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 英国 シティ街金融支配の功罪

トラス首相
トラス英首相、辞任を表明 就任から45日で在任期間は最短 2022年10月20日

10月22日に、英国トラス首相が辞任表明。

英国の少子高齢化が財政問題に飛び火しているのですが、危険な財政事情のうえ、解決策がありません。

トラス首相は減税策、電力料金凍結、年金国債中央銀行引受など、日本ではよく見かける政策を取り組んでいて、これがシティ街で大反発を受け、批判の矢面に。

減税で党首公約をしているので、そのまま突っ走った方が良さそうですが、結局は辞意を表明。今の英国では解決方法が失われているので、職務が果たせないと判断したようです。

英国は赤字が多く、強い産業もなく、政策の調整も乏しい国ですが、財政赤字が増えても、シティ街に落ちるポンドが増えるため、赤字国債は金融機関の利益になっています。いずれ英ポンドは米ドルパリティと言われてますが、英国のように金利が高くても、財政基盤が弱いため通貨安。

増税に対する辞任要求側と、減税を目標とするトラス首相との対立軸について、両方の矛盾する主張を立民党は言ってますが、一つの政党が矛盾した案を立てるのは、いただけない判断。彼らが英国にいたら、トラス首相と同じ評価を受けてしまいます。それだけ英国の経済事情は難しいのかもしれない。

立民 政府・日銀に大規模な金融緩和策の見直しなど求める提言 2022年10月21日 19時25分
 立民 売上減の中小企業などへの給付金 大幅引き上げの法案提出 2022年1月31日 15時45分


英国では何が起きているのか

英国は日本並に高齢化が進み、年金の運用機関LDIのFXが、1500億ポンド含み損でマージンコールになっています。このノミ屋のような状態は良くないので、ロスカットが必要です。

世界的にも平均寿命が長い地域に、広島と長崎が挙げられますが、これは原爆医療制度により医療費支援制度があって、医療支援充実度と寿命が比例するという、疫学的研究があります。英国で、今から高齢者層の医療制度や年金を崩壊させると、寿命が短くなるので、英国中が姥捨山になってしまいます。

日本の一世帯の電気料金は月20,000円しない程度ですが、英国では月80,000円もするので、ちゃんと支払っている人がいません。シティ街では、利上げをすればエネルギー需要が減退し、いずれ均衡すると主張していますが、皆が盗電状態のところで、利上げ、増税、どんどんやろうという金融政策になってしまいます。

ほぼ、財政は破綻しているわけですが、中央銀行は助ける気はなく、イングランド銀行が政府支援すると、憲法違反になるので国債買付に期限を定めました。英国は何度か破綻危機を迎え、欧州の病人と呼ばれていますが、中央銀行にとっては、巻き込まれる方が困るという状態。回復は無理そう。
ロンドン シティ


利上げは見えない増税のことである

国の予算

よく日本は利上げしないから無策といいますが、利上げは国債の金利なので、国民が負担します。日本の発行高は多いので、丸々、国家予算が償還費になってしまい、税金だけ取られて、やらずぼったくり行政を作ることになります。

これはたまらないと、日本銀行が国債を買ってバランスを取るわけですが、英国では中央銀行の独立性喪失は憲法違反といって、首相を弾劾してしまう国柄。

不思議なくらいセクショナリズムが強く、国会質問の回答の際、担当者がバカンスで答弁が作れませんといって通るくらい、官僚機構はフリーダムです。

英国では物価が高く、普段の缶ジュースが250円程と日本の倍の物価なので、更にインフレになると4倍の物価です。日本の生活苦とはワケが違い、公共料金踏み倒しを咎めると、国民を抑えられない状態。

物価高騰を止めるため利上げするのは償還費の増税と等しいので、首相の減税提案は矛盾してしまいます。税金を上げて消費を抑える状態では、トラス首相の減税政策は批判対象になってしまいます。


では日本

唯一、利上げしない国、それは日本。

世界中で消費を抑制しているのに、日本は政策金利を上げないので、シティ街とウォール街が徹底的に日本国債を売り、円安になりました。もはやイデオロギー戦争です。

為替介入?そんなのカンケーネー!とシティウォール連合がいうのは、1992年にイングランド銀行がジョージソロスに敗北したことが原因で、1992年以降は、国の為替介入に力がないのが常識になりました。

もっとも、アジア通貨危機頃から、日本銀行VSヘッジファンドが 数回起きていますが、ヘッジファンドは日本銀行に一度も勝てたことがないので、臥薪嘗胆を狙ってJPYTBを紙くずにしたいところでしょう。

