デジタル化によって環境関係もスマート化、最適な条件を取ることができエネルギー使用なども最小にとどめることができるなどと言われます。
しかし、多少最適化したところで使用量自体が桁違いの増加を示してしまえばどうしようもありません。
どうやらそういったデジタル化社会推進派の宣伝には大きな欺瞞がありそうです。
この本ではそういった現状を様々な方向から見せてくれます。
デジタル機器などに用いる大量の資源の供給現場、物質量の増大、データセンターという化物、それを北極圏に置こうという理由、ロボットの環境破壊、海底ケーブルを巡る争いなど、激化していく環境破壊を描きます。
現在は二酸化炭素温暖化説があまりにも広がったため、多くの企業が自社の活動などを「二酸化炭素排出量」で測ることが行われています。
しかし1990年代にヴッパータール研究所で提唱された「MIPS」という尺度はそれに別の視点を供します。
これは「サービス単位あたりの物質集約度」を示すもので、ひとつの製品やサービスを作り出すのに必要な資源量を示すものです。
具体的にはあらゆる製品・サービス、たとえば衣服、オレンジジュースの瓶、スマートフォンなどについて、その製造から使用、リサイクルまでのすべての間に利用・移動された資源全体が評価されます。
Tシャツを例にとると、インドの縫製工場の電気、その電気を作る石炭、石炭を採掘するのに必要な森林伐採までを考慮し計算します。
それを計算するとTシャツ1枚に必要な資源は226㎏、オレンジジュース1リットルには100㎏、またサービスの場合は1時間のテレビ視聴が2㎏、ウェブで1本のSMSを出すには0.6㎏といった具合です。
これを計算していくと、デジタル装置のMIPSが極端に多いことが分かります。
テレビ1台のMIPSがその重量の200倍程度であるのに対し、スマートフォンはその重量の1200倍、そしてICチップはそれが16000倍にもなります。
ネットワークの5G化が進んでいますが、それで今後大きな発展が予測されるのがコネクテッドカーです。
運転支援システムを使った自動運転ではその利用が考えられていますが、それによるデータ通信量とデータセンターでの計算量は莫大なものとなります。
今でも大きな問題となっているデータセンターの設置がさらに激増することになります。
AIがどんどんと発展していき、人間の働きと代わる可能性があると言われていますが、人間の道徳観を継承しないAIが動き出した場合の危険性を指摘しています。
「環境を守れ」とAIに命じた場合、「環境を破壊する者を排除する」という結論に至るのは非常に可能性が高いものです。
そして「環境を破壊する」一番の存在は人類であり、そうなると「人類を排除する」のが最も有効な「環境を守る」ための方策であるという結論に達することは当然でしょう。
これをグリーン・リバイアサンと呼ぶそうです。
データセンターをめぐる争いはすでに多くの場所で始まっているようです。
その大量の電力使用だけでなく、他にも多くの環境問題を引き起こすことは大きな影響を出してくるでしょう。
しかしこのように大量の資源とエネルギーを費やして出来上がっているネットで、皆が使っているのが「猫の動画とポルノ」というのは、世界どこでも一緒なのでしょう。
なお、最後の章での「海底ケーブルをめぐる各国の争い」というのも大問題のようです。
いずれはそれによる紛争も多発しそうです。