シャーロック・ホームズの活躍はイギリスのヴィクトリア女王の時代にあたりますが、その頃は科学が社会のあちこちに広まりだした時期でもありました。
それを受けてホームズの捜査も当時最新の科学が応用されていたとも言えます。
そのような科学捜査とはどういったものなのか。
法科学研究者の著者がいろいろな方面から解説していきます。
なお、書名にもホームズと最初に掲げられていますが、内容はあくまでも19世紀の法科学の実際の研究や展開についてのものであり、あまりホームズの物語とは関係ないようで、それにつられて読み出した人は少し肩透かしを感じるかもしれません。
各章はそれぞれ法科学の各部門に沿っており、ホームズの小説の該当部分も少しだけですが触れています。
解剖学、博物学(昆虫など)、毒物検出、変装技術、個人の特定、銃弾と銃痕、筆跡鑑定など、ちょうどその時期にそれぞれ発展していきました。
それらはどれも実際に犯罪が起きそれを解決するために詳しく調べられ、その手法が確立していくということになります。
そして、その場の警察というものがそういった科学の発展というものに何の配慮もなく事件現場を無茶苦茶にしてしまうということも、ホームズの小説と実際の現場とがそっくりの状況となっているということも綴られています。
それから科学捜査というものは発展を続け、今では非常に多くの分析手法などを駆使するようになっていますが、その原点はちょうどホームズが活躍したとされるヴィクトリア朝時代だったのでしょう。