著者は地球物理学者ですが、富士山が相当お好きなようで、各地の「おらが富士」まで細かく調べてきました。
それをまとめ、本業を活かして富士山の火山学的な解説もしたうえで、「郷土の富士山」そして「おらが富士」を各地方別に紹介しています。
なお、ここでいう「郷土の富士山」とは全国的にも「何々富士」という名称が広まっているもので、利尻富士(利尻山)、薩摩富士(開聞岳)など十座の山々を、そして「おらが富士」はそのような全国的な知名度はないものの、地元では富士という名を付けて呼ばれ親しまれている山々を紹介しています。
富士山の紹介のところで、富士山が現在は「富士山本宮浅間大社」の神域となっていることにつき、それがなぜ「浅間」なのか自分では分からないとしています。
いつの頃からか浅間神社が富士山信仰の元締めとなっていますが、元は浅間神社は長野の浅間山ではないのか。
その辺の事情については、より詳しい人がいるかもしれませんが、不明のままにしておくのも正直な態度かと思います。
本書第3章で「郷土の富士山」として取り上げられているのは、全国的にも「何々富士」という名が知られているということの他、火山であることという条件も付けています。
その意味では中国地方の三瓶山は他とは少し違っているようです。
三瓶山は火山ではあるものの非常に古い噴火歴のみのかつての用語「死火山」に当たるものと考えられていました。
しかしごく最近になって火山噴火による埋没林が発見され、その調査から実はおよそ3000年前にも噴火をしたということが分かり、今後も噴火の恐れがある活火山として考えられるようになったということです。
第4章以降の各地の「おらが富士」ではごく低い山も含め地元で何々富士と呼ばれ愛されているという山々を紹介しています。
関東地方には正式山名が別にあり通称として「何々富士」と呼ばれているという他地域に見られるもの以外に、正式名称が富士山と付けられている山が多いようです。
関東地方では本物の富士山が見えるところも多いのに、なぜ山名にも富士山というものがあるのか、不思議な気がするということです。
なお著者の神沼さんは神奈川県平塚市の出身、平塚にも高麗山という山があり、これも平塚富士と呼ばれることがあるそうです。
私も湘南地方出身のためよく分かりますが、静岡山梨が富士山を自分のところの山との意識を強く持っているのでしょうが、実は湘南地方から見る富士山も非常にきれいであることは間違いありません。
特に著者神沼さんの出身高校の湘南高校から見た富士山は抜群と思います。
なお、私の現住所熊本県八代市にも「肥後小富士」と呼ばれる矢山岳という山があるそうです。
知りませんでした。