2025.08.02記
2025.08.04記
を求める問題は有名問題で
1978年(昭和53年)静岡大学-数学[x] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
1989年(昭和64年)東京工業大学-数学[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2000年(平成12年)東京大学後期-数学[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2023年(令和5年)東京大学-数学(理科)[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
などにも出題されており,答は となることが知られている.
まず, の問題の基本は(
の原始関数を求めることができるのであれば)
と置換することである.
となる.ここで
であるから
となり,
が成立する.ここで
であるから,
となる.
ここで が単調減少の場合,
に注意すると
と評価できるので,はさみうちの原理を活用すれば の原始関数を求めることが難しい(面倒)な場合でも対応することができる.
つまり
が成立する.よって
つまり
が成立する.ここで
であるから,左辺の極限は
となり,よって右辺の極限も
よってはさみうちの原理により, の極限も
となる.
比べてみると, の原始関数を求めることが簡単な場合は[解答]の方が簡潔である.
さて,本問は 1989年(昭和64年)東京工業大学-数学[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR とは違い広義積分になるので、そこでの[うまい解法]はここでは[大人の解法]となる.
ダルブー(Darboux)によると,上リーマン積分と下リーマン積分の(分割)区間幅(の最大値)が0に近づくときの極限値が一致する場合に定積分が定義される.つまり定義自体に「はさみうちの原理によって区分求積法を正当化する」手続がある.しかし高校の範囲では「区分求積法をはさみうちの原理を用いずに直感的に正当化」している(なのでその説明として 2022年(令和4年)九州大学前期-数学(III)[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR のような出題がある).このような観点から京大51年では「区分求積法により左辺と右辺が同じ値に収束する,とするのは気持ち悪い」と書かれているのだと思うが,読者には理由がわからないだろう.また,このようなことから,はさみうちの原理と区分求積法を組合せるのは受験数学においてはやや不毛であり,個人的には受験数学の不備の1つではないかと思う.そして個人的には,大学入試において,有界閉区間における区分求積法で解決する問題ははさみうちの原理を用いる必要はないと考える.
ただ,本問の場合はさらに広義積分と組合せているので,安直に区分求積法を使わせないような出題になっている.次の[大人の解答]は,ダルブーの定積分は閉区間で定義され,その結果の極限として広義積分が定義されるので2つの極限を順番にとるべき所を1つの極限で済ませているため,「極限が存在するならばその値になる」という部分しか示していないので不備のある解答である.
先程も述べたようにやや厳密に欠ける,とあるのは細かいことを言えば,という話である.(★)の部分を厳密にすると次のようになる.
つまり
が成立するので,はさみうちの原理から
となり,
が成立する.…(★)
これならば問題なく,高校範囲に収まっている.結局きちんと話をするには「はさみうちの原理」が必要なのである.なお,もっときちんと書くと
上リーマン和 と下リーマン和
に対して
,
が成立するので,
となるが,やり過ぎか.
であるから,
をみたす
よって
となる.
ここで は単調減少であるから,
,
が成立するので
,
つまり
が成立するので,はさみうちの原理から
となり,
が成立する.…(★)
よって求める極限は
となる.
失敗作を供養しておく.
区間 において
であるから,
をみたす が存在する.
よって
となり,区間幅 は
に収束することから,区分求積法により
が成立する(ここまでは正しい).
よって求める極限は
となる(ここは の極限を2回に分けてとっているので論理的に誤り).
これは のようなことをしているので誤りという訳である.