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「ウイルス学者の責任」宮沢孝幸著

著者の宮沢さんは獣医出身ですが、動物ウイルスの研究では非常に多くの業績をあげ世界的なウイルス学者といっても良い方です。

しかしこの前の新型コロナウイルス流行の際には政府の専門委員には招かれず、そこには感染症専門の医師が多く座りました。

ただし、ここで「感染症専門」といっても実はほとんどは「細菌性」の感染症専門家であり、ウイルスの感染についてはあまり詳しいわけではなかったようです。

そのためか、日本政府のコロナ禍対応策はどれもあまりにも過大過剰となってしまいました。

その件については宮沢さんは当時から批判の声を上げていたそうですが、そのために自ら批判や脅迫などを受けたこともあったそうです。

 

新型コロナウイルス感染症が流行し始めた初期には情報もあまりなく、コロナウイルスであることからSARSウイルスと同様の致死率であれば重大と考えたそうですが、幸いにも致死率はかなり低いことが分かってきます。

さらに基本再生産率(一人の感染者が何人に感染させるか)も徐々に決まってきて、ヨーロッパでは2.5、日本では1.7程度と分かりました。

この程度の再生産率、致死率であればさほど厳しい対策は必要ないと考えたのですが、政府が発したコロナ禍対策は非常に過剰と言えるものでした。

 

 

若年層には感染者はあっても重症化する例はほとんどないのにも関わらず、いきなり学校の休校を決めてしまいました。

さらに静かに話し食事をする間だけマスクを外す程度の対策で十分であるにも関わらず、飲食店の休業を強制しました。

これで多くの飲食店が経営困難となり、さらに従業員も収入が断たれ、自殺者が相次ぎました。

 

ウイルス感染は一つでもウイルスがいれば感染するというわけではなく、多量のウイルスを浴びた時に感染します。

そのため、放出するウイルスを100分の1にすればかなりの感染防止効果が出ます。

そのためには、手洗い、マスク、換気をしっかり行えば十分でした。

それを結核などの細菌性感染症専門家たちが過剰反応して厳しい対策を実施したために社会のあちこちに大きな影響が出てしまいました。

 

感染者と接触した人を追跡して隔離するということも過剰でした。

そのために隔離施設が必要となりそれが本当に看護の必要な重症者の医療を奪うこととなりました。

インフルエンザではそこまでの対策は行っておらず、その程度にしておけばそこまでの医療危機にはならなかったはずです。

 

さらにPCR検査を求める声に押され、しぶしぶながらも徐々に検査体制を整えることとなりましたが、それがさらに過剰対応を呼びました。

PCRでコロナ陽性となっても、それは必ずしも他人にうつす能力があるということを示しているわけではありません。

コロナウイルスが体内に少しでもあれば陽性となりますが、それを体外に放出し他人に感染させられるかどうかはウイルス量によって違います。

これはウイルス学者にとっては「常識」なのですが、医師全体には「常識」ではなかったということです。

 

「人と人との接触を8割減らす」などということも言われました。

これも完全な過剰反応でした。

交通事故が発生するから車の走る数を8割減らしましょうというようなものと同様です。

 

新型コロナウイルスに対してはワクチン接種が急がれ、人類史上初めてといえるmRNAワクチンが製造されほぼ全国民に接種されました。

このワクチンによる被害もかなり多数出たと言われますが、国はほとんど認めていません。

ワクチン接種で症状が激しくなるADE(抗体依存性増強)という現象もワクチンによっては現れることが知られています。

今回の新型コロナウイルスワクチン接種でもそういった事象が起きなかったとは言えません。

ワクチンでの副反応被害は必ず発生するともいえるものですが、今回のワクチンでも1万人に1人といった頻度で出ていた可能性があります。

しかし全国民に接種したとなるとその10分の1の確率すなわち10万人に1人が死亡したとしても1000人が亡くなっていたことになります。

これが感染し重症となった人への薬品であればまだ仕方ないと言えるかもしれませんが、この接種対象者はまったく健康だった人であり、それに接種したことで死亡させたというのは大きな問題です。

なお、mRNAワクチンが本当に効果があったかどうかも現時点では確定的ではないということです。

 

なお、本書後半は著者のこれまでの研究歴、研究に対する観念といったことが書かれており、コロナ禍についての話題とは少し離れるようです。

私は十分に興味深く読みましたが、コロナ禍だけに関心のある読者にはあまり縁のない話かもしれません。

 

 




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