ジソウ、児童相談所は子どもの虐待の事件が起きると「なぜもっと早く対応できないのか」などと批判されることが多いようです。
しかし、児童相談所の児童福祉司は2019年で全国で3817人、相談件数が46万件以上、一人当たりの一年の平均件数は144件です。
イギリスの同じような組織、CSCのソーシャルワーカーは3万670人、年の平均相談件数は16.8ケース、日本の10倍近い人数で、一人当たり件数は10分の1と言えます。
そのような悪条件の中、直接担当する児童福祉司の状況を、現役であたっている青山さくらさん(仮名)が50のケースについて書き綴っています。
なお、福祉司から大学に移って福祉についての研究をしている川松さんが解説を書いています。
著者も仮名としていますが、万が一にも対象者の素性が知れてはいけないということで、取り上げたケースも実際とはかなり変えて書かれていますが、実際にあったことであるのは間違いないようです。
それにしても、悲惨な状況に置かれた子どもが次から次へと取り上げられるのには暗澹たる思いになります。
ほとんどの子どもの親も生活が破綻しているものが多く、親の元に戻ってもどうしようもないのに返せと言う親、そこに戻っていく子どもの姿も哀れです。
中には親は一応まともな仕事についている場合もありますが、それでも家庭生活が破綻しているのは同様で、親がある程度知識があるため、かえって法律を振りかざしたりすることもあり、児童福祉司の方々も対応に苦慮することもあるとか。
青山さんの同僚の児童福祉司の方々も仕事を続けている上での悩みは激しく、辞めてしまう人も数多いようです。
気になる子どもに関わろうにも時間がなく、上司からあまり深入りするなと注意されて悩むこともあるとか。
それにしても家族からの性虐待というものも多いようで、特に父親からというのが相当数あります。
男というものの持つ悪魔性なのかもしれませんが、やりきれない思いになります。
児童福祉司の業務として、「家庭訪問」というものがあります。
アメリカのコロラド大学のディビット・オールズという人が確立した方法だそうですが、日本の児童福祉の「家庭訪問」はまるで「虐待さがし」のようになっているという現状だそうです。
部屋に上がるまでが難しいのですが、入ってのその惨状は驚くほどです。
ゴミだらけ、汚物だらけで、すさまじい悪臭でこのような中で生活しているということが信じられないほどです。
戻ってからの児童相談所での会議で、それを実際に見てきた児童福祉司はどうしても児童の保護を主張しがちだとか。
それにしても、劣悪な条件のなかで奮闘を続ける人たちには頭の下がる思いですが、やはりこのままではいけないということなのでしょう。
日本の国の金の使い方には大きな問題があるということです。