大規模な政府為替介入が10月21日に入りましたが、同時間に、利上げペース抑制のリークが出ていたため、ドル買いは一段落し、米国経済に関心が移り始めました。2022年12月の利上げが0.5%予想ですが、12月の結果に右往左往する流れになりそうです。

NY株が上げ雰囲気になり、そこから景気敏感な日本株に関心が向かうので、米国経済は利上げでハードランディングしない方向で折り込み始めています。

為替

米国のインフレ原因は、中国が石炭禁輸して工場が止まったり、移民制限で米国内労働者が減ったり、ロシアウクライナからの春小麦、冬小麦輸入が停滞したなど、日本とは事情が異なります。

日本のインフレは原油高と、米国の都合でドル高になっている影響が強く、今の日本人に、景気が過熱しているから利上げが必要と考える人は少数なはず。

物資はあるけど、仕入れが高いのが原因なので、日本のインフレは米国発です。


日本の赤字国債は大丈夫なのか

今の赤字国債は、家計部門の貯蓄額を担保に発行していますが、日本は、世界一高い相続税を徴収する国なので、海外からは担保としてみられているフシがあります。

日銀間接引受によって無限に国債発行しようというMMT理論は、国内の貯蓄を超えるレベルで発行すれば、ハイパーインフレになってしまいます。また、雇用を増やすと、翌年解雇するわけにいかないので、就業期間の40年間は歳出削減ができません。

今の日本の年金や医療を維持すれば、貧しくなることは明らかですが、日本人は姥捨山政策をしたり、医療レベルを落としたり、消費税の大幅引上は希望しないと思うので、可能な範囲で、定年後も働くのが現実的でしょう。

国民に寄り添うと、赤字が増えて財政破綻が近づきますが、逆に、年金、医療費、保育園、学校経費を省いて健全化することも求めないので、バッサリ予算を削減するよりも、自力で稼げる人は、自分で稼ぐのが現実的でしょう。

米コアCPIの高さに全米が震撼

10月13日の米国のCPI発表はこちら。
Bloomberg様の動画では、食品エネルギーを除く消費者物価指数が高く、インフレが収まっていないと説明されています。

コアインフレーション

別の情報源から現象を検証すると、トランプ大統領時代に移民制限と関税引上を実施し、これが顕著に働いて、国内の労働者不足が生じて、就業者が収入の大きい職場を求めて転職するということが起きているようです。

トランプ政権の責任追求よりも、利上げを進めていくところが米国らしく、労働者不足と移民制限が継続したうえで、利上げ、ドル高を主軸に据えると、米国産業はボロボロになってしまいます。

米国の政策は少し変だなと、日本人的には思うわけですが、そう考えてみると、日本の政策はかなりまともです。米国人でも因果関係に違和感があるはずで、11月の中間選挙では、インフレと移民制限緩和と輸入関税引き下げが論点になると、バイデン政権はレームダック状態に陥ってしまいます。
Core cpi
Bloomberg  US Core Inflation Seen Returning to 40-Year High as Rents Rise

US Consumer Price Index (CPI)  8:30 a.m. (ET) Thursday, October 13, 2022


貿易でインフレ対策ができないのか

少し古いですが、官邸の米国の輸入相手国の整理を参考にすると、カナダ、メキシコへの輸入依存傾向にあり、食品以外では中国、メキシコ、カナダからの輸入が大きく、こういった国からの輸入が増えることになります。

しかし、貿易相手国のカナダドルとメキシコドルの通貨が上がっても良さそうですが、多少の上下はあるものの、あまり変動がありません。

加えて、メキシコドルは9.25%に引き上げているので、もっと買われても良いはずですが、想像ほどには上がりません。MXNJPYのスワップポイントが高いため、米国のインフレが上昇している間は、下がったら仕込んで、一定数保持しつつ、上昇したら高値から利益確定して、取得単価を下げるという手法がよさそうな気も。

米国農産品

米国輸入依存度
2020年の米国の輸入貿易相手国

資源国通貨
MXNUSDとCADUSDは上昇していないので、輸入が増えているわけでもない


ドル円のジリ高と介入

TWITTER上では、介入を待ち望む声が高く、USDJPY(S)仕掛けの人が増えています。
大口トレーダーも介入待ちショートが多く、時々下がるものを見透かして、買い向かう大口がいるため、踏み上げ相場になりジリ高が続いています。

