永遠の化学物質と呼ばれる、PFASがアメリカで製造されているビールにも含まれていたという研究報告が出されました。
wired.jpRTIインターナショナルという研究機関などのグループがアメリカで販売されているビール23種類を分析したところ、その95%から有機フッ素化合物(PFAS)が検出されたということです。
有機フッ素化合物は分解されにくい、すなわち分解酵素が自然界に存在しないため「永遠の化合物」などと呼ばれることもありますが、いかにも警戒感を掻き立てるような呼び名であり、それをことさら使うことには、何らかの下心、すなわち言葉によるセンセーショナリズムの可能性もあります。
それはともかく、この「研究報告」にはいくつもの疑問点が湧き上がります。
最大の問題点は検出された濃度です。
ただ「検出された」というだけならば、検出限界以上の濃度のものはすべてそれに当たります。
問題はその「検出限界」です。
以前にも紹介したことがあると思いますが、このPFASの検出方法にはおそらく液クロ質量分析という方法が使われていると思います。
これは液体クロマトグラフィーで分離して物質が検出されたらそれをそのまま質量分析にかけて物質同定まで行うことができるというもので、非常に微量の物質を化学的にどういう構造の物質かまでを決めることができるという優れたもので、これがなければおそらくPFAS類の分析は不可能だったでしょう。
逆に言えばこういった分析装置の高度な発達により分析可能となったからこそ、このようなPFAS騒動も起きたとも言えるわけです。
さらに記事中にはこれらのビールから検出されたPFASはその製造工場で使われた水からも検出されており、その種類も同一であることから、製造用水から入ったものと指摘されています。
これが何の問題なのか、よく分かりませんが、製造用水はたいていの場合使う前に濾過されますが、PFASなどを除去するような高度な濾過をすることは無いので入ってくるのも当然でしょう。
したがって、製造用水に高濃度にPFASが含まれている工場の製造ビールにはそのPFASが高濃度に含まれているという、まあ当たり前の話です。
まさか、そういった製造に使う用水はPFASも除去できるような高効率の濾過をしろと?
大きなビール工場ではどれくらい水を使っているか、ご存じないのかも。
ちょっとしたタンクでも一回に数百トンの水を使うでしょう。
それをすべて高精度濾過というのは難しい事です。
私もビールほどではないにしてもかなりの水を使う酒類(焼酎など)の製造にタッチしていたこともあります。
九州の工場は地下水が豊富だったのでそれを用いましたが、関東の工場では水道水を使うところもありました。
その水質というのはどうしても問題となる場合もあります。
灘や伏見といった昔からの醸造が盛んだった地域には良質な水があったというのはよく知られていることですが、そうではないところでも醸造を行うとなると水質は頭の痛いことになります。
日本でもおそらく調べれば酒の中からPFASが、などと言う研究結果が出せるかもしれません。
いや、もしかしたらもうやっている研究者がいるかも。