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2002年(平成14年)京都大学後期-数学(理系)[4]

2025.08.11記

[4] f(x)x^n の係数が1である xn 次式である.相異なる n 個の有理数 q_1,q_2,\cdots,q_n に対して f(q_1),f(q_2),\cdots,f(q_n) がすべて有理数であれば,f(x) の係数はすべて有理数であることを,数学的帰納法を用いて示せ.

本問のテーマ
Newton の補間公式
Lagrange の補間公式と Vandermonde 行列

2025.08.13記
(ここから2025.08.14追記
与えられた点を通る最小次数の多項式関数を求める方法の1つが Newton の補間公式で,この公式は与えられた 2 点を通る1次関数を利用して与えられた 3 点を通る2次関数を求め,与えられた 3 点を通る2次関数を利用して与えられた 4 点を通る3次関数を求め,と帰納的に求めていく方法である.本問では「n 点を通る n-1 次関数」ではなく,「n 点を通る x^n の係数が1の n 次関数」と少し設定が異なるが考え方は同じである.

[解答]
f(x)x^n の係数が1である xn 次式であり,相異なる n 個の有理数 q_1,q_2,\cdots,q_n に対して f(q_1),f(q_2),\cdots,f(q_n) がすべて有理数であるとする.

n\geqq 2 とすると,因数定理により f(x)-f(q_{n})=(x-q_{n})g(x) を満たす x^{n-1} の係数が1である xn-1 次式 g(x) が存在し,このとき g(q_i)=\dfrac{f(q_i)-f(q_{n})}{q_i-q_{n}}i=1,…,n-1) は有理数である.ここで g(x) の係数が全て有理数であるならば f(x)=(x-q_{n})g(x)+f(q_{n}) の係数も全て有理数となるので,n-1 で題意が成立すれば n でも題意が成立する.

今,n=1 のとき,f(q_1)=q_1 となる x の係数が1である x1 次式 (x-q_1)+f(q_1) は係数が全て有理数であるから,数学的帰納法により任意の自然数 n について題意が成立する.

追記はここまで)

(q_i,f(q_i))i=1,…,n)を通る n-1 次関数に (x-q_1)\cdots (x-q_n) を加えたものが f(x) となるので,(q_i,f(q_i))i=1,…,n)を通る n-1 次関数を求めれば良く,これを帰納的に求めるのが Newton の補間公式である.

[うまい解答]
n の値によって f(x) を区別するために f_n(x) と表すことにし,f_i(q_i)=f_{i+1}(q_i)=f_{i+2}(q_i)=… であるとする.

(i) n=1 のとき f_1(x)=(x-q_1)+f(q_1)q_1,f(q_1)有理数であるから f_1(x) の係数はすべて有理数である.

(ii) n=k のときに題意が成立すると仮定すると,
f_{k+1}(x)=(x-q_1)(x-q_2)\cdots (x-q_{k+1})+f_k(x)+\dfrac{(x-q_1)(x-q_2)\cdots (x-q_k)}{(q_{k+1}-q_1)(q_{k+1}-q_2)\cdots (q_{k+1}-q_k)}\cdot \{f_{k+1}(q_{k+1})ーf_{k}(q_{k+1})\}
であり,f_{k+1}(x) の係数もすべて有理数となり,n=k+1 のときも題意が成立する.よって数学的帰納法によりすべての自然数 n について題意は成立する.

(q_i,f(q_i))i=1,…,n)を通る n-1 次関数を一発で求める方法が Lagrange の補間公式であり,これを用いると帰納法を用いずに f(x) を構成できることになる.この Lagrange の補間公式と Vandermonde 行列式との関係は例えば

manabitimes.jp
zenn.dev

などに書いてあって,よって Vandermonde 行列式を用いて直接示すとある「京大51年」の注は Lagrange の補間公式を用いたものと等価となる(だから Lagrange の補間公式を直接用いれば良いのだが、、、)

[大人の解答]
帰納法を用いてないので不適ではあるが)
f(x)=\displaystyle\prod_{i=1}^{n} (x-q_i) +\sum_{i=1}^n f(q_i) \prod_{j\neq i}^{n} \dfrac{x-q_j}{q_i-q_j}
の係数は全て有理数となり題意は示された.

2025.08.14記
有理数係数の連立方程式を解くときに登場する加減乗除有理数の範囲で閉じているので,式変形には無理数は登場しない.よって連立方程式が解ければ解は有理数となる.