おそらく財務省は、介入に動いているフシがあり、スムージングオペによって急伸を抑制しているだけに見え、先日のような大きな値動きは起きないようです。財務省は黙秘を続けているので不明ですけど。

外貨準備の減少があり、流動性の小さいメキシコペソ円のような通貨は、不自然な売りが米ドルの急伸時間に起きているので、この時に介入が入り、流動性の低いクロス円が影響を受けて敏感に動いているのかなと。
米ドルとメキシコペソ


9月の日銀の介入による変動は、邦銀のドル買い注文にぶつけているので、為替予約解除で困っている邦銀に対して、補償するような値動きを起こし、ゆえに値下がりは5円程度になったというのが整合性が取れます。もっとも、日銀が邦銀に非常廉売すればいいだけのような気も。

現時点では、為替予約の多い150円/USDに、邦銀の準備が間に合わないうちに達したら、145円付近まで下がったかもしれません。しかし現在は150円の下付近で、邦銀は手当済みではないかと。

これからの動きとしては、米国10年債が年末4%まで折り込んでいるため、148.7円/USDは150円超程度が妥当なところで、11月末までのファンドのポジション調整売りを拾っていくところでしょうか。

FRB政策金利見通し
2022年7月 2.25~2.5%(+0.75%)
2022年9月 3.0~3.25%(+0.75%)
2022年11月 3.75~4.0%(+0.75%予測)
2022年12月 4.25~4.5%(+0.5%予測)
2023年 下落 or 据置(後者の発言多し)

なぜ日本経済が低迷したのか-マクロ経済分析


最近は日本経済への懸念が強くなっているため、よく売れている本です。
日本の1989年から30年にわたる低迷を、データをもって説明されています。よくできている本ですが、金融機関は悪くないという結論ありきなので、小さくまとまっているのが残念なところ。


日本経済長期低迷の構造


主張を簡単に説明すると、日本の財政当局がバブル崩壊の影響を軽視したため、30年間にわたって自然治癒に頼り、企業がコストカット体質になってしまったと評価しています。併せて企業部門が労働報酬率を下げたため、需要が縮小し政府部門が代替したというマクロ経済分析をしています。

GDP成長率

不良債権処理を1990年代に即座に処理しようにも、当時は不良債権処理の制度がありません。また、山一証券や拓銀のような、ディスクロージャーに問題ある金融機関もあるし、民主主義議会で決めたゴーストタウン案件が、地域経済活性化の名目で乱立するため、不良債権処理どころではなく、処理を遅らせてしまいます。


バブル期は、企業は地価の上昇の業績への上乗せできたため、いずれ地価が回復すると期待しすぎて、これが失われた10年として無為に時間経過させてしまいます。その後、2008年の米国の金融危機までは緩やかに経済成長し、小泉政権下で不良債権処理が進んだと評価していますが、なのになぜ、企業はコストダウンを続けてるのか疑問を呈しています。


30年デフレ主要因

企業の予想実質成長率


新興国が生産性を向上させて先進国の成長率を上回ると、相対的に日本の付加価値は低下し、収益率は下がってしまいます。日銀が金融緩和したり、積極的に融資をしてきたものの、民間投資が増えないため、金融部門の責任でデフレが起きたのではないといいます。

企業は積み上がった内部留保があるのに、経費削減や賃金圧縮をしたため、デフレの危険を知らないんじゃと疑問を呈しています。後半は、ほぼ賃金低下とデフレの関係でまとめられていて、企業に対する労働分配率増加に解決の糸口を見いだしています。

営業利益

しかし、時々、投資が日本国内に回帰することがあるので、一方的に海外に出ているわけではありません。海外の労働者賃金が高くなってきたので、最近は国内に回帰する傾向があります。

投資


米国は労働分配率は低いが所得は高い



この研究会では、営業利益を得た企業は、内部留保が過剰だというものの、元々は、金融危機が1997年に起こり、円安で自己資本比率4%を切り、企業は内部留保を増やすことを求められたことが始まりです。

融資が当てにならないので、日本の企業は総じて不良資産扱いをされ、貸し剥がしが横行したため、銀行に融資を頼むのは減らそうと考えるようになります。

しかし内部留保を労働分配率にするとしても、


1.米国に比べると、日本の労働分配率は高いが、米国の方が所得が高い
2.内部留保は投資目的があり、経費にあてるものではない
3.労働分配率の上昇による投資効果がなければじり貧である

という現実があります。日本は所得に対して人件費が高いので、2022年時点では、半分くらい医療福祉に持って行かれるので、日本は人件費が高い、給料が低いという不満が両立してしまいます。
(少し古いが、財務省資料によると、米国の社会保険料以外、租税負担は高くないとも)
負担率比較

   2015年時点の国別社会保険租税負担率比較

年々、社会保険料は増加していく怖さが日本にはありますが、年金、医療費、税金の負担の合計が重くなると、労働分配を増やしても所得が増えていきません。


所得比較


日本がものづくり立国なんて誰が言った?

