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「残留農薬が検出された」は分析技術の進歩の成果に過ぎないのか。

少し前にポテトチップスから禁止されている農薬が検出されたということを国会で質問されたということがありました。

www.jcp.or.jp

ただし、この検出された濃度というものがはっきりしていませんが、かなり低いだろうことは想像できます。

 

このような低濃度の農薬をしかもかなりの精度をもって分析し検出するということ自体、高度な分析技術であることを示しています。

 

この分析方法はどうやら、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析)という方法によるもののようです。

これは高度な前処理方法を施したサンプルをLC(液体クロマトグラフィー)で分離し、目的成分が溶出したところでそれをMS(質量分析)に2回かけるというものです。

これで物質の特定とその濃度を極めて微量まで定められるというものです。

検出下限は1~10ppb、条件によってはさらに低濃度まで検出可能です。

農薬の中ではネオニコチノイド系や除草剤、殺菌剤など、揮発しにくく熱に弱いものが対象となり、現在では日本・EUでは公定分析法となっています。

 

農薬の残留基準値というものは、作物によって異なり使用が認められている農薬ではその安全性によって定められていますが、使用が認められていない農薬では一律基準として0.01ppmという低い値が定められています。

これは「絶対に使ってはいけない」ということを数値として示したものです。

したがって、通常はこの一律基準値すなわち0.01ppmを越えると残留規制違反にはなりますが、すぐに健康被害に結びつくとは考えにくいものです。

 

今回の紹介事例では、ピリミホスメチル(使用例で小麦では1.0ppm)がコメから、クロルプロハム(ジャガイモで30ppm)がポテトチップスから検出されたということですが、これらはその作物に使用が認められておらず、一律基準値を越えた濃度と考えられます。(クロルプロハムは”ジャガイモ”では使用が認められていますが、”ポテトチップス”では使用が認められている農薬はありませんので、一律基準値の0.01ppmとなるものと考えられます)

 

このような状況での農薬混入事例ですが、どうも上述したような高度な分析技術をもってすれば「検出」することが可能な場合がかなり多いのではとも思ってしまいます。

たとえ一律基準値を越えていなくても、「出た出た」と騒ぐことはあり得るでしょう。

 

これは「分析技術の進歩」の勝利ともいえるものです。しかしそれでいいのかという思いも感じてしまいます。

もしもここまで鋭敏な結果が出せる分析技術がなければ、こういった騒ぎも起きないで済んだのでは。

 

 

こういった状況は他にも見られます。

今あちこちで大騒ぎの「PFAS」です。

検査すれば「出た出た」となりますが、その濃度が非常に低いのはお気づきでしょうか。

その基準値が50ng/Lと言われています。(何の基準値かいささか怪しいのですが)

ngと言ってもあまり実感できないでしょうが、1gの1000分の1が1㎎(ミリグラム)、1㎎のさらに1000分の1が1㎍(マイクログラム)、そして1μgの1000分の1が1ng(ナノグラム)です。

したがって、50ng/lは0.05ppbとなります。

このようなごく微量の化学物質を分子種まで特定して検出するのは相当な分析技術と装置が必要でしょう。

 

PFAS騒動は最近非常に大きくなっていますが、PFAS自体はもう何十年も前から製造されており、環境中への放出も行われていました。

今になって大騒ぎになっているのはやはり分析技術の進歩による面が大きいのではないでしょうか。

まあ「技術の進歩で隠れていた危険性が明らかになった」と考えれば良いことのようなんですが。

どうもそれだけでは済まないような半面もありそうに思います。

道具の進歩はすばらしい、しかしそれを使う人間にその結果の責任はあるのでしょう。

 




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