[解答]
f(x)=a_0+a_1x+\cdots+a_{n-1}x^{n-1}+x^n とおくと a_0〜a_{n-1}連立方程式
\begin{cases} a_0+q_1a_1+\cdots+q_1^{n-1}a_{n-1}=f(q_1)-q_1^n \\ a_0+q_2a_1+\cdots+q_2^{n-1}a_{n-1}=f(q_2)-q_2^n \\ \vdots \\ a_0+q_na_1+\cdots+q_n^{n-1}a_{n-1}=f(q_n)-q_n^n \end{cases}
の解であるから,任意の有理数 A_1,…,A_n について,a_0〜a_{n-1} に関する連立方程式
\begin{cases} a_0+q_1a_1+\cdots+q_1^{n-1}a_{n-1}=A_1\\ a_0+q_2a_1+\cdots+q_2^{n-1}a_{n-1}=A_2 \\ \vdots \\ a_0+q_na_1+\cdots+q_n^{n-1}a_{n-1}=A_n \end{cases}
が唯一の解を持ち,それが有理数であることを数学的帰納法で示せば良い.

(i) n=1 のとき,単なる方程式 a_0=f(q_1)-q_1 の解 a_0有理数である.

(ii) n=k のとき,任意の A_1,…,A_k について連立方程式
\begin{cases} a_0+q_1a_1+\cdots+q_1^{k-1}a_{k-1}=A_1 \\ a_0+q_2a_1+\cdots+q_2^{k-1}a_{k-1}=A_2 \\ \vdots \\ a_0+q_ka_1+\cdots+q_k^{k-1}a_{k-1}=A_k \end{cases}
の解が唯一であり,有理数であると仮定すると,n=k+1 のときの連立方程式
\begin{cases} b_0+q_1b_1+\cdots+q_1^{k}b_{k}=B_1 \\ b_0+q_2b_1+\cdots+q_2^{k}b_{k}=B_2 \\ \vdots \\ b_0+q_{k+1}b_1+\cdots+q_{k+1}^{k}b_{k}=B_{k+1} \end{cases}

\begin{cases} b_0+q_1b_1+\cdots+q_1^{k}b_{k}=B_1 \\ (q_1-q_0) b_1+\cdots+(q_1^{k}-q_0^{k}) b_{k}=B_1-B_0 \\ \vdots \\ (q_{k+1}-q_0) b_1+\cdots+(q_{k+1}^{k}-q_0^{k}) b_{k}=B_{k+1}-B_0 \end{cases}
となり,b_1=c_1-q_0c_2b_2=c_2-q_0c_3,…,b_{k-1}=c_{k-1}-q_0c_kb_k=c_k とおくと
\begin{cases} b_0+q_1b_1+\cdots+q_1^{k}b_{k}=B_1 \\ (q_1-q_0) c_1+ (q_1-q_0) q_1 c_2 +\cdots+(q_1-q_0) q_1^{k-1} c_{k}=B_1-B_0 \\ \vdots \\ (q_{k+1}-q_0) c_1+ (q_{k+1}-q_0) q_{k+1} c_2 +\cdots+(q_{k+1}-q_0)q_{k+1}^{k-1} c_{k}=B_{k+1}-B_0 \end{cases}
が成立し,各 q_i は異なるので
\begin{cases} b_0+q_1b_1+\cdots+q_1^{k}b_{k}=B_1 \\ c_1+ q_1 c_2 +\cdots+q_1^{k-1} c_{k}=\dfrac{B_1-B_0}{q_1-q_0} \\ \vdots \\ c_1+ q_{k+1} c_2 +\cdots+ q_{k+1}^{k-1} c_{k}=\dfrac{B_{k+1}-B_0}{q_{k+1}-q_0} \end{cases}
が成立する.ここで仮定から,c_1〜c_{k} は唯一存在し,これらは有理数であるから
b_1=c_1-q_0c_2b_2=c_2-q_0c_3,…,b_{k-1}=c_{k-1}-q_0c_kb_k=c_k
によって定まる b_1〜b_{k} も唯一存在し,これらは有理数となる.そして
b_0=B_1-(q_1b_1+\cdots+q_1^{k}b_{k})有理数として唯一定まるので,n=k+1 のときも成立する.

よって数学的帰納法により任意の有理数 A_1,…,A_n について,a_0〜a_{n-1} に関する連立方程式
\begin{cases} a_0+q_1a_1+\cdots+q_1^{n-1}a_{n-1}=A_1\\ a_0+q_2a_1+\cdots+q_2^{n-1}a_{n-1}=A_2 \\ \vdots \\ a_0+q_na_1+\cdots+q_n^{n-1}a_{n-1}=A_n \end{cases}
が唯一の解を持ち,それが有理数であることが示された.

このことにより題意は成立する.

この証明は,k+1 次の Vandermond 行列を基本変形して k 次の Vandermond 行列に帰着させることに準拠した解答となっている.




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