日本の経常収支は、金融収支の恩恵が大きく、貿易黒字の影響は少なくなったという説を耳にします。実際に、財務省経常収支に基づいてデータ評価をしてみると、以下のようになります。
対外直接投資は、国内企業のバックボーンがあってはじめて成り立つので、外貨獲得能力は健在です。しかし、稼ぐ場所は途上国であって、いくら頑張っても、日本国内のGDP成長率は上がらず、内国投資は進みません。
海外で稼いだら、自国に環流して豪遊するわけではなく、そのまま海外の再投資にあてているから、今の日本があり、また、誰に対しても莫大な遺産が分配されるわけではありません。
何か攻略法を知っていれば、生活が楽になるわけではないので、視野を広く持ちながら社会へ貢献を考えることが求められているのかもしれない。
○経常収支
貿易・サービス収支
貿易収支(輸出・輸入)
サービス収支(輸送、旅行、金融手数料)
第一次所得収支(直接投資、証券投資、その他投資収益)
第二次所得収支(官民無償資金協力等)
----(上下項目は対のため、合計が同値)----------
○資本移転等収支(対価のない固定資産提供、債務免除等)
○金融収支(直接投資、証券投資、デリバティブ、その他、外貨準備)
○誤差修正
※ 今回記事で扱う費目
- サービス収支、官民無償協力、資本移転、誤差修正は、少額で日本の経済構造の特徴が現れにくいため捨象した。
貿易黒字の縮小と金融収入の増加
グラフでサッと比べてみると、貿易収支の輸出入と、経常収支の金融収支では、貿易収支の規模が大きいものの、徐々に収支差が縮小し、東日本大震災の頃、大幅な輸入超過になります。
貿易赤字だから円安になりそうですが、金融資産を売却して充当するに違いない!と予測され、75円台というマネーゲームの様相を見せるようになります。原油は100円に達し、貿易赤字が膨らんで、日本は窮地に陥りました。
金融収支の内訳は、海外工場の直接投資と、債券や株式の金融収支がありますが、金融収支は情勢によって変動します。
金融センターとして投資利益を得る国と、海外子会社の生産による利益を得る国、両方の性質を持っていて、日本は対外直接投資によって安定した利益を生み出します。
貿易収支は、経済状況によって大きく変動し、近年では非常に不安定になっています。
輸出が振るわないのではなく、輸入額が増えていることが原因です。
輸入の上位を占める原油とLNGが固定的に約15%程度を占め、LNGは原油と連動して値決めされます。2008年に原油価格が80USD/bblを超えたあたりから、貿易赤字が常態化しています。
【出所】貿易統計
輸入が上回る月は原油が高騰した時で、コロナ期を除くと、原油が低位安定しているときは貿易黒字を維持しています。
金融収支と経常収支と原油価格
日本の経常収支では、金融収支が安定して稼いでいます。
日本は円通貨圏では稼ぐことが難しく東アジア、東南アジアで稼いでいる状態です。
海外ではドル決済で投資されますが、この投資効率はドル金利と等しくなります。
実際には、金利以上に稼ぐ投資先、そうでない投資先があるものの、投資ベンチマークはドル金利です。これがユーロ経済圏への投資が主体ならば、ユーロ金利になり、日本への投資ならば日本円金利です。
長らく金利がゼロというのは、ウォールストリートから見ると、コイツら遊んでるだろ!としか見えないわけで、グローバル企業での日本支店は地位が下がってしまいます。
大企業内でも危機意識を持つ人は増え、社長会では投資案件に否定的な反応が多いので、技術流出やカーブアウトを目指す人が増えました。
原油価格が低廉になれば、日本は経済成長をしてゆくと思われますが、通商条件は万国共通なので、これを原因とすることはできません。
貿易収支の規模は大きいが、安定して貿易黒字を稼げなくなったので、海外投資が優先されている
対外直接投資の安定性は日本特有
海外で稼いだら、自国に環流して豪遊するわけではなく、そのまま海外の再投資にあてているから、今の日本があり、また、誰に対しても莫大な遺産が分配されるわけではありません。
何か攻略法を知っていれば、生活が楽になるわけではないので、視野を広く持ちながら社会へ貢献を考えることが求められているのかもしれない。




































