現在のエネルギーに依存する文明、その状況と危うさを述べましたが、まだ「なぜ代替エネルギーがダメか」という疑問を持つ方が多いのでしょう。
確かに現在の権威筋、専門家連中は皆再生可能エネルギーというものやその他の脱炭素技術を推奨しており、それで社会全体が動いているかのようです。
それに対し、私などエネルギーの専門家でもなく、ここで何度も紹介しているように大学から社会人を通じて発酵工学や微生物学をやってきただけで、エネルギー部門にはほとんど携わっていません。
辛うじて、工場での管理経験で、酒類製造を主としていたもののそれに付随してボイラーや発電部門を配下にしていただけに過ぎません。
しかしそのようなわずかな担当経験から見ても、現在の再エネ分野の状況には大きな疑問を抱かざるを得ません。
それを、できるだけ素人でも抱くような疑問を文章にし、それをどうやって解決するかという専門家の状況を想像しながら答えていくと、あまりにもおかしなものが見えてきたということです。
それについて、専門家筋の解説というものはいかにも専門的ではありながら、根本については答えません。
そういったものを追求していこうと思い立ち、疑問点を洗い出しているのがこのブログであり、それに対して明確な回答は探してもありませんでした。
化石燃料を代替できると称するエネルギーは何か。
2.太陽光発電、風力発電、水力発電、潮力発電等のいわゆる「再生可能エネルギー」
3.バイオエネルギー
4.水素やアンモニア
5.合成炭化水素といったもの
それでは各項目について解説していきます。
核分裂というのがいわゆる原子力発電であり、現在でも実際に発電のかなりの部分を担っています。
ただし、チェルノブイリ、スリーマイル、福島と大きな事故を起こし、その安全性には大きな疑問が持たれています。
しかし、安定的な電力供給という能力は高いもので、しばらくの間新設が止まっていたアメリカでもAIブームによる電力不足解決のために建設が復活・加速されるという予測がされています。
ただし、その安全性に疑問を持たれているとともに、原料となるウランの供給量が無尽蔵とは言えず、いずれは枯渇することが危険視されています。
核融合発電は、その原理の実地検証ともいえる水素爆弾の爆発は既に実施されていますが、その平和利用である発電利用はまだまだ動き出そうとしていません。
このところ多数の資金がその開発研究に投資されていますが、これまで国家が総力を挙げて取り組んでいた事業であり、それが民間に移動したからと言ってすぐに解決するとも考えられません。
結局のところ、核分裂反応による原子力発電はしばらくのあいだ電力の重要な供給源となるでしょうが、持続的かと言われると様々な問題点があると言わざるを得ません。
2.太陽光発電、風力発電などのいわゆる「再生可能エネルギー」
これを「再生可能エネルギー」と呼ぶのはそのエネルギー源が再生可能と言えるからです。
太陽光は一応無限と言えるような期間、地球上に降り注ぎます。
風というエネルギーも太陽エネルギーを元にして地上に気温差を作り出し、そこに大気の移動を促して風の動きを作り出しますので、太陽活動が続く限りにおいては持続可能と言えるでしょう。
水力発電はかつては大規模なダムなどの貯水を使ってその落差で発電をするというもので、それに電力のかなりの部分を頼っていた時代もありました。
ただし、大規模なダムはその建設に資金と資源を大量に投入しなければならず、エネルギー収支では疑問が残ります。
小規模水力発電というものが存在しうるという話もありますが、ただし水流が安定的に得られる場所は限られるのではないでしょうか。
地熱発電はその潜在的な資源量は莫大なものですが、上手く取り出すことができるかという条件を付けると極めて限られたものになってしまいます。
潮力発電はあまりにも薄いエネルギー密度であり、それをとらえるための設備の方が巨大にならざるを得ないという致命的な欠点があります。
この中でも特に注目され、それだけでなく実際に現在も大量の装置が製造され設置されているのが太陽光発電と風力発電です。
もしもそれが経済的に合わないのならばこんなに世界的に展開するはずがないと考えられても不思議ではないでしょう。
しかし、そこにこの業界の特殊性があります。
