和楽器と言われる楽器には多くの種類がありますが、いずれも海外から入ってきた原型のものが日本独自の発展を遂げたものです。
本書著者の釣谷さんは筝曲家として演奏をするとともに、和楽器のルーツを求めてアジア各地を訪問し様々な楽器を調査してきました。
この本では和楽器の中でも弦楽器について、その各地の楽器をあげ、さらに古楽器を解説していきます。
なお、筝と琴の違いというのは歴然としており、琴柱があるものが筝で13弦、無いものが琴で7弦というのがその定義ですが、現在の日本の「琴」は実際には筝から発達したものであり、本来の琴とは違うということです。
楽器というものは次のように分類されます。(20世紀ドイツの音楽学者、ザックスとホルンポステルによる)
体鳴楽器、膜鳴楽器、弦鳴楽器、気鳴楽器、電鳴楽器
ここで弦鳴楽器とされているのが、通常は弦楽器と呼ばれる楽器群です。
弦楽器は次のように分類されます。
ツィター属 楽器本体の上に張った弦を両端で止めるもの。 筝、琴など。
リュート属 本体に付属したネック(棹)にも弦が張られているもの。ヴァイオリン、三味線など。
ハープ属 本体の支柱に弦が平行に張ってあるもの。 ハープなど
リラ属 2本の支柱に横木をつけそこから垂直に弦が張ってあるもんも。 リラなど
また、その奏法には、撥弦(はじく)、打弦(うつ)、擦弦(こする)の違いがあります。
この本ではそのそれぞれについて、日本のもの、そしてそれに関連する各国の楽器を紹介していきます。
日本の琴、13弦の筝は中国で生まれたものが伝わり独自の発展を遂げました。
奈良時代に唐の国から伝わりますが、その原型は秦の時代だという伝説があります。
各国とも原型がそのまま残っているわけではなく、変化していることが多いようですが、筝の場合は比較的古い形があるようです。
リュート属では現在の日本では三味線がもっとも広まっていますが、古来は琵琶が多かったようです。
そして琵琶法師が主に平家物語を語る時の伴奏につかわれてきました。
また三味線もリュート属ですが、沖縄の三線が伝わったようで、その起源は異なります。
リュートという楽器はヨーロッパのものですが、その原型は中央アジアで生まれたウードという楽器でした。
それはアラブ音楽には残っていますが、その他中央アジアなど各地に独自の発展を遂げた楽器が今でも演奏されています。
ハープ属の楽器は現在の日本には残っていません。
やはり奈良時代に中国から伝わった百済琴という楽器がその分類に入りますが、正倉院に欠片が残るだけでまったく伝承されていません。
しかし中国や東南アジアにはその末裔ともいえる楽器が広がっています。
リラ属の楽器も日本にはありません。
この原型のリラというのは古代ギリシャ文明で広まっていた竪琴で、ギリシャ神話には多く登場します。
しかし日本だけでなくアジアにも伝わらなかったようで、その種の楽器はありません。
しかし、本書には中国やアジア各地を実際に調査した時に著者が撮影した写真なども収められていますが、その行動力は素晴らしいもののようです。
各地で歓待されてその地の御馳走を振る舞われたということですが、中にはちょっと気持ちの悪いものもあるのですが、相手の気持ちを思って美味しそうに頂きましたという、その度胸にも感心します。