
\{(1-x^2)f'(x)\}'=-n(n+1)f(x)
の解を P_n(x) を定義することもできるし,ロドリゲスの公式
P_n(x)=\dfrac{1}{2^n n!}\{(x^2-1)^n\}^{(n)}
を定義としても良いし,
P_0(x)=1P_1(x)=x(n+1)P_{n+1}(x)=(2n+1)xP_n(x)-nP_{n-1}(x)
という帰納的定義を用いても良いし母関数を利用した定義もあります.どれを定義としたのかわからない文脈の問題では,都合の良い定義から出発せざるを得ませんし,何を自明として良いかはこちらの都合でやらざるを得ません.なので[大人の解答]では細かいことは気にしません.

特殊関数については個人的には

がお薦めです.




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