現代文明を象徴するものはITであるという思いの人は多いのでしょう。
確かに電気通信、コンピュータ、AIと急激な進歩で社会の形すら激変させておりその影響は強いものです。
しかし少し見方を変えれば、「現代文明はプラスチック文明」ということもできます。
いやそれが意外に事の本質に近いようにも思います。
家の中を見回してみればプラスチックばかり目につきます。
自分の書斎を見てみても、パソコンやモニターは中味は電子機器でしょうが、ケースはプラスチック、横の整理棚も全部プラスチック製。
台所に行けば食品の包装もほとんどプラスチック。
日用品もそうです。
衣服も見てみれば化学繊維、これも言ってみればプラスチックと同じ。
もしもプラスチックが無くなれば、現代生活はほとんど「持続不可能」です。
もしもコンピュータが無くなれば、かなりの大混乱となるでしょうが、それでも最低限生きていくことはできそうな気もしますが、プラスチックはより深く生活と結びついているようです。
そんな「プラスチック文明」ですが、あまりにもプラスチックごみによる環境汚染がひどいからといって、プラスチック生産制限を求める国際会議というものが開かれました。
しかし参加国の意見は全く合わず、何の進展もなく終わりました。
「現代文明=プラスチック文明」という意識もあいまいなまま、何の話をしても行きつくところはありません。
プラスチックの原料は現在ではほとんどが石油です。
石油を精製する過程で得られるナフサから得られる成分を化学合成して作られます。
www.enecho.meti.go.jp上記のサイトを始め、石油化学メーカーなどが書いているものを見ても、「プラスチック原料となるのは石油のわずか数%に過ぎない」などと強調していますが、それは単に燃料などになる重油やガソリンが多量過ぎるというだけであり、石油の重要な使用先であることは間違いありません。
したがって、プラスチックの使用を見直すということは石油の使用を見直すということと直結しているのは当然であり、先の国際会議でプラスチック生産の抑制と言うことに対して産油国などが厳しく反対したというのもそれに関わっているのでしょう。
(その割に電気自動車化に対して産油国が強く反対しているようにも見えないのは不思議ですが)
現代のプラスチック文明で、その使用法から考えてプラスチック代替というのは非常に難しいのは間違いありません。
現状でプラスチックをケースとして使っている製品でそれに代わるものと言ってもまずありません。いまさら紙や木、金属で作るなどと言うこともできるはずもなく、またそういうことをした場合に木材資源などがあっという間に枯渇する事態にもつながります。
また食品包装などは現代の食料流通とも深く関わっており、それなしには全く動かなくなるともいえるほどです。
スーパーが「レジ袋廃止運動」などをやりましたが、その実態を見るとマイバッグとやらを持って行って購入しても、製品自体の包装はすべてプラスチック。
ほんのわずかなレジ袋を削減しても中身はどうするのか、それすら不思議と思わない人がほとんどというのも驚きです。
非常に分解が遅いのがプラスチックの特性ですが、それをこのような「使い捨て」ともいえる食品包装に使うという大きな矛盾がプラスチックごみの氾濫という事態を招いている根本理由です。
ポイ捨てをするような不心得者というのはある一定数存在するのが人間社会であり、それは世界のどこでも変わらないでしょう。(その比率は違うでしょうが)
それでも使ったものは回収していくというのが唯一の対応策であり、それを100%に近づけるというのが最善の対策です。
しかし回収したものをどうするか、それも大問題です。
マテリアルリサイクルという、回収したプラスチックを再び包装用品やケースなどに使うというのが良策でしょうが、これは非常に難しい。
プラスチックというものが同じように見えて全く異なる成分のものですが、それを純粋なものにしなければ再利用はできません。
結局は「燃料用」として燃やして発電などをするということになります。
あれ?と思うのが当然であり、あれほどまでに無理をして火力発電から石油を排除したのが何にもなっていません。
迂回に迂回を重ねてゴミ発電という名の火力発電になってしまっています。
しかし実際はそれが「最良のプラごみ対策」なのです。
いつまでも続くはずもないプラスチック文明です。
何か代替策を考えなければならないのでしょうが、ほとんど無理といったところでしょうか。
しかし石油にもいずれ枯渇の時が来るでしょうから、その時には卒業せざるを得ません。
そういうことを今考えると言うことをせずに、後の世代に任せる(放り投げる)というのが人間です。
解決しようという方向に向かわなければさらに肥大させるというのも人の常のようです。
それは国債残高の話ばかりではありません。