内田樹さんの「コモンの再生」という本が韓国語訳されて出版されたそうです。
これで内田さんの著書の韓国出版は57冊目となるとか。
凄い数字です。
それについて語ったものがその韓国版のまえがきに収録されたということです。
内田さんの本の翻訳は韓国で非常に多いのですが、他に中国語も数冊あるそうです。
しかし、欧米での翻訳は全くないとか。
そこで、「コモンの再生」の本のまえがきではありますが、この「英語圏からの無視はなぜか」ということが書かれていました。
内田さんは自分の著書は「状況論的な論考」であると分析しています。
戦後日本でのそういった本は、吉本隆明、埴谷雄高、江藤淳、橋本治、加藤典洋といった人々によって書かれてきました。
そして、彼らの著書も内田さん同様に英語圏ではほとんど無視されているということです。
これについて内田さんは次のように分析しています。
英語圏の政治学者や社会学者のものは決して「一流」とは呼べない人のものでもどんどん和訳が出ているというのに、この非対称性はどういうことでしょう。
これは英語圏の人たちは(主に「アメリカ人は」ということですが)、日本の知識人が自分たちの社会と世界をどうとらえているかについて全然興味がないということを意味していると、そう解釈してよいと思います。
このように、彼らは実質的属国の日本人が自分たちについて何を考え何を書こうがまったく興味を引かないのだとしています。
そのような文化的非対称性というものは韓国でも全く同様です。
そして政治的にはまだまだかなりの摩擦があるとはいえ、文化的な交流は深く広く増加し続けています。
そういった文化的日韓共同体といったものを信じる人が両国でかなりの割合で生まれてきたようだと。
そしてそういった人々が韓国での内田さんの著書を読むようになったという分析です。
非常に面白く、また状況をきちんと把握していると思われる見方だと思います。
韓国排斥などということを言う人もいますが、それが力を持つことはもうないのでしょう。