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「なぜ悪人が上に立つのか」ブライアン・クラース著

一国の指導者という人物たちがどう見ても悪人としか言えないということは今に始まったことではなく昔からずっとそうだったとも言えるでしょう。

それは途上国や小国ばかりでなく、世界的な大国でも当てはまります。

いや、このところその悪辣さ、狂暴さがますます増しているようにも見えます。

 

これはそういった国の政治を握るような階層の人々だけでなく、社会のあちこちの組織、会社や自治体、そして町内会といったところでも見られることのようです。

 

そこで問題となるのは、そういった悪人が社会の指導者になりやすいのか、あるいは普通の人が指導者になると悪人になるのか(権力は人を変える?)ということです。

さらに、権力を与えるやり方にもいろいろありますが、悪人そしてその潜在危険性が大きい人間をわざわざ選びだすのはなぜか。

特に民主制度では人々が選挙などで指導者を選びますが、その時になぜ悪人に投票するのか。

そういった点について、政治学者の著者が多くの事例を挙げながら論証していきます。

 

本書の論点についてまず4つの項目に整理して示します。

1より悪質な人が権力を掌握するのか?

2権力が人をより悪質にするのか?

3私たちはなぜ明らかに支配権を握らせるべきではない人に自らを支配させるのか?

4私たちはどうすれば確実に、腐敗しない人を権力の座につかせて後世にその権力を振るわせることができるか?

著者はこれらの疑問について世界各地に出向きそこで「権力を濫用して悪事を働く悪人たち」に取材してきました。

その人たちは多くは冷酷で頭がおかしい人間でしたが中には優しく思いやりがあるように見える人も含まれていました。

 

人類の歴史で長く続いた狩猟採取の時代には人々は数十人のバンドと呼ばれる集団で暮らしていましたが、そこには権力者というものはおらず、専権を振るうものもいませんでした。そういった傾向が見えると集団から放逐され、すぐに死んでしまいました。

しかし農業が始まり都市化する社会となると階級社会が出現し、そこには「悪人」の権力者が現れます。

 

権力に飢えたナルシシストマキャベリストといった連中はサイコパスであることが多いようです。

オックスフォード大学の心理学者のケヴィン・ダットンによればサイコパスの多い職業トップ10は、CEO、弁護士、テレビのパーソナリティ、セールスパーソン、外科医、ジャーナリスト、警察官、聖職者、シェフ、公務員だそうです。

他者を支配することでリーダーシップを取れるということが共通しています。

彼らは他者のことなど気にもかけずに昇進を目指し、さらに大きな権力を持った時に何をするのか。

 

権力を得ると人は何をするかという心理学的研究がアメリカを中心に数多く進められ、志願者を募っての実験も行われました。

ただし、つねに慢性的な問題につきまとわれており、それが「再現性の危機」と「WEIRD問題」だということです。

心理学実験では同じような設定で実験を行ってもなかなか同じ結果が得られないというのが「再現性の危機」です。

もう一つの「WEIRD」というのは、Western、Educated、Industrialized、Rich、Democrasies で、つまり産業化された富裕な西洋の民主国家の教育を受けた人々、すなわちその心理学者チームの所属するようなアメリカの大学の学生ということです。

心理学の実験をする場合に手軽に自分の所属する大学の学生から対象者を募集して行うことが多いのですが、そういった人々は既に世界的にはかなり特殊な層だと言わざるを得ないものだということで、他の多くの人の反応とは異なるのかもしれません。

 

本書では多くの例をあげて上述の命題を証明していきますが、悪人が権力を目指すのも権力についたら悪人になるというのも正しいようです。

悪人が権力についたらさらに悪くなるというのも同様です。

おそらく人間の多くは善人なのですが、彼らが権力を目指そうとしないのは、権力者というものがあまりにも多忙で過酷な生活を送ることが明らかだからです。

それにも関わらず権力を目指すのは悪人だけなのだということでしょう。

 

ならばどうしたら良いのか。

古代ギリシアのようにくじ引きで権力者を選べばよいのか。

権力を握ってもそれが長続きしないように頻繁に人事異動をすればよいのか。

なかなか良案はなさそうです。

 

権力者に監視の目を意識させるというのは効果がありそうです。

かつては「神の眼」を意識させることで権力者の悪事を防ぐ効果がありました。

そんなことをすると神の罰が当たるぞという脅しです。

しかしその当時でもあまり効果がなかったようですが、現在では全く効果はなくなりました。

現代の他の「監視」はITによるものです。

中国は監視社会と言われるものになっており、国民は常時監視されるようになっています。

しかし、本当に監視されるべき連中はそれを逃れています。

共産党の幹部、地方政府の幹部などですが、彼らが一般国民が受けている以上の常時監視を受けそれが公開されるならば中国の政治も激変するだろうということです。

これは効果的でしょうが、権力者がやろうとはしないでしょう。

 

今でもテレビや新聞を見ると権力者の悪人ぶりが次々と現れています。

それが人間社会なんでしょう。

 

 




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