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綿栓の話、以前の仕事の記憶 その2

綿栓の作り方についてはその1で述べましたので、それを使った試験管培地の作り方を記しておきましょう。

 

会社の研究所で担当していた仕事の一つが、重要菌株の保存ということです。

さすがに発酵会社だということで、現場の発酵生産に使う菌株や特許関連の菌株など、数千株を保有しており、それの保存管理が重要なことでした。

 

lyophile法(凍結乾燥法)というものがあり、これはいわゆるフリーズドライで乾燥させそれを真空にしたガラス管内で保持するもので、数十年は持つと言われており後の手間がかからないものです。

しかし、細菌、放線菌、酵母、カビの胞子などには適用できるものの、それが応用できない微生物群がありました。

多かったのがカビのような真菌類でも有性生殖が見られず胞子を作らない、いわゆる不完全菌と呼ばれるものでした。

こういった栄養菌糸のみの微生物はその細胞を凍結乾燥しても再生率が悪く、保存に苦労したものです。

 

様々な方法を試してみたものの、当時はなかなか決定版がなく、仕方なく1-2年に一度植え替えて培養しそれを保存しておくといったことをやっていました。

(なお、凍結乾燥法を採用するようになったというのも昔からのことではなく、その装置を入れて運用しだしてからのことで、他の多くの菌も以前はすべて植え替えでした)

 

そういった植え替えの必要がある菌株がその仕事を始めた当初は500株ほどはあったのではないかと思います。

それを1-2年に一度やらなければならないのですが、試験管に付ける綿栓を作り出すところから考えると数週間かかる大仕事でした。

 

試験管立てというものは、中学校あたりの理科の実験で見た人が多いでしょうが、それはせいぜい10本立て、20本立てといった程度のものだったでしょう。

しかし仕事で使っていたものは大型で200本立てのものでした。

それにいっぱいに試験管を立て、一本ずつ綿栓を作っていってようやく出来上がると乾熱殺菌をして試験管の準備は完了。その200本立てのものを2-3個作り上げるわけです。

そこから培地を作り試験管に分注していきます。

固形培地とするために寒天を含んだ栄養成分の培地を作るのですが、だいたい既成の組成培地がありそれを溶かすだけでした。

ただしその量が大変なもので、試験管1本あたり8-10ml程度を入れていくのですが、200本となると2Lほどになります。

それを分量だけ作り寒天を溶かすために加熱し、溶解したら分注器で一本ずつ注入していきます。

その前に、綿栓を抜いておかなければならないのですが、試験管は微妙に大きさと形が異なるために綿栓も一つ一つ元通りに戻すために外したらずらっとその通りに並べておくと言ったことが必要でした。

全部の試験管に培地を入れたらまた綿栓を戻し、その後なるべく早くオートクレーブを掛けて滅菌しなければいけません。

オートクレーブ(蒸気滅菌機)は小さな研究室だと電気式のものが多いのですが、このような大量の培地を滅菌する場合は蒸気式の大型オートクレーブを用いたものです。

121℃になるまで蒸気を入れ、それで15分というのが普通の滅菌条件でした。

滅菌終了後はすぐに滅菌機の蓋を開けると中の培地が突沸して吹き出します。

それを避けるために自然に温度が下がるのを待ちます。

とはいえ、下がり過ぎて寒天がそのままの状態で固まっても困るので、ある程度の温度で取り出します。

取り出した後は、スラントというものを作るために試験管を斜めにして固まらせます。

これは好気性細菌の場合などでできるだけ空気と触れる面を多くするようにするというものです。

そうやって培地を固めて、ようやく試験管培地の完成でした。

 

(次はいよいよ菌の植え付けへ、続く)




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