プロバイオティクスという言葉はまだそれほどは知られていないかもしれませんが、乳酸菌などのような微生物を直接体内に取り入れることで健康状態の改善などに役立つというものです。
発酵食品というものの方が日本ではよく知られていると思いますが、それとは若干異なる概念になります。
著者の野本さんはこういったプロバイオティクスについて多くの研究を行ってきたということです。
ただし、プロバイオティクスについてはやや過剰な期待からか商業的な面に偏り身体に良いという謳い文句が多く使われている現状がありますが、著者はできるだけ科学的な根拠のある記述を心掛けたということです。
そのためでしょうか、私は微生物学や発酵も仕事としてやってきたのですが、本書記述はそれでもかなり分かりづらいものと感じました。
とても「トコトンやさしい」などと言うものではなく、おそらく一般の人には「非常に難しい」ものと思います。
プロバイオティクスの定義としてはいくつか変遷してきていますが、現在は「適量を摂取することで宿主に有益な効果をもたらす生きた微生物」というものが、国際プロバイオティクス・プレバイオティクス科学協会というところで提唱されているそうです。
これが現状で最も一般的な解釈となっています。
プロバイオティクスに対する姿勢は国際的に少し違いがあり、日本や東南アジアでは食品の3次機能としての「生体調整機能(保険作用)」を持つものとして捉えられていますが、米国では食品の3次機能というものを認めておらず、これは医薬品扱いとしています。
またEUではプロバイオティクスという表現自体が許されておらず、健康に良好ということを想起させるという理由からです。
プロバイオティクスといわれる微生物の種類は、もっぱら乳酸菌が多いのですが、一部は酵母なども含まれるということです。
他にも大腸菌や芽胞生成菌もこれに含まれる種類があります。
大豆イソフラボンからおそらく腸内細菌により代謝されて生成するエクオールという物質があります。
これは女性ホルモン様作用があり、男性ホルモンとの拮抗性も有するというもので健康に働きかけるものと考えられています。
著者の研究グループはこのエクオールの産生菌を分離することを実施しました。
ヒト便から、特殊な培養方法である炭水化物源に焦点をあてた集密培養ということを行い、嫌気培養でスラキア菌という特殊な微生物を分離したそうです。
ともすれば健康イメージだけが先行しそうな状況ですが、科学的な説明というものは押えておく必要があるのでしょう。