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1965年(昭和40年)京都大学-数学(理系(A型))[1]

2026.01.21.23:04:08記

[1] 数学のテストのあとで,高校生の弟が,大学生の姉と次のような対話をした.\fbox{$\phantom{     }$} の中に適当な記号,式,あるいは語句をいれよ.

(弟) きょう,学校で数学のテストがありました.命題がいくつかあって,正しいものに○印を,正しくないものには×印をつける問題でした.全部できたつもりです.

(姉) それは,よかったですね.その中の一つをいってごらん.

(弟)こんなのがありました.

「二直線 y+k(x-2)=0\cdots\cdots(1)ky-(x+2)=0\cdots\cdots(2) の交点は, k がどんな実数値をとっても,円 x^2+y^2-4=0\cdots\cdots(3) の上にある」

というのです.もちろん,○印をつけました.

(姉) なぜ,これが正しいことがわかりましたか.

(弟) (1),(2)から k を消去したら,(3)がでるからです.それでいいでしょう.

(姉) 結構ですね.しかし,この問題が本当によくわかっているかどうか,二,三質問をしてみましょう.まず,この命題に二直線とあるのは,もちろん (x,y) 平面上の二直線のことですね.では,k はどういうものですか.

(弟) k は実数値をとる変数です.\fbox{$\phantom{     }$},それに応じて,方程式(1),(2)の係数がきまって,それぞれのあらわす直線がきまります.\fbox{$\phantom{     }$},それに対応する二直線が動きます.

(姉) ところで,二直線の交点とありますが,k の値によっては,この二直線が \fbox{$\phantom{     }$} になることはないかしら.

(弟) いや,それどころか,いつでも \fbox{$\phantom{     }$} します.

(姉) どうして.

(弟) \fbox{$\phantom{     }$} のときには,二直線の方向係数は,それぞれ \fbox{$\phantom{     }$}\fbox{$\phantom{     }$} ですが,\fbox{$\phantom{     }$} ですから,\fbox{$\phantom{     }$} の条件をみたします.
\fbox{$\phantom{     }$} のときには,(1)は \fbox{$\phantom{     }$} 軸と \fbox{$\phantom{     }$} し,(2)は \fbox{$\phantom{     }$} 軸と \fbox{$\phantom{     }$} ですから,やはり,(1),(2)は \fbox{$\phantom{     }$} します.

(姉) うまく証明しましたね.では,本題にはいって,(1),(2)から k を消去して,(3)がでたことから,(1),(2)の交点が(3)の上にあると結論したのは,どういう理由ですか.

(弟) 僕は,こういう問題は消去するものと覚えこんでいただけで,理由なんて考えてみたこともありません.教えてください.

(姉) では,k を消去したときに,(3)の左辺をどのようにして,(1),(2)の左辺からだしたか,まず,それを式でかいてごらん.

(弟) x^2+y^2-4=\fbox{$\phantom{     }$}\{ y+k(x-2) \} - \fbox{$\phantom{     }$} \{ ky-(x+2) \} \cdots\cdots(4) です.

(姉) ここにあなたがかいた等式(4)は,等式(1),(2),(3)と性格がちがいますね.

(弟) (1),(2),(3)は□式ですが,(4)は \fbox{$\phantom{     }$} 式です.

(姉) そのことを心にとめておいて,(1),(2)の交点が,(3)の上にあることを証明しましょう.
(a,b) が(1),(2)の交点であるとすれば x=ay=b\fbox{$\phantom{     }$} をみたす.次に,いま注意したことから,x=ay=b は,もちろん \fbox{$\phantom{     }$} をみたす.この二つのことから,x=ay=b\fbox{$\phantom{     }$} をみたし,(a,b)\fbox{$\phantom{     }$} の上にあることがわかる.
というわけです.

(弟) なるほど,これで,消去の意味がよくわかりました.ところで,姉さん. k がすべての実数値をとるとき,この交点は,(3)式の円をえがくのですか.

(姉) この交点のえがく曲線は,幾何では,交点の \fbox{$\phantom{     }$} といいますね.これを \alpha とし,(3)式の円を \beta とすると,いままで話しあったことから, \alpha\beta\fbox{$\phantom{     }$} するか,または \alpha\beta\fbox{$\phantom{     }$} であることがわかりますね.実際は,\alpha\beta から \fbox{$\phantom{     }$} を除いたものです.証明は,ゆっくりあとで考えてごらん.

