アメリカのトランプ政権が世界諸国に相互関税と称する高関税を掛けることを発表し、世界中が大騒ぎとなっています。
これに対し「自由貿易を守れ」という声は大きいのですが、トランプは聞き入れるはずもなく保護貿易を推し進めてアメリカの製造業を復活させようとしています。
それが的外れで期待したような効果が得られるどころかアメリカの産業や国民を疲弊させるだけだということは容易に予測できます。
しかし、それに対するものとして「自由貿易を守れ」という声は本当に正しいものなのでしょうか。
トランプは知ってか知らずか、中国や東南アジア諸国、そしてかつては日本などが製造業を発展させて成長してきたことが自ら望み企画して推進したかのように言っていますが、実際にはアメリカが主導し促進し、より安い人件費などの経費で製造できる国にやらせることで安い製品を享受できるという旨味を吸おうとして導入したものです。
そこには自国の製造業の都合などは全く顧みず、コストだけの計算で推し進めたアメリカの世界企業の思惑がありました。
近い例で見ればアップルがiPhoneなどの製造は自国内では全く考えずほぼすべてを中国などにやらせ、企画設計というもっとも儲けの出る部分だけをアメリカに残し、地道で厳しい品質管理を伴うような「汚れ作業」は外国にやらせるという産業構造を作り出したというものがあります。
そのような構造を維持するために必須のものが「自由貿易」であることは明らかであり、それが国際的な経済的分担を作り出していました。
気が付いてみれば半導体製造などに明確にみられるように実際に製造を担当する企業の技術力の蓄積が大変なものになっており、かえって主導権を奪われるようになっているとも言えます。
しかし多くの産業ではやはりまだ実際の製造は安い人件費で使われている労働者の労働搾取のもとに維持されているものが多いのでしょう。
このような「自由貿易」による「経済的役割分担」は頭と手足、胴体などに例えることができますが、やはり「頭」の部分の取り分が最も多く、「足」などにはわずかな金額しか流れないようにできています。
アメリカの労働者は失業し厳しい生活を送っているなどと言われますが、実際の生活程度をみれば毎日長時間労働している途上国の労働者の方がまだまだはるかに低いレベルであるのも現実です。
このような「自由貿易」は工業生産という面から見るだけでも多くの人々に格差と不自由を押し付ける面を持っています。
自由貿易は絶対善だなどと言うのは現実を無視して抽象論として都合の良いところだけを強調しているように見えます。
愚かなトランプとその支持者たちの愚行で図らずも自由貿易に強いブレーキがかけられた。これはもしかしたら絶好のチャンスかもしれません。
世界企業の経済支配を打ち破ることができるのか。
まあ、どうせあとわずかでトランプ政権も行き詰まりそうですが。