まずこの装置の製造について、全ての部品は現在はほぼすべて「火力発電エネルギー」のよって作られていることは間違いありません。
太陽光発電パネルの製造には大量の電力が必要なのですが、その最大の製造地である中国で必要な電力のほぼすべてが安価な石炭火力発電によって供給されています。
そしてそれが中国のパネル製造が世界のライバルを押えて全世界的に圧倒した理由でもあります。
パネル製造には大量の電力量が必要であり、そのコストがパネル製造の競争力ともなっており、それを供給できた中国が世界のメーカーを圧倒しました。
そのように作られた太陽光発電のパネルが本当に「再生可能」でしょうか。
もしも現在の石炭火力発電の運用が不可能となり、太陽光発電パネルからの供給電力でパネル製造を操業しなければならなくなったとして、現在のような格安コストで製造できるでしょうか。全く不可能でしょう。
長々と書きましたが、結局のところ現在の太陽光パネルの供給を担っている中国は、電力不足になればどうなるか分からず、とても「持続可能」などではないということです。
3.主に植物によるバイオエネルギー
植物を用いるバイオエネルギーというものが、植物の二酸化炭素吸収と相殺されて二酸化炭素発生が実質的にゼロだといって、脱炭素化のもっともよい方策だなどと言われています。
もしも植物由来のエネルギーだけですべてを賄うということであれば、こんなに素晴らしいことはありません。
しかし、植物由来のエネルギーなどというものの総量はごくわずかにすぎず、本格的に使い出せばあっという間に無くなる程度のものです。
しかもその後には植物の成長に使われた栄養分が枯渇した土壌を残すのみ。
農業生産用の土壌は人類が食糧の生産に当てる分が辛うじて存在するのみです。
エネルギー分野の需要のために割く余裕など全く無いと言わなければなりません。
4.水素やアンモニアなど
特に水素を脱炭素のためのエネルギーのホープなどと言われることがあります。
しかし水素はそれ自体が1次エネルギーと言うことはできず、他のエネルギーを使って製造する2次エネルギー、あるいはエネルギーキャリアというものに過ぎません。
同じくエネルギーキャリアと考えられるものは、化石燃料もそうなのですが、これらは安定的に存在するために1次エネルギーと扱われています。
しかし水素などはそのような形で地中から採掘するというわけにもいかず、結局は他のエネルギーを用いて製造するしかありません。(地中に水素が存在するという話もありますが、まあ現実的に採掘できるものではないでしょう)
水素という形態は現状の石油系の燃料供給と互換できる部分があるために、過度に期待されている様子があります。
しかしその製造のためのエネルギー、工程コストなどを考えるととても実用化できるとも思えません。
アンモニアなどはさらにエネルギー保持量が少なく、とてもコストが合うとも思えません。
メタンハイドレートなどというものも存在はしますが、「コストが合わない」ということがすべてを物語っています。結局、あるのは分かっても使いようがない。
5.合成炭化水素(合成燃料、またはe-fuel)
CO2とH2から合成して作ることができるので究極の脱炭素技術などと言われています。
しかし高濃度で二酸化炭素や水素を得ること自体非常に難しい工程であり、それをさらに合成反応させて炭化水素するなどというのはどう考えてもコスト的にもエネルギー的にも実用化することは不可能でしょう。
これも研究開発者に研究資金を提供するだけの意味しかないものと考えられます。
炭酸ガスと水から有機化合物を作り出しているのが植物の光合成であり、それは生物の素晴らしい働きでした。
それを真似して人工光合成などといって研究を進めていますが、これも投入する資源とエネルギーの割に得るものが少なすぎます。
結局は研究者に飯のタネをプレゼントするだけの話でしょう。
結局は化石燃料エネルギーが最もすぐれたエネルギー源(人間が使うという意味です。総合的に見れば宇宙の中で恒星で行われている核融合が最上でしょう)であり、その他のエネルギーは欠点ばかりが目立つものです。
化石燃料が使えなくなった時点で人類のエネルギー依存文明は終わるということになります。