「コスパ病」「自損型輸入」、いずれも著者の小島さんが現在の日本の問題点を考えていく上で作り出した概念です。
小島さんは中小企業などの輸出のコンサルタントを行っていますが、それをやっている内に日本の産業の病因について考えました。
多くの企業が「国内での売り上げが減ってきてしまい海外に売るしかなくなった」として輸出しようとしているのですが、そもそもなぜ国内で売れなくなったのか。
そこに「コスパ病」があります。
つまり見たところほぼ同じような製品であれば価格が安いものに引き付けられてしまう。
それがコストパフォーマンス重視の態度ですが、それにあまりにも囚われすぎるのが「コスパ病」だということです。
そして、現在の日本ではその「コストパフォーマンス」が良い製品というのはほとんどが中国などのアジア諸国で作ったものになっています。
そういった海外製品は実は日本の業者が海外企業に製法から品質管理、売り方まですべてを教えに行き、それで人件費その他の経費を安く抑えて日本に持ってきて売ることで日本市場を押えるということをしています。
そういった方式を「自損型輸入」と言っています。
その結果、日本国内の産業は疲弊し企業は倒産に追い込まれます。
そのような自損型輸入の実行者、すなわちユニクロ、ワークマン、ニトリ等々の企業が現在では「勝ち組」「成功者」となっているのが日本の実態であり、それが日本経済が衰微し疲弊している要因だということです。
このことについて、著者は2021年に出版した前著「コスパ病 貿易の現場から見えてきた無視されていた事実」で著したところ、多くの人に共感したと言われたそうです。
ただし、前著は「貿易と地方経済に話題を限定した」のですが、本著では「歴史、文化、思想、教育の著述」を大幅に増やし、すなわちこのような自損型輸入を行ってしまう日本の問題点に切り込んで考察したということのようです。
しかしどうもその部分に入るとやや分かりにくくなるようで、「ならどうすれば」という思いが湧いてしまいます。
少し高くても国産の、それも地元のものを買いましょうということなのですが、果たしてそれがどこまで進められるか。
そう簡単にはいかないもののように感じます。