「公益通報」すなわち組織内部の不正を公開することに対して、その行為者を不当な扱いをしてはいけないというのが「公益通報者保護法」です。
しかし、それを踏みにじるような行為が地方自治体で連発しているような情勢です。
兵庫県知事は自らの不正行為を指摘し公表した職員を自殺に追い込みました。
熊本県でも県上層部が疑惑を通報した職員を左遷しました。
公正であるべき政府の下部組織の自治体自ら法を踏みにじる行為をしたというのはあきれ返った事態です。
公益通報を行った者に対する組織の不当な扱いというものはありふれたものだったのでしょう。
それを何とかとどめようとしたのか、公益通報者保護法なるものができました。
平成16年施行ですので、まだ20年ほどしか経っていません。それ以前は組織側のやりたい放題だったのでしょう。
しかし法律を見てもすぐに分かるように破ったとしても罰則も何もありません。
法律を熟知しているだろう兵庫県知事が無視したのも当然かもしれません。
組織の不正があることを組織内の人物が知った場合、それをどうすればいいのでしょう。
組織内の自浄機関があればそこに訴えるということがあります。
私がかつて勤めていた会社にもそういった機能はありました。
弁護士に委嘱しそこに通報するといったもののような覚えがあります。
しかしそういった規定のないところも多いでしょう。
それがない場合、もしも中間管理職以下の人物の不正であればそれを越えてさらに上に訴え出ることで是正される場合があり得ます。
しかし「トップ」(個人またはグループ)の場合はそれを越える権力はありませんので組織内での自浄は不可能です。
その場合は、対外的に訴え出るしかありません。
警察等の司法組織、あるいは報道関係などでしょう。
ところが司法組織は明白な違法行為でなければ動き辛いところです。
新聞社やテレビ局など報道関係というのがあり得るところです。
ところがもしもトップがそれを知った場合、強権を持って抑えようとする方が普通でしょう。
社内規定等を自分たちの都合の良いように使い一見合法的のように見せて通報者を処罰したり排除したりといった行為を取ります。
このように、組織内のトップ(個人またはグループ)自体が不正の根源である場合はそれを正そうとする行為は組織自体の持つ権力によってつぶされる運命にあることになります。
このような公益通報者の不利益を防ぐということは、たとえ今の公益通報者保護法を強化し処罰規定などを設けたところで効果的ではないでしょう。
ここはやはり「組織内不正の調査専門機関」を公的に設けることが必要なのでは。
司法の一部として運営することになりますが、現行の警察や検察では不十分な機能を特化していくことが必要でしょう。
その「組織」が警察や検察自体も含む恐れがかなり大きいものですし。
ただし、このような内部通報というものは、その相当部分が本当の不正ではなく、単なる個人的な私怨によるものだとも言えます。
それをきちんと調査し処理するというのは困難な場合も多いかもしれません。
それでも組織の不正というものを見逃すようなことになっては社会の公正は守れません。
「駆け込み寺」的なものになるのでしょうが、日本のような不正横行社会では必要な事だと思います。