陳舜臣さんの描く諸葛孔明、その下巻は赤壁の戦いで曹操軍を破った後劉備は西方の益州を目指すところから始まり、孔明が病死するまでを扱います。
ここに来ると三国志など他の歴史書や小説にも多く扱われているところですので、エピソードはどこかで聞いたことがあるものですが、あくまでも孔明が主体で描かれますのでその点は他書とは少し印象も違ってきます。
劉備が益州に入りやがてその国守劉璋から国を奪っていくのですが、それも孔明から見ればあまりにも劉備の心が揺れ過ぎており、それを何とか国盗りに向けさせるための努力という点から描いていきます。
三国志や演義では関羽、張飛の最後というものが大きく扱われますが、この本ではそういったところはわずかばかり。
それを悲しみ復讐したいと願う劉備は描かれますが、孔明が押しとどめるといった描き方が強くなっています。
孫権の呉とはなんとか同盟を維持、曹操からその子、孫に受け継がれる魏の国を主な敵として蜀の国を動かしていく孔明ですが、その前に南方の異民族を従えて後顧の憂いを除いておかなければなりません。
その時に孔明が直接遠征をするのですが、有名なのは有力な蛮族の首長孟獲を7回捕えてはその都度放ち、結局は心服させたという逸話です。
しかしこれも陳さんはあっさりと種明かしをしており、孟獲はそれ以前に蜀を訪れてその際に孔明と会談しすでに話は決まっていたということでした。そりゃそうでしょうね。
その後も魏を相手にするにしても国力が違いすぎ、配下も人材難の中、能力不足のものを取り立てて失敗するという、孔明をしても難しい展開の中での歴史を描いていきます。
まあ、「蜀が勝って中国を統一した」という話ではSFになりますので仕方ないところでしょう。