シルクロードといっても範囲は広いのでしょうが、副題の「アムダリヤ」とはその中央部、現在で言えばタジキスタン、トルクメニスタン、カザフスタンのあたりを流れる大河です。
そこは人類文明の始まりの頃から多くの人々が行き交っていたところでした。
著者の加藤さんはその周辺を専門とする歴史考古学者で、数十回も訪れて各地の遺跡の発掘にも携わってきました。
そこには青銅器時代からの多くの遺跡が残されていますが、ヘレニズム時代までの各時代の遺跡と考古遺物の紹介をしています。
まず、アムダリヤと聞いてもほとんどの人は何も知らないでしょうからその付近の地理の説明から入ります。
世界の屋根と言われるヒマラヤの西方に発し、ほぼ砂漠の中を通りアラル海にそそぎます。
そこには人類がアフリカを出て最初に住み始めていたのですが、その後最初の古代文明が始まったと言われるメソポタミアからも近くその影響も強く受けていきました。
また東方のハラッパー文明(インダス文明)も近く、メソポタミアとハラッパーを結ぶ地域とも言え双方の特徴を持った遺物が発見されています。
青銅器時代にはバクトリアと呼ばれる地域で王国も存在しました。なおバクトリア王国という名称はヘレニズム時代に建てられた国に付けられています。
その後は現在のイラン、インドに起こる大国の影響下にありました。
そしてアレキサンダー大王の東征でギリシア人が侵入しその後生まれたヘレニズムの文化の遺跡も数多く残ります。
火の宗教と言われるゾロアスター教はアケメネス朝を中心に栄えました。
その起源はさらに古いのですが、その名は宗教を再興したツァラトゥストラのギリシア語読みから来ています。
そしてそのツァラトゥストラはイラン産まれと言われていますが、諸説の中にこのアムダリヤ地域の出身だという説もあるそうです。
ツァラトゥストラはそれまでの原始ゾロアスター教の教義を整備しました。アフラマズダに夢の中で出会い奥義を伝えられたとしています。
あまり知られていない地域の歴史なのでしょうが、砂漠の中に埋もれていたということもあり、多くの考古学史料が残っているようです。