現代語を主に載せることが主目的の小型辞典では、その「今」から外れた言葉はどんどんと削除し新たな言葉を入れていく必要があります。
三星堂の国語辞典、そしてその前身の明解国語辞典では他の辞典よりこの性格が強いもので、改訂時には1000語以上が入れ替えられることもあるそうです。
ただし、そのような「消えた」言葉の事情というものは様々です。
そもそもの存在が確認しがたい語、時の流れで忘れされれた語、制度の変更などにより消滅した用語、モノとして下火になったり需要が減ったりして存在感の薄れた語、編集方針としてふさわしくないと判断されて削られた語などです。
そういった中から1000項目をピックアップし、旧版での紙面を示し削除された年月とその理由を示したというものです。
目についたのが、政府の制度変更により無くなってしまった組織名、制度名などなど。
「建設大臣」は2001年に建設省が改組されその名称もなくなったので削除。
「郵政大臣」も同年に削除されています。
またモノ自体が売れなくなって消滅したために言葉の方も削除というのが、
MD(エムディー、MiniDisc)のようなものです。
直径6.4㎝のディスクで、生産年は1992年から2020年まで。
もはや販売もされなくなったということで、2022年出版の版から削除になりました。
歩くことを「てく、てくる」と呼ぶことがありました。昭和の死語ともいえるものです。
それを使って「タクシー」をもじって「テクシー」と言うことがありました。
「ダベリング」などとも同じような感覚で、外来語風ではあるものの全く日本語でしかありません。
亡父が使っていたことを思い出します。
「鍛われる」という言葉は2014年の版以降削除されました。
これは「鍛える」とい言葉の文語的用法で「鍛う」(きたう)という言葉がかつてあり、それの受動態として「鍛われる」と使ったものです。
さすがにこういった用例は少なくなったということで削除されたようですが。
実はこれは熊本南部方言では今でも使っているんですね。
私の周囲でも高齢者はまだ普通に使います。
まあ方言までは収録できないんでしょうが。
かつては性風俗用語というのも辞典に収録されていたそうですが、これは編集方針により一切削ることとしたそうです。
まあ、詳しくは示しませんが、辞典にそのような言葉が載っていたというのも時代を感じさせます。