この書籍では、日本は加工貿易国であり、自動車や電子機器の高性能製品にブランド力があり、世界に輸出していく印象を持っていますが、現実の統計では別の姿を描いています。

就業者産業別構成比

国内の就業者比率では卸売、小売、金融、運輸、倉庫の割合が多くて、流通分野に集中的に人員を配置しています。製造業はそれなりに大きいですが、流通の層が厚いです。


職業別就業者で見ると、事務補助員、サービス・販売といった、貿易付加価値のつかない労働者が多く、日本では、ステップアップして付加価値をつけたり、勉強して稼ぐ力を強化する機会が乏しく、事務補助か営業ノルマをこなしてくれれば、それでいいと総じて経営者は考えています。


サザエさんの波平さん、マスオさん、ノリスケさん、みんな、中間流通に分類され、海山商事で何かの物品を取引をしている会社員が大半です。サザエさん、ドラえもん、どの国民的生活を描くアニメでは、ブルーワーカーや高度な技術者は登場しません。


就業者産業別構成比

データブック国際労働比較

日本企業の悪い構造が、電通ブラック事件に現れていて、今までの広告主がネットに流れて、失地回復の部門として事件の部門を立ち上げ、給与体系の低い子会社社員を増やし、無理な営業をして生き残りを図っていました。

ブラック企業は、市場の縮小に対して、従業員を締め付けてノルマを課したり、給料を削って対策したのが問題であって、従業員が休めればよいという問題ではありません。この戦略性のなさが、悲惨な将来を予感させてしまいます。



日本人経営幹部の判断が値下げに集中している

こんな立派な中期経営計画があるぞ、と思われそうですが、中期経営計画や、役員に共有される情報から自分の扱う情報を抜き出すと、1行程度しかなくなってしまい、実際は表面的なところしか伝わっていません。ヒエラルキーが大きすぎて、経営においてほとんど情報を切り捨ててしまいます。

 
海外のバイヤーに「なぜ日本製を買ってくれないのか」という質問をぶつけると、
「お前ら、安いしか言わないじゃないか、そんな奴から買いたいか?」という回答が返ってきます。全員が一つの方針に沿って意思統一ができるのは、コストの安さくらいしかないのです。


バイヤー

最近は、解決方法がわからなくなっているので、経営コンサルが入ってジョブ型雇用を勧められることが増えています。なんとなく採用していた人材は、具体的に業務内容を示し、役割ごとの雇用に移っていきます。


今までメンバー式で入社して、階段を上がっていくという形だったものが、自分は人生を通して何をしたいと示さないと、年収700万円以上の仕事には就けなくなっていきます。


では米国では何が起きたのか

GAFAは立ち上がり時は周囲に理解されませんでした。

ネット検索、本の通信販売、個人SNSサイト、リンゴ時計・リンゴ電話も、元々、とても儲かりそうもない会社でしたが、収益を生み出すビジネスが上手だったので、マネタイズの教科書のように説明されています。


同じ事業内容の事をしていたNTTレゾナント、ヤマト運輸、mixi、ドコモ、いずれも一世風靡した後に撤退してしまいました。この差は単純に戦略の違いというわけではなく、最終顧客の囲い込みが上手に勧められ、日本のオーディオや物販分野を蚕食していきました。


米国企業では、ROAを上げることを追求し、内部留保を少なくして、投資効率の高い未開発の地域や世界市場に広がっていきました。


海外進出先では市場ができて、経済ができて、販売先に成長していったので、日本とは異なる形での通貨圏を広げていきました。今やアフリカや南米の発展は著しく、欧米の投資が世界を変えてきました。


 ナイジェリアラゴス
 ナイジェリア ラゴス(古き未開のアフリカは希になった)

よく日本はオワコンとか、企業は労働者から搾取しすぎといいますが、そういう感傷的な問題ではなく、企業内統治のマネジメントに集中して、事業面での成長性を突き詰めていないため、付加価値がつかずに、経費としての人件費が払えなくなっているように見えます。


喜んでブラック企業になる経営者はいないので、支払いができない利益構造だからこそ、BtoCを突き詰めていく時期にあります。



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