世間の通説とは違った自説を思い切って発表している橘さんですが、その中に事実があると自負されているようです。
この本は週刊プレーボーイに連載されていたコラムなどから抜粋しテーマ別にまとめたというものです。
連載発表時にはそれに対する読者からの反応(ほとんどが罵詈讒謗だとか)を多数寄せられたとあります。
章題は、Part0「ポピュリズムという知識社会への反乱」Part1「この国で言ってはいけないこと」Part2「私たちのやっかいな習性」Part3「日本人しか誇るもののない人たち」Part4「ニッポンの不思議な出来事」Part5「右傾化とアイデンティティ」となっています。
Part0では日本人の多くが文章読解力、ITリテラシーなどが低く、労働生産性も低いといった事実を例を挙げて示します。
私もうすうすはそう思っていますが、それを前提とすると話の始めようもなくなるのでしませんでした。
おそらくこの本を買って読むような橘さんの読者たちは自分はそれには当てはまらないと思っているのでしょう。
Part1冒頭の当時起きた女児虐待事件とその報道について語っています。
それは大きく報道されたために社会的にも大きな問題と扱われましたが、そこで報道では意図的に触れられなかったことがあるとしています。
それが虐待加害者が子どもの母親と再婚した継父、さらに継父と母親の間に実子が生まれており、こういった状況は継父が連れ子に暴力を振るうケースに至ることが多いということです。
さらに、この子どもの実父はどこで何をしているのか。
日本が単独親権の制度であるため、離婚時にいったん母親の親権下になった子供には父親は関わることが少なくなります。養育費すら払わない例が多発しています。
そのような状況があるにも関わらず、行政担当者の不手際ばかりを問題視するような報道ばかりだと指摘しています。
Part3にでてくるのが「不倫騒動」の話です。
現在でも放送関係者や芸能人などが不倫したとして公職追放?されていますが、本文発表当時にも頻発していました。
ただし、一般社会にどれだけ不倫が蔓延していても、追及されるのは「芸能人と政治家」だけだとしています。
それも「ネタになる人物」だけが不倫を集中的にバッシングされると指摘していますが、まさにその通りでしょう。
しかし不倫政治家に辞職しろと迫ったり、不倫政治家が当選した選挙は認めないなどと言うのは民主政治の否定ではないかとしています。
Part4では日本政治の無能力が批判されていますが、そこにあるのは「ゼネラリストの官僚」がはびこっていること。これは政治だけでなく経済界でも同様です。
高級官僚は一流大学の法学部卒の試験合格者で、専門性などは全くなく、様々な部署を歴任して昇進していきますが、他国との外交交渉では相手の専門家には太刀打ちできません。
こういった連中が偉い役職についていく官僚社会では国際的には無力だろうということです。
非常に刺激的な議論を見せて頂けます。