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「人類の祖先に会いに行く」グイド・パルブイアーニ著

我々人類が徐々に進化してきましたが、そこには学名だけで伝えられてきたかのような先祖たちがいます。

ホモ・エレクトゥス、ホモ・ハイデルベルゲンシスなどという学名は聞いたことがありますが、その人々がどのような暮らし方をしていて、どういった見かけだったかということもはっきりとしたイメージはありません。

 

そういったところを現在得られている情報でできるだけ具体的な印象を得られるような物語として描いていこうという本です。

著者のバルブイアーニさんはイタリアの進化生物学者でありなおかつ小説家ということで、そのような科学的な点は守りながらその姿を描くということには最適の方のようです。

 

本書冒頭に掲げられている口絵は、現状での科学的情報を取り入れながら、イラストレーターができるだけ表情まで出るように描かれているもので、そのリアリティには驚くほどです。

これまで見てきたような、化石の骨格に形だけ肉を張り付けたようなものとはかなり異なります。

 

考古学者たちは化石で得られた人類の先祖に愛称をつけて呼ぶことがあります。

アウストラロピテクス・アファレンシスの「ルーシー」、ホモ・エルガステルの「トゥルカナ・ボーイ」、20万年前のホモ・サピエンスの「ミトコンドリア・イブ」、1万年前のホモ・サピエンス「チェダーマン」などですが、表情一杯の口絵に描かれた肖像もそういった愛称であればより具体的イメージが湧くようです。

 

アウストラロピテクス・アファレンシスのルーシーは、しかしその死の瞬間は悲劇的なものだったようです。

木の上から真っ逆さまに落下して絶命しました。

もうすでに直立二足歩行をするように進化していたのですが、どうやら通常は樹木の上で生活をしていたようです。

猛獣などから身を守るために必要なことだったのでしょう。

 

ネアンデルタール人は私たちホモ・サピエンスと非常に似通っており、遺伝子レベルではほとんど変わりない程度と考えられ、実際に交雑し子どもを設けていた可能性もあります。

しかし身体の各部には明確な違いがあり、上腕骨の構造からどうやら物を高く投げ上げることができなかったようです。

つまり、ボウリングはできても野球はできなかったということです。

これは狩りのやり方にも違いを生じ、ホモ・サピエンスであれば槍を投げて獲物を倒すことができたのですが、ネアンデルタール人はそれができず槍を持って獲物に近づき槍を突くしかなかったようです。

そのため、狩りの際に負傷することも多かったと考えられます。

さらに、ネアンデルタール人は消費カロリーが非常に多かったようです。

現代のホモ・サピエンスは2500キロカロリーで1日を過ごすことができますが、初期のサピエンスはもう少し多めのカロリーが必要だったでしょう。

しかしネアンデルタールは狩りに出なくても一日4000キロカロリー、狩りに出れば6000キロカロリーが必要だったようです。

これは獲物の乏しい場合は重要な差であり、サピエンスが生き残れる程度の状況でもネアンデルタールは不可能だったかもしれません。

 

ホモ・サピエンスのDNAの中にはネアンデルタールやデニソワ人から由来する部分が含まれていることが分かってきました。

わずかながらも交雑したと考えられていますが、これが現代でも影響を持っています。

新型コロナウイルスに感染した場合、病状を悪化させる遺伝子はネアンデルタール由来の部分であるという仮説が出されました。

そのため、その遺伝子を多く持つヨーロッパ人で悪化し死亡する例が多かったということです。

 

アフリカで生まれたホモ・サピエンスがそこを出発して世界各地に向かった、「出アフリカ」が一度だけだったのか、それとも何度も起きたことかは論争となっていました。

どうやら一回だけとは言えないのは確かなようです。

オーストラリアで発見された化石のDNAには古い時代に分かれた痕跡があったようです。

ただし現在のオーストラリア先住民とは異なるようで、その人々は現在まで続いてはいないようです。

 

人類の肌の色は、毛深かった時にはまだ白色でした。

これはチンパンジーも同様で、毛の下の皮膚は白色です。

しかし人類は体毛を失ったのですが、その時に毛の代わりに日光への耐性を持つ必要があり、皮膚の色が黒くなっていきました。

しかしアフリカを出て世界中に広がっていった時、黒い皮膚は逆にビタミンDを作りにくいことから皮膚が白色となっていった方が有利となります。

それが起きたのは1万年ほど前からのことであり、それ以前にヨーロッパに入っていた人々はまだ肌は黒かったことになります。

そのため1万年前にイギリスに住んでいたチェダーマンも肌は黒でした。

 

化石と学名だけではイメージが作りにくかった先人たちが活き活きと感じられるような描写でした。

 

 

 




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