ファーブルは昆虫記を書きましたが、それはヨーロッパ人としては珍しいともいえることであり、今でもファーブルという名前もヨーロッパではそれほど知られていないようです。
昆虫に幼い頃から興味を持つ子どもが多いというのは日本人の特性のようです。
ヨーロッパ、特にファーブルの故国フランスなどでは昆虫に興味を持つ人は少なく、ゴキブリとカブトムシの違いも意識されないとか。
そういったことを幼い頃から虫に大いに関心のあった養老さんと、フランス文学者でファーブル昆虫館という施設を開いて館長を務めるという奥本さんがいろいろと対談していきます。
話の方向はファーブルという人物、業績などを手掛かりに日本の社会、人々の意識といったものを対象にしていくようです。
ファーブル昆虫記、シートン動物記といった本は日本では子ども向けの翻訳も出版されていますが、そもそも海外には子供用のこれらの本はありません。
しかし日本ではかなり早い時期から昆虫記の翻訳本が出版されていました。
大正時代にファーブル昆虫記第一巻を翻訳し出版したのは、あの大杉栄だったそうです。
その先も翻訳するはずが、関東大震災の際に殺害されてしまいました。
ファーブルは1823年生まれ、南フランスのサンレオンという村で、貧しい家庭に生まれました。
当時はまだ知識階級は裕福な家に限られていた中で階級の壁を乗り越えて昆虫学で成果をあげました。
イエズス会の神学校で勉強できたのがそれにつながったそうです。
自然との関わり方がヨーロッパと日本とで違うということは繰り返し触れられています。
言葉の面でもオノマトペ(擬音語、擬態語等)というものを日本語は多用しますが、ヨーロッパ語ではほとんど使いません。
それどころか、オノマトペというものを軽蔑するようです。
アフリカの言語でもそれを使うものがありますが、言語と文化そのものを軽蔑するようです。
日本語ではオノマトペを使うことで感覚の直接的な印象を与えます。
そのため、ヨーロッパ言語の小説などでも日本語に翻訳する時にオノマトペを入れるとすごくこなれた訳になるようです。
奥本さんがフランス語の本を日本語に訳し、「でーんと座っている」とすると学生が「そのでーんはフランス語で何に当たるのですか」と聞いたそうです。
そんなものはない、俺が入れたんだと答えたそうですが、学生は馬鹿にしたのかもしれないとか。
自然に親しんできたような日本人ですが、現在もそうでしょうか。
かなり変化してしまったように感じます。