「その1」で近代から現代にかけて、どのようなエネルギーが使われてきたのかということを数字で示しました。
それでは、そのエネルギーを何に使っていたのか。
それを見てみました。
了解しました。
「だいたい」でよいとのことなので、歴史エネルギー研究(Smil など)をもとにした “概念的な比率” を、用途別に数値化してまとめます。
※世界全体の傾向であり、厳密な統計は存在しません。
■1700年(前近代、ほぼ薪・人力・畜力)
用途別・世界エネルギー比率(概算)
用途 比率(%) 家庭(暖房・調理) 55〜65% 農業(人力・畜力) 20〜30% 手工業・工房 10〜15% 輸送(馬車・帆船) 5%未満
■1800年(産業革命開始期、石炭が伸び始める)
用途 比率(%) 家庭(暖房・調理) 45〜55% 工業(蒸気機関・製鉄・織物) 25〜35% 農業(人力・畜力) 15〜25% 輸送(蒸気船・蒸気機関車の初期) 5〜10%
■1900年(石炭の時代)
用途 比率(%) 工業 40〜50% 輸送(鉄道・蒸気船) 20〜30% 家庭(暖房・調理) 20〜30% その他(商業・都市サービス) 数% ※世界全体ではまだ電化は低い(電力は数%のエネルギー比率)。
■2000年(石油中心、電力の時代)
用途 比率(%) 輸送(自動車・航空・船舶) 25〜30% 産業(鉄鋼・化学・セメント等) 30〜35% 建物用途(暖房・冷房・給湯) 25〜30% 電力の送電損失・インフラ 3〜8%
■まとめ(1700〜2000年の大きな流れ)
1700年:家庭と農業がエネルギーの8割以上
1800年:工業が急成長し、家庭用途を追い抜く
1900年:工業が最大、輸送も急増
2000年:輸送・産業・建物の3本柱がほぼ均等に近づく
必要ならこの比率を使って
新しいグラフを作成
エネルギー源別と用途別を重ねた表
2100年の推計(シナリオ別)
も作成できます。
非常にコンパクトに、しかしポイントは押えてまとめてあります。さすがChatGPT。
一応このスタート時点の1700年というところが産業革命直前の前近代であると考えると、そこではエネルギーのほとんどが家庭での暖房・調理、そして農業での畜力・人力投入であることが分かります。
それが産業革命さなかの1800年になると、工業が急激に伸び、さらに輸送に対するエネルギー投入、すなわち初期の鉄道そして蒸気船の活動が始まります。
この時の工業の内容が、蒸気機関・製鉄・織物というのも主にイギリスでの状況と思いますが、象徴的なものと言えるでしょう。
産業革命が急激に進展し工業化が進んだ1900年になると、工業および輸送のエネルギーが大きく拡大します。
この時にはエネルギーの主体はまだ石炭ですが、工業のあらゆる場面では石炭ボイラーや蒸気機関が利用されていたのでしょう。
家庭用の暖房・調理はかなり比率を落としますが、それでもまだ30%近くは残しています。人間の生活には不可欠なものであり、他のエネルギー使用量と比べても馬鹿にならない量を使用しています。
それがほぼ現代と言える2000年になると輸送と産業で半分以上、さらに「家庭用」ではなく「建物用途」となりますが、その暖房給湯に加え冷房も出現。
産業も鉄鋼・化学・セメントと現代の特色を見せてくれます。
おおまかな数字が出たところで、それでは「人間はエネルギーで何をしたのか」を考えてみたいと思います。
その大きなものがやはり「素材の交替」でしょう。
産業革命以前には木材や皮革などを使っていたのですが、それを鉄などの金属に変えていきます。
それにより頑丈になり精度も増し機能が格段に上昇します。
ただし、製鉄そして鉄からの機械などの製造を考えても非常に多くの燃料を使うようになります。
石炭が使えるようになる以前の製鉄業は燃料とする木材の確保が難しく、操業できるのが年に数回だったという話を本で読んだことがあります。
そこに石炭が使えることで大規模に頻繁に操業できるようになり、生産性も拡大しました。
鉄は国家なりなどということを言ったのがビスマルクだそうです。
まさに当時はそれが真実だったのでしょう。
しかし、それも徐々に変わっていき、現代に近くなると石油から作られる合成樹脂、プラスチックが非常に大きな部分を占めるようになります。
軽量で強度もまずまず、扱いやすい素材であり、現代では多くのものが金属からプラスチックに代えられています。
プラスチックの原料のほとんどは石油や天然ガスなどの炭化水素です。
ここでは化石燃料のエネルギーとしての性質ではなくその化学的構造が利用されています。
化石燃料エネルギーは圧倒的に熱量が大きいということも文明がそれに依存する理由となっています。
産業革命初期から石炭が多く使われたのは採掘しやすいということが大きな理由でしたが、炭素量が化石燃料の中でもとりわけ多い(ほぼ炭素)ということから熱量が大きいというのも無視できません。
そしてそれは現代においても重要な用途の一つとなっており、冒頭に掲げた2000年のエネルギー使用先の中の産業部門・建物用途とされているものの多くはその熱量が使われることと考えられます。
さらに同表の1900年から2000年への変化の中で最大のものが輸送部門での利用、すなわちほとんど内燃機関の燃料として使われている部分です。
これはもちろん、ガソリンや重油、ジェット燃料などであり、ほぼ石油の一人舞台です。
これを現在無理をしてEV化などということをやっていますが、そのすべての点で(ただ二酸化炭素を走行時に出さないという点以外で)内燃機関には全く敵いません。
そもそも内燃機関があればこそ、このような自動車、航空機の時代が作れたのであって、もしもそれが発明されなければこうはならなかったでしょう。
思えば、罪作りな存在だったとも言えるものです。
このように、現代の社会を作り上げているものはほぼ化石燃料エネルギーだと言えるということで、「現代文明はエネルギー(それもほぼ化石燃料)依存文明だ」と言っているわけです。
(その3 化石燃料エネルギーは代替可能か に続く)