2026.01.26.14:50:07記
「いつでも \fbox{直交} します」の部分は単独では「いつでも \fbox{交差} します」でもあてはまりますが,その後の文脈の「\fbox{$\phantom{     }$} の条件」を考えると直交がふさわしい,というように考えます.

[解答]
(弟) きょう,学校で数学のテストがありました.命題がいくつかあって,正しいものに○印を,正しくないものには×印をつける問題でした.全部できたつもりです.

(姉) それは,よかったですね.その中の一つをいってごらん.

(弟)こんなのがありました.

「二直線 y+k(x-2)=0\cdots\cdots(1)ky-(x+2)=0\cdots\cdots(2) の交点は, k がどんな実数値をとっても,円 x^2+y^2-4=0\cdots\cdots(3) の上にある」

というのです.もちろん,○印をつけました.

(姉) なぜ,これが正しいことがわかりましたか.

(弟) (1),(2)から k を消去したら,(3)がでるからです.それでいいでしょう.

(姉) 結構ですね.しかし,この問題が本当によくわかっているかどうか,二,三質問をしてみましょう.まず,この命題に二直線とあるのは,もちろん (x,y) 平面上の二直線のことですね.では,k はどういうものですか.

(弟) k は実数値をとる変数です.\fbox{$k$を定めると$\quad\,\,\,\,$} ,それに応じて,方程式(1),(2)の係数がきまって,それぞれのあらわす直線がきまります.\fbox{$k$が変化すると$\quad\,\,\,\,\,$} ,それに対応する二直線が動きます.

(姉) ところで,二直線の交点とありますが,k の値によっては,この二直線が \fbox{平行} になることはないかしら.

(弟) いや,それどころか,いつでも \fbox{直交} します.

(姉) どうして.

(弟) \fbox{$k\neq 0$} のときには,二直線の方向係数は,それぞれ \fbox{$-k$}\fbox{$\dfrac{1}{k}$} ですが,\fbox{$-k\cdot\dfrac{1}{k}=-1$} ですから,\fbox{直交} の条件をみたします.
\fbox{$k=0$} のときには,(1)は \fbox{$x$} 軸と \fbox{一致} し,(2)は \fbox{$y$} 軸と \fbox{平行}(または \fbox{$x$} 軸と \fbox{垂直})ですから,やはり,(1),(2)は \fbox{直交} します.

(姉) うまく証明しましたね.では,本題にはいって,(1),(2)から k を消去して,(3)がでたことから,(1),(2)の交点が(3)の上にあると結論したのは,どういう理由ですか.

(弟) 僕は,こういう問題は消去するものと覚えこんでいただけで,理由なんて考えてみたこともありません.教えてください.

(姉) では,k を消去したときに,(3)の左辺をどのようにして,(1),(2)の左辺からだしたか,まず,それを式でかいてごらん.

(弟) x^2+y^2-4=\fbox{$y$}\{ y+k(x-2) \} - \fbox{$(x-2)$} \{ ky-(x+2) \} \cdots\cdots(4) です.

(姉) ここにあなたがかいた等式(4)は,等式(1),(2),(3)と性格がちがいますね.

(弟) (1),(2),(3)は \fbox{方程} 式ですが,(4)は \fbox{恒等} 式です.

(姉) そのことを心にとめておいて,(1),(2)の交点が,(3)の上にあることを証明しましょう.
(a,b) が(1),(2)の交点であるとすれば x=ay=b\fbox{方程式(1),(2)} をみたす.次に,いま注意したことから,x=ay=b は,もちろん \fbox{(4)} をみたす.この二つのことから,x=ay=b\fbox{(3)} をみたし,(a,b)\fbox{円(3)} の上にあることがわかる.
というわけです.

(弟) なるほど,これで,消去の意味がよくわかりました.ところで,姉さん. k がすべての実数値をとるとき,この交点は,(3)式の円をえがくのですか.

(姉) この交点のえがく曲線は,幾何では,交点の \fbox{軌跡} といいますね.これを \alpha とし,(3)式の円を \beta とすると,いままで話しあったことから, \alpha\beta\fbox{一致} するか,または \alpha\beta\fbox{一部} であることがわかりますね.実際は,\alpha\beta から \fbox{$(2,0)\,\,$} を除いたものです.証明は,ゆっくりあとで考えてごらん.




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