アニメ平家物語

平家物語は無数の主人公の連続なので、アニメのように尺が限られていると、主役級のナレ死が頻発し、そのため残酷なシーンを描く必要がなくなります。主人公格の平重盛、徳子(のりこ)、敦盛、義経の扱いは良いものの、兄達の平知盛や源頼朝は、頭の悪そうな人になってしまいます。


知盛は、壇ノ浦で船をキレイにしてから錨を巻いて海に投身する
木曽義仲と巴御前は最強カップルなのに、アニメでは乱暴者になっていますが、原作(?)では無双が漂う人物で、皇族と貴族に足を引っ張られて義経に討たれてしまいます。
平敦盛と熊谷直実

「人間50年、下天のうちを比べれば~」と有名なセリフをもって敦盛が舞い、人間の50年は天界の下層でも1日に過ぎないと、命のはかなさを演じる能となっていますが、本能寺で織田信長が舞ったときも、人が滅びゆく際の寂寥を表現しています。

幸若舞の敦盛は平家の引導の物語
戦後、自国に帰った熊谷直実は、源頼朝の知己の親族と裁判で争い、自分に不利に進むのを見て「こんな出来レースやってらんねぇ」と怒って、出家します。そして、敦盛を討ったことを悔いていた直実は、ナギナタを携えて大声で法然上人に駆けつけ「浄土に入るには、どうしたらいい、腕の一本か、体が要るか、浄土への生き方を教えてくれ」と法然に問います。

法然上人は、念仏でよい、御仏を信じよと返し直実は涙を流し、ナギナタを捨て、そこから蓮生という弟子になります。蓮生は多数の寺を建立し、浄土宗の浸透に邁進していきます。
熊谷直実は不思議なエピソードがあり、自分の死を予言し、一度とどまり、次の予言日に念仏しながら往生します。そして、高野山に敦盛とともに墓が建てられます。
義経は名将ではない
一ノ谷合戦では、畠山重忠が「お馬ちゃんがかわいそうだから、今日は慰労する!」といって、馬を負ぶり、合戦で勝利します(アニメでは省略されている)。

頼朝は御家人によく恩賞を与えた人で、藤原俊兼の奢侈な服の袖を切りつけ、「千葉常胤は(俊兼より)機転は利かないが、粗末な服を着て一門に分けるから、家が栄えるのだ」と評するように、リーダーは自分を飾らずに、一門強化に務めるから強い軍団になると考えていました。頼朝視点では、弟は褒美を独占し、優先順を無視するので、これでは武家政権が成り立ちません。
義経は奥州藤原氏に裏切られ、畠山重忠がその裏切った奥州藤原氏を「なんて立派な人なんだ」と感服させるなど、義経陣営にいた人物が後に活躍しています。当時の武士は、一族間での領土争いに明け暮れ、それを頼朝が裁定していたので、義経は戦術に優れているだけで人物を見る目がなく、武家政権の頭領がつとまるような人物ではありませんでした。

源頼朝も扱いがよくない
評価の高かった畠山重忠は、北条政子と義時に見いだされるも、色惚けした北条時政に討たれるなど、カオスな政権に巻き込まれてしまいます(末裔の畠山管領家は、応仁の乱の原因になるなど不遇)。
三代執権北条泰時が「執権には領地はいらないよ、全部みんなにやるよ」と北条政子に言ったとき、「ああ、これで我が子を得たり」と泣き崩れていますが、頼朝も北条政子も、有力御家人に土地を与えることで、封建制の基本設計が一致し、以後封建時代と呼ばれるようになります。
平家物語その後
FODでは残す2話なので、次回が壇ノ浦、最終回が生き残った建礼門院と邂逅して、この物語を語り継いでいこうと意気投合する流れになりそうです。平家物語の原作者は建礼門院・徳子様です。
琵琶法師は検校という座頭職なので、作品中では、将来を見通すオッドアイを失い、琵琶は盲目者の先導者として日本第一級の平家物語を謡うようになります。目が見えない故に、祇園精舎や沙羅双樹、平家一門の往生という見えないものを見ることができるので、ハッピーエンドがしっくりきます。

その後の源氏は、平家を打倒した御家人衆が、外戚関係をきっかけとしてドロドロの中で崩壊していくので、そのあたりもあって、幸せな未来の方が、物語としては面白いです。








